「日本人になった祖先たち」篠田謙一

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★★★ 日本放送出版協会
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ミトコンドリアDNA、Y染色体から見た日本人のルーツのお話。

非常に読みやすい本です。これだけまともな日本語で書かれた啓蒙書は珍しい。懇切丁寧でなるほどなるほどと読み進めるんですが、なんといっても複雑なハプログループの系統の話なので、だんだん頭の中がスパゲッティになります。しかたないですね

なんとなく理解できたこと。

いわゆる縄文人のDNAは、九州・朝鮮半島あたり一帯で共通する。要するに現在の国境とは無関係で、全体としてひとつのDNA圏だったのかもしれない。

基本的には縄文人が住んでいたところに、東北アジア系の弥生人が混血という「二重構造論」が正しそう。しかしそんなにシンプルなものではなく、けっこうグチャグチャ複雑になっている。

母系(ミトコンドリア)からすると、現代日本人の多くは朝鮮半島や中国の北部とつながりがある(意外!)。しかし男系(Y染色体)ではこれと一致せず、大きなへだだりがある。

先進技術をもった弥生人が半島を渡って一気に日本列島を侵攻というパターンなら、東北アジア系のY染色体が圧倒的多数で、ミトコンドリアは縄文系になりそうです。つまり縄文のオンナが弥生のタネの子供を産む。

しかし実際は違うようで、ここから想像できるのは、弥生人が単身赴任の戦闘集団じゃなくて家族を伴って住み着いたのでは。つまり平和的な進出。あるいは徐々に自然な混血

あともう一つ。Y染色体のバラツキということは、大陸ふうの民族大殺戮とか住民の根絶やしがなかった証左になる。オトコの系統がたくさん生き残ってるというのは、そういうことなんでしょうね。

こうして書いていても整理ができない。ゴチャゴチャになる。ま、要するに日本人ってのはいろんな系統が集まった雑多なものである。これだけは間違いなさそう。