不思議なことども

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長浜から美濃まで駕籠にも乗らず杖ついてワラジ履きで訪問の城主夫人。
朝から晩まで狭い庭で木剣ふるって剣術の練習しかしていない松寿丸。
いつでも不明瞭な大声でわめく男たち。静かにしゃべるマナーを知らない。
戦時でも陣小屋でもないのに、どこでもいつでも武将は一つ覚えの小具足着用。
戦の真っ最中なのに軍団長クラスがいつも信長の御前に雁首揃えている不思議。
取り次ぎや使者は必ず廊下をバタバタ走ってきて大声で主君に言上する。
重い鎧姿のまま座り込んで高価な茶器の目利きをする荒木村重。割れるぞ。
籠城中の殺気立った城内なのに、奥方が一人でフラフラ暗い土牢までお握り運搬。
死に瀕した半兵衛は一人で仰臥。医師やお世話係の姿はどこにも見えない。

総じて言えるのは侍女や家来など「その他大勢」の存在をバッサリ省いているということでしょうか。なるべく登場人物を絞ったほうが芝居はシンプルになり、分かりやすいのですが、その代わり「場の空気」「時代の空気」が消えます。

「空気」を大切にしないから、バタバタ走り込んできたヒラ社員が、重要会議中のワンマン社長に「大変です。有岡工業の社長が国外逃亡です!」と叫ぶ。現代ドラマなら、このへんは報告を受けた専務あたりが会長の耳元でコソコソ話すとか、それから会長が激怒するとか、きっちり脚本があるはずなんですが。

多くは望みません。ちょっとでいいから「らしさ」を演出してくれると、ずっと見やすくなると思うんですけどね。