オリンピックの身代金

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珍しくテレビドラマ。2夜続けてテレ朝の「オリンピックの身代金」を見ました。うーん、期待通りというか、期待外れというか、なんとも難しいです。

少なくとも出演者は超豪華でしたね。有名どころをほんのチョイ役で惜しげもなく使う。ただし、豪華だから見応えがあるかどうかというと、少し疑問ではある。とはいえ下手な俳優だったら、もっと酷いか。

ま、あえて文句いうほどではないんですが、脚本をちょっと過剰ウエットに作りすぎたみたいで、捜査一課のバリバリ刑事があんなに犯人に同情しちゃいけません。もちろん犯人には言い分があるんでしょうが、でも刑事が共感を表に出したらオシマイ。まして人に話すなんて論外。

もちろん他に刑事はいないのかというくらい竹野内豊が大活躍です。ほとんどスーパーマン。なんでもかんでも竹野内がやっちゃう。最近のドラマの困った傾向ですね。

で、逃げようとした笹野高史のほうはあっさり射殺(拳銃でリアウインド越しに命中。神業)。そもそも何で射殺したんでしょう。殺してしまったら身代金取引が破約になってしまう。犯人が2人揃ってる場面でなら一気に制圧という決断もできると思うんですが。はて。

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で、肝心の場面では主犯の松山ケンイチを撃つのを何故かためらう。他の刑事連中も周囲を取り巻いてるだけで(アホか)、マツケンの演技をたっぷり見せるためか、犯人がぶっちゃべりながら悠々とダイナマイトを出し、ライターで火をつけるのを(ずいぶん時間がかかったなあ)ボーッと見てる。ちょっとやりすぎでしょう。

たしか奥田英朗の原作のほうでは、即座に射殺だった記憶があります。ま、当然の判断でしょう。すぐそばに大観衆がいるスタジアムの外廊下です。もし爆発したら大惨事。やはり問答無用、犬のように射殺してメデタシメデタシ。でもその結果として、視聴者側になんか遣り切れない思いを残させる・・とか。ちょっと高等すぎるか。

変というなら、処理済とはいえ爆弾抱えてわざわざ観客席を走るシーンはもっと変ですけどね。

時代をあらわす小道具、大道具はよく用意したと思います。大変だっただろうなあ。でも、それでも時代を知ってる人間からすると、ちょっと違和感が残る。こういう時代物のドラマを作るのは難しいです。幕末ものや明治ものなんか、タイムワープしてきた時代人が見たら怒るだろうな、きっと。

とかなんとか難点は多々ありますが、そこそこ面白かったです。

笹野高史は好演。この人、こういう役柄だとハマリ過ぎ。黒木メイサはそもそも出す必要がなかったけど、少なくともグチャグチャしゃべらせないのが良かった。これが「だっておかしいわ!」とか何か言い出したらかなり興ざめになるところでした。

なまじキッチリした原作があると、あんまり逸脱できないので脚本もたいへんです。原作がないと力のない脚本家は苦労するし、原作があってもやはり苦労する。どっちにしても、いい脚本はめったに作れません。