集英社★★★
東京に住まう(?)地霊の話。というより「地霊らしきモノによる」一人称の語り。ひたすら饒舌な独演会。400ページを超します。
地霊はウジ虫やネズミだけでなく人間の形もとるらしく、幕末の侍やら関東軍の参謀、はたまた戦後の暴力団、政治家、ジュリアナお立ち台の女王・・・と憑依する。事件のあるところに「私」がいる。正しくは「憑依」じゃないですけどね、詳しくは本書を読んでください。
みんな悪い奴です。地霊に良心とか善悪とかあるわけがない。だからけっこう痛快。はちゃめちゃ。そうやって最後は3.11です。ひょっとするとフクイチを描きたいと思って奥泉は始めたのかもしれない。ただ、その割には終盤が疲労気味でした。たぶん、エネルギーが尽きた。