「パリが愛したキリン」 マイケル・アリン

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翔泳社 ★★★

paris-kiruin.jpgマルムークマムルーク朝エジプト。実に怪しげな実力派総督がフランスのご機嫌をとるために、キリンを一頭送ります。ちょうどギリシャ独立戦争が始まる頃で、総督としては一種の懐柔策。贈答品。賄賂。

ナイル川の源流ふきんからキリン(捕獲時は赤ん坊)はスーダン、エジプトを旅し、船に乗ってマルセイユへ。そこからまたテクテク歩き、パリに到着。なぜか牛の乳が好きらしく、先導する雌牛たちのお尻にくっついて延々6000キロ。

なかなかに興味深い一冊でした。王政復古期の平和なパリの市民はキリンを熱狂的に迎えます。同行飼育係のエジプト人(だったかな)は動物園のキリン舎の二階に住み込みで、気楽な生活。夜になるとけっこうご婦人方と遊んでいたということです。

反イスラム感情を融和できたかどうかは明確でありませんが、上流階級ではキリン型の高い髪形も流行したというし、あちこちにジラフ亭なんていう居酒屋がたくさんできた。なるほどねぇ。