「冬の旅人」皆川博子

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★★★ 講談社

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皆川博子ってのは、あんまり知らんのですが、ま、肉食系の強い女が大好きな作家という印象です。「海賊女王」もそうでした。「二人阿国」もそれに近いですね。

どれも隠微で激しくて、なかなか良いんですが、読み終えるとドッと疲れる。今回の「冬の旅人」も同様。激しく疲労します。

えーと、日露戦争前、悪魔的な絵に魅せられた日本の若い娘がロシアに渡って、極寒のペテルブルグでイコン作成の修行をする。イコンは聖画ですから、勉強するのは修道院です。で、女子修道院ってのはベルバラふうの隠微と残酷が共棲していて、いろいろあってそこから逃げ出す。

逃げたあとは画学生と一緒に暮らしたり、その画学生がシベリア送りになると付いていったり、怪しい少年を知ったり、才能を認められてまた絵を描いたり、そのうちロシア革命です。

小説なので、当然のことながら主人公は皇帝の家族とも知り合い、やがてシベリアへ護送されるロイヤルファミリーに従う。ニコライたちはご存じのとおり、密かに惨殺されます。

こうした荒波の年月、主人公は芸術と悪魔的な耽美と暴力の中を生き抜いていく。それがどういう主題になるのかというと、難しすぎて書けません。正直、よくわからん。

わからんけど、強烈な小説ですね。その強烈さで★★★。