「銃・病原菌・鉄」(上下) ジャレド・ダイアモンド

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
diamond.jpg
★★★ 草思社文庫

ずいぶん前から評判の本ですね。副題は「一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎」。

そもそもは単行本を買おうと思って、でもあまりに高価なので原書を買った。アホやなあ。読めるかと思ったけど、すぐ挫折してしまいました。非常に難しいという英語ではないんですが、しかしかなり根気が必要。

図書館にも2冊置いてあるらしいけど、いつ見ても予約が数人、ひどいときは20人も待機。こりゃ無理だ・・と思っていたら、文庫発売を知りました。買わなきゃ首尾が一貫しないだろうなということで買った次第です。

文庫は上下2巻。いい本でしたが、おおまかな感想は「同じことを何回も何回も繰り返し述べてる」ということ。

ま、趣旨はシンプルで「民族人種による能力の差はない」「しかし大きな大陸ほど農耕・家畜・文字獲得の確率が高い」「海や砂漠など大きな障害のない大きな大陸ほど伝播の効率がいい」「東西に長い大陸ほど変動差のない同緯度を動けるので有利」「南北に長い大陸は気候差があって不利」

ま、こんな程度かな。で、先に発展した民族、集団は家畜といっしょに密集して暮らしているので、伝染病にもかかるし、生き残った連中は耐性もできる。競争が激しいので、武器の進化も早い。

中国帝国が停滞したのは「競争」の部分がネックといいます。完全な統一国家、ワンマン態勢を作ってしまったんで、内部の争いがエネルギーにならなくなった。例の明の鄭和の大艦隊なんか、せっかくの技術を皇帝の意志でぜーんぶ中止したって、だれも困らない。困らないから停止できたんですね。「しめた! この隙に・・・」という敵がいなかった。

そうやって「進んだ民族。力を蓄えた集団」が誕生すると、もう止められない。別に15世紀の発見ブームに限った話ではなく、大昔から強い民族はどんどん拡がっていって、弱いのを吸収する。アフリカ大陸の バンツー族もそうだし、東南アジアのナントカ人種もそう。みーんな力を得て周囲に拡がって、あっというまに「文字、知らんよ。農耕、やったことないよ。鉄、知らないよ。専門の戦士? いないよ」という連中を消してしまう。

消すとか吸収ってのは、きれいな言葉で、実質的には相手を滅ぼす、抹殺するんですね。意志をもって抹殺するんじゃなく、効率の悪いのが結果的に消えてしまう。土地を奪われ、病気をうつされ、混血され、食えなくなって消える。

大昔からヒトはそうやって周囲に拡散してきた。あっちこっちで拡散が起き、最後の最後、結果的にヨーロッパ半島の端っこの集団が、他の小さな拡散集団を押しつぶして全世界に大拡散。

そういうことのようです。いいとか悪いとかの問題じゃない。ヒトが生きるってことの宿命みたい。旅行鳩がいなくなり、ドウドウ鳥が消え、新大陸の住民がほとんど消え去り、オーストラリアから原住民が消えかかり、同じような色白生っちろい人種が世界にはびこる。

やっぱなぁ・・・という慨嘆の上下本です。