「ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争」デイヴィッド・ハルバースタム

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

★★ 文藝春秋

coldestwar.jpg


以前に読んだ児島襄の「朝鮮戦争」がけっこう良かったので、こちらも借り出し。要するに朝鮮戦争についてあまり知識がないんです。

ただし「ザ・コールデスト・ウインター」は米人ジャーナリスが完全に米国視点で書いた本です。そもそも原題が「America and The Korean War」。米国と朝鮮戦争、ですか。

児島襄の朝鮮戦争も読み終わって日がたつと細かい部分なんて完全に忘れてしまいました。ま、マッカーサーがタカをくくっていた。唯我独尊。おまけに李承晩が酷すぎたし、韓国政府もグズグズで内部もメチャクチャ。もちろんトルーマンや閣僚たちも政争にあけくれ、将軍たちも自分の見たいものしか見ないでマッカーサーに遠慮している。そういうところに北朝鮮軍が一気に侵入。

「ザ・コールデスト・ウインター」では、韓国軍の詳細や李承晩、韓国政府のゴタゴタにはさして関心がありません。その代わりマッカーサー、東京司令部の阿諛追従ぶり、大統領、政府幹部たちの性格や事情などなどが非常に詳細です。当初の米軍はなぜこんなに混乱していたのか、弱かったのか。なぜこんなに戦闘が悲惨になったのか。もちろん金日成や彭徳懐についても詳しいです。

で、ひとことで言うと、これはマッカーサー糾弾の書ですね。マッカーサーとその部下たちの無能と傲慢ぶりをいやというほど描いている。ま、それも仕方ないんで、当時のマッカーサーは神様でした。トルーマンの言うことさえ聞かない。しかも巧妙かつ政治的に動く。発信力もある。そこに共和党と民主党の足の引っ張りあいも重なる。あえて危険をおかして渦中の栗を拾おうとする政治家も軍人もいなかった。この本の中ではGHQのウィロビーとマッカーサーの寵臣アーモンド将軍がとりわけ糾弾されています。途中で交代のリッジウェイは非情ではあるが有能な将軍として描かれています。

そうそう。本筋に関係ないですが、インタビューを受けた士官たちの経歴で「ウエストポイントに入れてもらうため議員推薦をとる」というエピソードが何回も出てきます。てっきり裏口推薦かと思ったのですが、そうではなくてこれが公式だったみたいです。地区の議員の推薦がないと入学できないルールになっていたらしい。で、もちろんコネのある志望者が有利になる。ちょっと面白い仕組みです。