江・姫たちの戦国

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珍しくというか、多少は変わったかなと怖いもの見たさもあって大河「江」をを見てしまいました。この大河、時折は見ていたのですがなんとも形容しがたい。面白いとか面白くないとか評価する以前で、悪口言う気もおきないので、このところずーっとスキップしてました。

で、今週。あはは。変わってない。まったく同じです。

あいかわらず出戻り(強制離縁か)のお姫様は悪いクセがなおらず夜中でも勝手に一人でフラフラ歩き回ってるし、どこの部屋でも顔を出すし、それにしても大坂城はえらく狭くて、ぜんぶで二部屋か三部屋ぐらいしかないみたいだし。せいぜいでも4DK+大広間+廊下程度ですね。庭も狭いぞ。猫の額だ。

総じて舞台設定が貧弱です。セットにお金がかかっていないということではなく、舞台の広さの感覚がない。スペース感覚がないから、VIPとVIPがすぐ出会って、やあやあと挨拶する羽目になる。オナゴ衆のエリアにいきなり若い武将がズカズカ入ってきたり。あら、いい男。おっ、いい女。

蛇足ですが、「坂の上の雲」の宮殿シーン。ペテルベルグだったんでしょうか、ニコライが大広間に入ってきてからコッコッコッコッ・・・と伊藤博文のところまで足早に歩いてくる。あの「間」がよかったですねぇ。ジーンときて涙が出そうだった。そう、宮殿はとにかく広いんです。広いところを歩くと時間がかかるんです。

ちなみにいくら家が狭くても、廊下をバタバタ走っていって、いきなり襖を開けるのはダメです。とくにお客と用談中になんて、とんでもない。5歳の子供であっても叱られます。品性いやしい盗み聞きもタブー。ましてや叔母さんの北の政所に酔ってグチこぼしてるニイさん(これが秀次だったとは知らんかった。ひぇー)に無礼なこと言っちゃいけません。あの当時でも秀次、一応は数十万石は稼いでる武将です。

そうそう。たしか以前は北の政所、江にたいして不思議なほどていねいな口をきいてました。信長が生きてる頃はともかく、たかが浅井の遺児たち(その後は柴田権六への連れ子)に対して、なんでこんなにへりくだるのか。なんで孤児の三姉妹が偉そうなのか。江もサル、サルと口走りすぎですよね。住まわせてもらって食べさせてもらってるのに、サルだとか仇だとか。可愛くないです。礼儀を知りなさい。陰口たたくなら、すみっこでヒソヒソと、侍女にも聞こえないように話すもんです。

それがいつのまにか逆転してました。当然のことながら政所がけっこう上から目線で話をしている。これ、脚本家が意図的に変えたのか、何も考えず適当に書いてるのか。不明。だだし何かを境に立場が逆転という出来事はなかったはずだから、なにも考えてないんでしょうね。もちろん江も気がついてないので、口のきき方はあいかわらずでしたけど。いつになっても山賊の娘みたいな話し方しかできない女です。

ついでですが、しつけの良い子女は決して立ち話しません。用があるときはかならず座って話す。立ったまま大声で話すのは決闘でもするときだけです。

生意気っていえば、最後にひょろっと出てきた秀忠も設定がようわからん。クールというかヒネたガキんちょで、怖いオヤジ殿に対して何かへろへろ言ってましたね。よくわかりませんでしたが、戦争が嫌いだったのかな。「初陣だなんて、そんなんヤル気ねぇよ」という雰囲気。もしかしたら「父上、人を殺すのは反対です」とか。あは。

今回に限ったことではないですが、だいたい殿や姫にお付きの家来や女中はいないのかなぁ。セリフ言う必要はないんですが、どんな時でもせめて襖の影に座っていてほしいです。今年のアレの場合は、お小姓どころか家来は三成しかいないし、他に誰かいると思うと石坂利休だけ。あとは役にたたない常連のオナゴ衆、たぶん二人。あっ、なぜか家康もいたか。

たった一人の家来じゃ忙しいですけど、三成もほんと気がきかないですね。「秀吉の子供じゃないぞ」なんて怪文書をダイレクトに報告するなんて、なんとアホな。グサッと傷つくじゃないか。そんなことするから秀吉が怒っちゃって、挙げ句の果てに小娘に「何があっても知りませんからね」なんて怖い脅しぜりふを吐かれる羽目になる。ひょっとして、秀吉の因果が報いてお捨(鶴松だったっけ)は死ぬ羽目になるのかな。

ついでですが、この大河に限らず感じるのは、武士はそう簡単に刀を抜くなよということ。脅かしのつもりなんですかね、すぐ抜く。抜いたら引っ込みつかなくなるのが刀というのもなんですが。すぐに抜いて、切りつけもせずヤァヤァヤーと構えたまま。子供のケンカじゃあるまいし。抜いた刀はあとの手入れも大変なんです。

特に、特に指揮官は刀を抜いて戦ったらいけません。ま、たまには個人戦闘が好きな武将もいたらしいですが(黒田長政とか)、基本的には後方で床几に座ってガマンしてるもんです。指揮官が刀を抜くような場面がきたら完全に旗本総崩れの敗戦ですわな。やせ我慢してじーっと座っていて、もし敵兵が殺到してきたら仕方なく殺される。多少は抵抗したってかまいませんが、通常はもう無駄です。だから井伊直弼はカゴの中で刺されてます。(三成のザンゲンという説もあるようですが、金吾中納言でしたっけ、木っ端武者のように槍もって戦ったという理由で秀吉に大叱責されたとか)

イミナに関してはもう文句言ってもしかたない。「内府」と言ったってそりゃわかってはもらえないから「家康」。でも「家康」「秀吉」とかの呼び捨ては気にかかるなあ。どんなに嫌いであっても敵方であっても、いちおうは「秀吉さま」「家康どの」とか「上様」程度の敬意は払ってほしい。それが礼儀ってもんでしょ。対立党派のリーダーであっても一応は「管サン」とか。ん、これは少しニュアンスが違うか。

ま、いずれにしても単につまらないだけでなく、礼儀知らず、常識知らずのドラマは嫌いです。どんなハチャメチャな出来事を創作したってかまいませんが、なんとなくの「もっともらしさ」を裏付けにしてくれないと悲しいです。コメディにするんなら、きちんと笑わせてほしい。それを言うなら、天地人も酷かったなあ。あれも悲惨だった。