例の池澤夏樹個人編集・日本文学全集です。巻16は宮沢賢治と中島敦。ちょっと不思議なとりあわせですが、ま、それが池澤夏樹なんでしょう。で、その中のほんの一部。
中島敦は山月記や名人伝なんかがやけに有名で、次は悟浄ものでしょうか。「環礁-ミクロネシア巡島記抄」は初めて読みます。予想通り、いいですね
たしか役人になって南洋のナントカ係になった。学校教育関係かな。それで大きくない船に乗って、南洋諸島を視察してあるく。
まだ若い中島が満足していたのか、嫌だったのかは不明。でも暑い中をノロノロ航行して小さな島に着き、土地の警官とか役人とかに会い、村民を視察する。視察というより、ただたんに見てあるくのか。そしてまた次の島へいく。
「夾竹桃の家の女」では、ちょっと内地の血のはいったような女が上半身裸で乳児を抱いている。色っぽいような色っぽくないような。ふと心が動くような動かないような。
「ナポレオン」はそう命名されてしまった非行少年。札付きのワルで、他の小さな島に追いやられる。そこでも素行がおさまらなくて、もっと孤島に流される。少年がふてぶてしそうで、孤独そうで、なんとも形容しがたい。だからどう・・という結論はなし。中島敦ってのは、そういう書き方をする人だったのかな。
悟浄出世 / 悟浄歎異は、まあ有名すぎますね。自意識過剰なインテリ河童怪物が悟りを求める。単純生物・孫悟空に感嘆する。官能動物・猪八戒に感動する。久しぶりに読みかえしました。
ページはまだたっぷり残っているし、中島敦が終わったら宮沢賢治もあるし、ま、返却期限までたらたら楽しみましょう。