「憑神」浅田次郎

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★★ 新潮社

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たしか映画化もされたはずです。頃は幕末。そこそこ能力もある御徒組(だったかな)の次男坊が、拝んではいけない裏のボロ社(やしろ)にうっかり手を合わせてしまう。これが実は貧乏神・疫病神・死神の出店だったからややこしいことになります。

久しぶりに声がかかったってんで、喜んで登場する貧乏神が裕福な商人姿、疫病神が貫祿十分の力士、死神がいたいけな幼女・・という設定は笑ってしまいましたね。見事に通例を裏切っている。

貧乏神・疫病神・死神の3ボスにとりつかれたら、主人公はいったいどうなるのか。想像するだに怖い。

でも、この世界にはその世界なりに融通というものがあり、祟りの宿変えも可能。つまり矛先をいやな奴に振り向けてしまうこともできるらしい。カミ様たちにすれば員数さえ合えばいいんだから、本当は誰が相手でもたいした問題じゃない。もちろん宿変えされた人は大迷惑ですが。

なんやかんや、ドタバタ騒ぎの末に主人公はなぜか将軍様の鎧を着込んで影武者に変身、上の寛永寺へ乗り付けます。コメディだったはずが最後は妙にシリアスな展開になってきて・・・。というようなストーリーです。面白かったですが、ま、★は2つで十分でしょう。