「素子の碁 サルスベリがとまらない」新井素子

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中央公論新社★★
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新井素子という人は、昔から名前を知っていました。たしか高校時からSFを書いていたはずで、練馬在住で進学が立教だったかな、意識的なカマトト文体(主語は「あたし」)で、この点はあんまり好かん感じでしたが。

その後は「ぬいぐるみ」の話題とか、吾妻ひでおとの交換日記エッセイとか、ま、それなりに読んだ記憶もあります。

で、結婚してから夫婦で碁をやっていたらしい。例の「ヒカルの碁」に触発されて始めた。そういう人、多いですね。で、面白いというので日本棋院から頼まれて「週刊碁」にエッセー連載。以来ずーっと棋院の教室に通っている。現在は1級だそうです。

完全な初心者目線の読み物で、けっこう楽しく読めました。そうだよなあ。著者も強調しているけど、「初心者用!」と題した入門本、ちっとも易しくないのがほとんどです。プロや高段者になると、ド下手の気持ちがわからなくなる。というより、プロクラスの人って、そういう初心者段階をほとんど経験していない人が多いんですよね。ハッと気がついたらもう上達している。

sarusuberi.jpg別件ですが、タイトルの「サルスベリ」、意味がわかりませんでした。そうか、裾空きの形で対峙したときに、下からスルスルっと侵入してくる。あれがサルスベリ。なるほど。確かに初心者にとっては、対応が難しいです。うかつに咎めようとすると大幅に荒らされる。