「西郷隆盛 第7巻」 海音寺潮五郎

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★★★ 朝日新聞社

saigo.jpg6巻まで読んで中断していた「西郷隆盛」を再開。実は6巻読了段階で次の7、8、9巻が貸し出し中で、残念ながら続けられなかった。

で、先日ふと思いついて図書館を検索してみると、おっ、7、8、9が揃っているではないか。もちろん3巻まとめて借り出しです。


写真は5巻の画像を流用


7巻の内容は禁門の変(蛤御門の変)で長州が酷い目にあい、おまけに馬関戦争でも四国連合艦隊にさんざん負けた後始末の付近です。

幕府は勢いに乗っての第一次長州征伐。ここで西郷隆盛は東奔西走の大活躍をし、大久保もよく動きます。で、落ちた公家さんの護衛をやっていた中岡慎太郎も華々しく本舞台に登場。高杉晋作のクーデターが成功し、潜んでいた桂小五郎もこっそり帰って来ます。坂本竜馬も活躍。ついには薩長同盟の成立ですね。

通常の小説なら重要人物の勢ぞろいでクライマックスシーンなんですが、この本は小説じゃなくて「史伝」なので、けっこうアッサリ進みます。そうそう、新撰組の近藤なんかも出てきますが、パラパラとほんの数行 数十行ですね。伊東甲子太郎とか武田観柳斎も登場しますが、これは単に名前だけ。しょせんは下っぱの実行部隊なわけで、歴史的には枝葉ですわな。

ふむふむと読んでいると、坂本龍馬だとてしょせん主役級の一人でしかなく、大久保も中岡も高杉も、みーんな重要な登場人物。もちろん徳川慶喜もそうです。饅頭や近藤長次郎だって重要な役割を演じています。だれか一人のヒーローが何かをやって維新が成功したわけじゃない。ま、その中でもなかんずく西郷の役割は大きかった‥‥と海音寺さんは言いたかったとは思いますが。

なんというか、坂本龍馬というヒーロー、半分以上は司馬さんが作り上げてしまったような気がしますね。もちろんヒーローではあったでしょうが、その代わりにたとえば中岡慎太郎なんかが埋没してしまってる。

・・・てな具合に読んですまが、この調子で返却日までに読了できるんだろうか。かなり懸命に読まないと、また読み残してしまいそう。楽しいけど難儀なことです。

それにしても当時の大立者たち、よく動き回ってます。東奔西走という言葉、文字通りですね。時間もかかる。費用もかかる、根気も手間もかかる。体力も必要だったんだろうなあ。みんな、えらい。