2018年4月アーカイブ

新潮文庫★★★
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何気なく棚から抜き出し。かなり前に買った本です。

読み始めたらけっこう面白くて、すんなり読み切ってしまった。酒見賢一のデビュー作です。これでファンタジーノベル大賞。才能というものでしょうね。

中身はなんというか、ま、中国史伝ふうの匂いのあるファンタジーです。荒唐無稽。後宮に入った少女が好き勝手やって好き勝手に生きる話です。あまりにアホくさくて、つい笑ってしまう。しかし格調というか品はあります。すごーく褒めると脳の柔らかくなった中島敦。実際、作者は他の本ですが中島敦記念賞をとっています。

この作者では「陋巷に在り」の前半4分の1くらいもいいですね。主役は孔子の弟子である顔回です。ただし後半はだんだんアホらしくなる。「泣き虫弱虫諸葛孔明」も悪くはないけど、くどくて疲れます。そういう意味でデビュー作の「後宮小説」は長すぎずスッキリあっけらかんとして素晴らしいです。


講談社★★
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桐野夏生はたいてい面白いですね。えーと、東電OL事件にヒントを得たみたいな「グロテスク」、ユートピア共同体の「ポリティコン」、沖縄の汗と暑さが臭う「メタボラ」。ちょっと重いけど、飽きずに読める。

「猿の見る夢」は困ったオヤジの身勝手というか、思い切って卑小化した中年サラリーマンのお話。欲張りでスケベーでケチで。男だけでなく、ついでに周囲のオバサンもオネーサンもみーんなグイグイとえぐる。情け容赦なく晒す。うん、そうだよなー・・とは思うけど、別に読んで楽しくはないです。だから感想は「★★」。

こんなにオンナの正体を晒せるのは、やはり女性作家ですね。男だとどうしてもこれほどきつくは書ききれません。ちょっと甘くなります。(逆に主人公の中年男、身勝手な奴だけど、なんとなく甘い部分があって、書き手はそんなに嫌ってはいないのかな・・という感じもしします)


中公文庫 ★★★
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ちょっと前に映画化されましたね。妻夫木がバラエティに顔を出してやたら番宣していた。そのせいか本の表紙も映画バージョン。こういうの、あまり良くないと思うのですが。小説の人物イメージが現実の俳優に汚染される。かりに汚染でなくても、影響を受ける。

ま、ともかく。吉田修一はけっこう読めるという記憶だったので本棚から抜き出し。夕食前の時間を利用して何日かセコセコ読みました。面白かったです。

なるほど。殺人犯が整形して逃亡中。いかにも怪しい・・という人物が房総と東京と沖縄にいる。はて、犯人は誰だ。信じるのは誰で信じないのは誰か(テーマはたぶん「信じる」ということでしょう)。そして振り回されるのは房総の漁師(と娘)、東京のゲイ、沖縄の少女。

誰が演じたんだろうと当時の映画を調べたら妻夫木聡と綾野剛、渡辺謙と宮崎あおいと松山ケンイチ、広瀬すずと森山未来。よく揃えた。なるほどねぇ。


日頃の素行がよくなかったのか、新潟の旅ではひたすら雨に祟られました。はい、難行苦行。

初日、新潟に泊まった夜は久しぶりに兄弟で集まり、地元の三兄にご馳走になる。懐かしい顔も見たし食事もよかったんですが、外は寒かったです。夕方には季節外れの霰(あられ)も降ったし。

で、翌日も冷え込んで雨模様。古町あたりを散策と思ったけど、ずいぶん変化したんですね。曜日もあるんだろうけど、中心部にもけっこうシャッターが目立つ。あきらめて、予定を早めて各停に乗り、さっさと村上へ。新潟駅には「新潟から新型へ」などという訳のわからんんポスターがたくさん貼ってありました。あと数日で新幹線と在来線が同じホームになるらしい。たぶん画期的なんでしょうね。

村上駅からは旅館送迎ですぐ近くの瀬波温泉へ。「昨日は雪が降ったんですよぉ」などど運転の番頭はんが言うておった。ひぇー。部屋から見る海はどんより厚い雲でしたが、なぜか夕方の一時だけお日様がのぞいた。まずまずの日没シーンです。ほんとうは水平線に落ちる瞬間がいちばんきれいなんだけどね。ま、仕方ない。

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旅館からの景色。夕方の一刻だけ日がさした。

そして最終日。天気がよければ近くの笹川流れと考えていたんだけど、そんな状況ではなさそうで、仕方ない、地味に村上市街散策に切り換え。天井から塩引きがぶらさがっていたり、武家屋敷が並んでいたり、ま、そんな感じなんでしょう、きっと。

それでもけっこう降っているので駅の待合室でしばらく時間をつぶし、雨足が弱くなった気配を見て、さ、行くか。ほとんど期待しないで歩きだしたんですがメインの「肴町」という通りにさしかかった頃からまた激しくなってきた。軒先にしばらく避難したものの、10分まっても15分まっても見通しがたたない。どんどん激しくなる。下校の子供たちもみんなズブ濡れで通る。はい、撤退に決めました。見切り千両

