「ナイル川を下ってみないか」野田知佑

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ネイチュアエンタープライズ★★★
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久しぶりの野田カヌーもの。てっきりナイル川くだりかと思ったら、さすがに違っていた。要するに「ナイル川を下ってみないかね」というケシカケですね。ま、敢行した男は、たいてい死ぬだろうけど、多少の意味はある。距離はべらぼうに長いし、ワニはウジャウジャいるし。ん? カバはどうかな。たぶんいると思う。

で、この本の内容は、国内あちこちの川の話。川ガキスクールの話。遊びの話。例によって建設省(国交省)や役所の河川管理の悪口などなど。

日本人が川で遊ばなくなった・・・とさかんになげいています。遊ばない。泳げない。川を恐れる、嫌う。もう日本の川は99セーセント終わってしまった。そうなんですね。

自分は田舎育ちなので、川ガキというほどではないですが、子供のころは川で泳ぎました。小学生の夏休み、8月初旬ごろまではせっせと通う()。バスでたしか30分くらいかかったかな。帰りのバス代を節約するとアイスキャンデーを買えた。悩ましかったです。キャンデーを食べるか、炎天下の一本道をひたすら歩いて帰るか。上級生になると自転車でしたが、これもけっこうつらかったです。

草をにじった汁で水中メガネをこすって曇りを止める。河原で火をおこしてジャガイモを焼く。安物のヤスで魚を突く。ただしめったに突けません。魚はすばしっこい。耳に入った水は乾いた石を当てるとジーンと吸い取られる。書いていると、暑くけだるい夏の日がよみがえります()。


いつもお盆ごろになると上流の集落で赤痢が発生して、下流も遊泳禁止になる。そもそもお盆は冥界の扉が開くんで、「子供は誘われる」と祖母が脅かして止める。あれやこれや、楽しい夏は短かった。

思い出した。子供は安い「水褌」というのを付けた。三角形の小さな黒布を頼りないヒモでとりつけた簡易フンドシです。このヒモがすぐ切れた。まともな水泳パンツなんて、いつごろから穿いたんだろ。