「アレクサンドロス大戦記」 ヴァレリオ・マッシモ・マンフレディ

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徳間書店 ★★

 

alex.jpg全3巻。このテの本は箸にも棒にもかからない駄作か、あるいは意外な掘り出し物か、たいていは両極です。で、今回は・・・うーん、完全な駄作とも言い切れない微妙なところですね。飽きずに読了しました。

案外良かったのは当時のマケドニア人(ギリシャ人)の発想、考え方、生活が(一応は)ビビッドに描かれていた点でしょうね。真実かどうかは不明ながら、それらしくは書いてある。女性向け歴史小説なんぞにありがちなパターンですが、たとえばアレクサンドロスが妙に現代的な正義感だったり、女性に潔癖だったり、さすがにそういう素人臭い書き方はしていない。当時の武将らしく酒も女も、たぶん男も大好きな若者として描写される。宴会ともなるとみんなすぐ裸になるし、最後は乱交もなるし。やたら登場する美女がすぐ大王に惚れてしまうのは、ま、ご愛嬌です。

読み終えて、なぜマケドニア・ギリシャ軍がそんなに強かったのか、知りたくなりました。重装歩兵や軽装歩兵、騎兵などの連携がよかったという趣旨の説明が従来は多いのですが、ほんとうにそれだけなのか。また、同じような戦法でなぜダレイオスの大軍を(少なくも二度の会戦で)破ることができたのか。

ファランクスはについてはこの本で多少は知識を得ています。マケドニア式の改良型ファランクスを軸とした戦い方が結局は全アジアに通用してしまったということなんでしょうか。

そうそう。それとは別に大王死後の後継(ディアドコイ)戦争。このへんの詳細を記した本はないかと少し探してみたけど、簡単には見つかりませんね。武将たちがいろいろ衝突したあげく、結局セレウコス朝とかプトレマイオス朝とか、あと何でしたたかができたという程度は高校の歴史で学んだ記憶があるのでずが。