魚屋の息子が京で出刃包丁をふりまわす

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昼食の時間、テレビをつけたら大河ドラマの再放送をやっていました。うーん、最近は呆れて見ていなかったのですが、あいかわらず奇妙です。

なんか魚屋の息子(松浦亀太郎)が京にのぼって、長井雅楽を殺そうとする。長井雅楽ってのは藩是である「航海遠略策」の提唱者。ま、久坂玄瑞など村塾関係の血の熱い連中からすれば「誅すべし!」なのはわかりますが、それにしてもなんで出刃包丁持って襲いかかるのか。魚屋だからですかね。捩じり鉢巻きして魚を捌いているシーンもあったし。(魚商の子供であったことは事実らしいですが、京都で絵を学んだり、そのうち藩士の家来(陪臣)になったりもしている。少なくとも脇差くらいは差していたでしょう。魚屋=貧乏と決めつけて長屋のボテ振りふうにするから話がおかしくなる)

そして詳細は不明ですが留守中の萩の女衆はカマボコ作りに励んでいます。過激派連中の活動資金作りのようです。そんなに急に作れるんか。そんなに儲かるんか。それどころか亭主の蔵書を勝手に売っぱらう女もいる。

で、これもなんか経緯は不明ですが、(謹慎中のはずの)久坂玄瑞が重役の周布政之助に詰め寄っている。死んだ亀太郎の志を無にしてはいけないんだそうです。でも「志」って何だ? 亀太郎ってのは要するに藩の立場からしたら要人テロ未遂犯です。外務大臣暗殺未遂犯(魚屋)の名誉回復を、官房長官に対して迫っているような構図。

どうもよくわからん。不思議な脚本です。もっとも当時の長州藩ってのも理解不能で、飛ぶ鳥落とす勢いだった長井雅楽がどういう経緯で失脚させられたのか。もちろん桂小五郎なんかが中心になって表から裏からいろいろ工作して、その結果として藩主が「そうせい」と宣言したんでしょうが、それにしてもいきなりガラリと藩論が変化する。日米安保を捨てて日中同盟に変えるくらいの大激動です。そして長井は責任をおしつけられて、切腹に至る。

こういう複雑な時代の流れは、かなり丁寧に描かないとワケワカメです。長井雅楽追い落とし事件だけでも、たぶん陰謀やら策動やらいろいろあったはずで、2週か3週を使わないと無理でしょうね。面白そうだけど、実現不可能。