「猫男爵(バロン・キャット)」神坂次郎

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小学館 ★★★

 

balonneko.jpg神坂次郎というと「元禄御畳奉行の日記」しか知りません。今回の「猫男爵」、内容がまったく見当もつかない本でしたが、なんとなく面白そうで借り出し。

実話のようです。上州の片隅を領する百二十石(百二十万石ではない)の大名・岩松満次郎俊純という人の話。大名という言い方が正しいかどうかは不明ですが、少なくも大名の格式は持っていた。何故かというとこの人、なんと八幡太郎義家の正嫡であり、おまけに新田源氏の由緒正しい血もひいている。ほぼ純血種の源氏ですな。

なんせ神君・徳川家康がこの系図を流用(盗用)している関係で粗略にはできない。通常なら万石くらいは貰っても不思議ではないんだけど、当時のご先祖が家康に系図を譲らなかったので不興を買い、その結果が二十石。その後いろいろあって百二十石にはなったんですが、こんな収入で暮らしていけるわけがないです。

したがって工夫します。主な収入は正月の年始回り。あちこちの上屋敷に年賀に行って頂き物をする。家紋をあちこちに貸し出す。たとえば飛脚に貸してやると、その飛脚は大名飛脚の扱いになるんで実にスムーズに通行できますわな。

その他、関八州ネズミの被害を防ぐために効験あらたかな猫の絵を描いて下げ渡す。代々この家の当主は子供の頃から猫の絵を練習したんだそうです。

というような不思議な家のお話に、神坂さん発掘(ばっかりでもいなと思うけど)の当時の面白エピソードをいろいろ取り混ぜてあります。

そうそう、明治の元勲・井上馨の奥さん「武子」はこの満次郎俊純の娘なんだとか。鹿鳴館の主役ですが、なんとなく・井上武子ってのは芸者あがりとばっかり思い込んでいました。