「遠島--島流し」大隈三好

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★ 雄山閣
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かなり昔に書かれた本のようです。内容も、ま、在野のアマチュアが調査研究して書いたもののような雰囲気。

中身は江戸時代の「島流し」です。罪科うんぬんではなく、島送りの実情とか、囚人たちの待遇、島での生活などなど。

さほど目新しいものはなかったですが、あらためて江戸時代のお上ってのは、ほんと下に任せッきりなんだあということ。島送りの場合も、ただ囚人を送りつけるだけです。生活費とか仕事の面倒をみるわけじゃない。勝手にせい。ただし責任もてよ。問題おきたら恐いぞ。

島(伊豆七島)としては、非常に迷惑です。囚人にやらせる仕事ったって、たいしてない。島は地味が悪いので米があまり、というより、ほとんど収穫できない。芋も土が合わなくて育たない。周囲は海なんだし漁すりゃよさそうですが、舟があまりない。お役所が舟の数をきびしく制限したらしいです。小さな御蔵島なんて、舟がたった一艘しかなかった

で、食うに困った囚人が悪さをする。囚人の処置は本土(韮山だったか)の代官に届けなけりゃならないんですが、そんなことをしてた日には何カ月かかるか。で、てっとり早く、粗末な牢にとじこめる。とじこめると数日で死んだそうです。そうなれば「残念ながら病気で死にました」とケリがつく。

芋はそのうち風土にあう改良品種が取り入れられたそうです。これでずいぶん楽になった。囚人は粗暴犯だけでなく、インテリもいるし坊主もいる。百姓や職人もいる。いろいろ工夫もする。未開の島はこうした先進囚人たちの手でかなり進歩もしたらしいです。

などなど。