ただ、勇気ある撤退をしたはずだったのですが、そこから駅までの10分ほどが地獄でした。ほとんど台風ですね。横殴りの雨で、ときどき霰がバラバラバラと飛んで、道路にうっすらグチャ雪が積もっている。ひたすら冷たい。上着もバッグも完全ズブ濡れ。もちろん靴の中もドボドボ。傘をもつ手が凍える。強風で傘が壊れそうにしなる。ひぇー。こんなところで遭難したらシャレにならないです。

完全に降参。サッサと新潟へ引き上げることにしました。新潟へいけば、なんとか時間はつぶせるだろう、市街地だし。たぶん室内は暖かい。

ということで、新潟では時間つぶしのためまた駅前からバスに乗って東堀通りへ。加島屋の二階にある「茶屋長作」というレストランが目的です。子供のころから鮭とか筋子が大好きな横浜の兄が、新潟へいくと必ずここへ寄ると話していた。話を聞くと美味そうなので、やはり行ってみるか。一階はふつうに加島屋の売店なので、なにか土産も買えるだろうし。

店内はゆったりしていてシニア層が目立ちます。キングサーモン味噌漬をメインにした「長作膳」を頼んで1400円余り。家内は五色なんとかいう丼を頼んでいました。階段降りた一階では山海漬けとか安売りのメンタイとか、良さそうなものも並んでいました。加島屋だけに値ははりますが、それでも店舗販売だから少しは割り安得感がある。面白い買い物でした。

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長作膳。焼き魚は鮭と銀鱈のチョイスから。今回は味噌漬の鮭。(味噌汁も鮭の身入り)

新潮文庫★★★
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重松清という作家、もちろん名前は知っていたけど、読むのはたぶん初めてじゃないかな。この作品で山本周五郎賞。それから何かで直木賞だったか。気になって調べてみたら「山本周五郎賞」受賞者には吉本ばなな、熊谷達也、荻原浩‥けっこう面白い名前が並んでいます。へんに直木賞とるより確率が高いのかもしれない。

で、この本。えーと、中学生の話です。いろいろあるけど、要するに中学生が何を考え、なにに鋭敏になり、なにを嫌がっているのか。自分のことを思い出してもそうですが、中学生ってのは「人類」に入れないほうがいいですね。幼児 → 子供 → (中学生) → 少年 → 大人 。幼児や子供でひとくくり、少年・大人でひとくくり。その中間の特殊な位置です。あくまで「中学生」という生き物と考えたほうが正しい。

というわけで、ストーリーはあまり重要ではありません。触ったら傷つきそうな肌を持っていて、しかし概観はあくまで鈍感そうな存在。信じられない大飯食らい。何を聞いても答えない。何を言っても反応しない。心の深いところでイジイジと役に立たないことを考え続けている。


doomsday2018.jpg早川書房 ★★★

たぶん三回目か四回目くらいでしょう。もちろん楽しめた上下本ですが、うーん、星は3つがいいか4つがいいか。さすがに何回も読んでいると迷いが出てきます。

興味をひく部分もだんだんズレていきますね。具体的にいうと、今回はモテ男のウィリアムがそれほど面白くなくなった感じで、すこし減点。敵役のギルクリスト教授はかわらず無敵。研究室から病院にかけてウロチョロするコリン少年は少し良くなって加点。発掘現場の研究者はけっこういい味。ハンドベルのアメリカ人ツアーご一行は期待に反して特に変わらず。

14世紀のイングランドは相変わらず冷えて冷えて骨まで寒そうです。氷のような石畳にヒザをつく感じが伝わってくる。当時のバースはけっこうおおきな都市だった気配。それにしても乳の張った雌牛は辛そうだなあ。絞る人がいなくて放置されたら結局は死んじゃうんでしょうね、きっと。

そうそう。気になって調べてみました。中世史学科の女学生 Kivrinという名前は、どうも katharine と同じらしいですね。変形というか、バリエーションというか、正確な言い方がわからないけど。ネットには(正体不明ですが))Kivrin Wilsonという人名を使ったサイトもありました。

ついでにブログ内の主なコニー・ウィリス本にリンクを貼っておきます。

「ドゥームズデイ・ブック」の表紙
「犬は勘定に入れません」
「ブラックアウト」
「オール・クリア」

で、翌週の30日(土)は近くの小金井公園へ。2週連続の快挙です。

買うより美味しいからとお握りは家内が10コつくり、駅で待ち合わせた娘はヤキトリなど仕入れていたらしい。途中のコンビニでロング缶のビール(プレミアム)を購入。公園の桜は満開をちょっと過ぎたあたりです。賞味期限ギリギリ。まずまずの日和で人出はちょっと少なめ。ひたすらハラハラハラハラと花びらが舞っていました。

数本のヤキトリをかじり、ちょっと多すぎたけどお握り4つをなんとか始末し、美味しくビールを飲んで腹一杯で帰宅。これもまた良い花見でした。

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不思議なことに紅白が入り交じった樹もある

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