「東京零年」赤川次郎

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tokyozeronen.jpg集英社★★

赤川次郎というと何を読んだかなあ。初期の頃、なんか団地ものを読んだような記憶がある程度。代名詞らしい「三毛猫ホームズ」シリーズは知りません。

気になって調べてみたら「セーラー服と機関銃」もそうだったんですね。たしか電車の中で読み切るような軽い小説でした。そこそこ楽しかったかな。あとは知らん。

で、この「東京零年」、2016年の吉川英治文学賞に選ばれた。ふーん、です。赤川さん、あんまり賞には縁のない人のような気がします。

中身については、うーん。けっこう厚い本ですが、さして言うほどではありません。ま、日本が秘密保護法とか共謀罪とか、どんどん押し進めていったらこの「東京零年」の世界になる。ま、数十年後という設定でしょうが、今でもけっこう近いですね。

絵に書いたような検察の大物とか暴力刑事とか反戦デモを計画する活動家とか金で買われたジャーナリストとか裏切りとか。

そこそこ面白いですが、なんせ赤川次郎の世界なので妙に軽いです。犯罪人やら裏切り者やら、殺人、浮気、若い恋、家庭内暴力、みーんな景気よくテンコ盛り。そんなに深刻じゃない。怖くない。あちこちの矛盾や設定のほころびは気にしないことです。