「少年記」野田知佑

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文藝春秋 ★★★

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予想外に良かったです。

大学を出てから欧州放浪、帰国してカヌーに出会うまでが好編 『旅へ』でした。これは沢木耕太郎の「深夜特急」なんかにも少しは似ていますが、(だいたい沢木ってのは気取りすぎなんですかね)比べるとはるかに深い。はるかに正直。久しぶりに『旅へ』のリンクたどってみたら当時は ★★★に評価していた。 ★★★★で修正してもいいくらいだな。(修正しました)

で、「少年記」はその前編にあたる内容です。熊本の小学生が川に出会い、南国の豊穣に酔いしれる。清流で魚を追い林に入って鳥をつかまえる日々。ただ、家庭の事情で北九州の都会に移転。都会には川がない。緑がない。少年は煤煙で空気が濁り、自然の欠落した都会の生活を嫌悪します。

発作的に学校をサボって田舎に逃げたりしながらも、そのうち深夜ストイックに勉強することに喜びを見いだす。ただし面白いと思ったのは英語の勉強だけ。勉強すればするほど充実感がある。

そうか。野田知佑という人は子供の頃から魚をつかまえる名人だったんですね。ねっから都会には馴染まない。カヌーに出会えてよかった。
英語もずーっと好きで、毎日単語30を覚えることを課したと書いている。すごい。赤尾の豆単はもちろん、なんか他の単語帳もマスターしたっぽいです。高校時代から原書も読んでいたらしいし。
直接関係はない話だけど、なんで自分は高校時代「暗記」がイヤだったんだろ。高校で三角関数の公式をどうしても丸暗記したくなかった。他の式から簡単に導けるものだから・・と称して暗記を拒否。これで数学がダメになった。大学入試の数学なんて1割もとれていなかったはず。

歴史の年号なんかもそう。覚えてしまえば楽なのに、なぜか嫌がった。いまでも正確に覚えている歴史年号なんて、世界史日本史ぜんぶ合わせても5コか6コ。。英単語もダメだったし。

不思議だなあ。