いじいじ清盛の「保元の乱」

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大河ドラマの無定見イジイジ清盛、ほとほと呆れていたのですが、先週の「前夜の決断」は珍しくスッキリして良かった。なんといいますか、武士がようやく武士らしく動き始めた。あっ、叔父の忠正とひよひよ弟・頼盛の部分だけは不要でしたが。なんであんな不自然な脚本にするんだろ。なんか感動を呼ぶとでも思ってるんだろうか。

で、ようやく軌道に乗ってきたな、今週の「保元の乱」は期待できるぞ・・・と思った私がバカでした。今のNHK大河班に期待なんてしちゃいかんのです。

「保元の乱」も部分々々は良かったんですけどね。でも肝心の合戦がひどい。やる気なっしんぐの軍勢というか取り巻き見物が数十人いて、なぜか大将同士が真ん中で矢戦をして、矢が尽きるとみっともない太刀打ちをする。鎧着用の大将が太刀で戦ってどうするんですか。フル装備の大鎧、非常に非常に重いです。太刀で切ったって効果はありません。そういえば何故か薙刀が見当たりませんでした。当時の戦はまず弓矢、次いで薙刀と記憶しているのですが。

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大鎧=着背長。Wikiによると
一式30kgくらいあるそうです












ガンダム八郎為朝も一応はよかったんですが、その為朝が鎌田政清を射た征矢に、なんで父親の鎌田通清が当たってしまうのか。通清って源為義の一の郎党です。もし南門を守っていたとすれば、実質的な責任者のはずで、少なくとも主筋の為朝のすぐ脇にはいたはず。それが一瞬でワープして、飛翔する矢を追い越して、息子の楯になって死んでしまう。面妖ですなあ。

なぜ敵側である息子の身代わりにならにゃならんのか。それって、子供可愛さはあったにしろ、主である為義に対する裏切り行為ですよね。少なくとも責任放棄。行動の理由がわからん。

そうそう。出陣前に後白河帝がなんか武士どもを相手に演説ぶってましたね。これもすごく違和感です。そりゃ変わり者の後白河なら「おれ、しゃべりたい!」と希望したかもしれませんが、それを制止するのが信西であり、ズラリと並んでいた(はず。いなかったか?)貴族たちですわな。帝が立ったまま庭先の武士に施政方針演説するという不思議なシーンでした。

などなど。このドラマを作っているNHKの人たち、みんな超優秀な連中のはずなのに、なんか方向を大きく外している。何なんですかね。なぜ主人公は一騎討ちで個人技を披露したがるのか。院とか女御とかが平気で縁先に出てむさい男共に顔をさらすのか。まだ女御でもない程度の松雪ナリコが中宮国母タマコ様と同資格で院のそばに同席するのか。そもそも人前で院の横に座っているのが変なんですけど。あるいは一門の命運をかけた出陣の際に、女どもがしゃしゃり出て何か言ったりわめいたりするのか。

そういえば去年のナントカいうドラマでは柴田勝家が言うにことかいて「陣中、ひまなときは刺繍している」とか。あは。陣中はヒマなんですか。女房連れ子が鬼の柴田に向かって「戦争はいけないわ」とかも言うておりましたな。

そうそう。もっと前のドラマでは直江なんとかという生っちろい青年が、孤立した城に入るためか裸で海を泳いでいました。なんでわざわざお前が単身泳ぐんじゃ。そんなに水泳がうまかったんか。

水泳といえばNHKだけではないぞ。えーと、99年のナントカという橋田ドラマでも仲間由紀恵が太平洋行路の客船のデッキからスカートはいたまま海にダイビング、おまけに岸にたどりついてからは平然と靴はいて草彅の家まで歩いていったような。うん。あれもすごかった。

ま、現代ドラマの感覚からすればこうした言動行動でもいいんでしょうけど、そうした現代感覚とは違う時代の空気、違う行動原理で動いていた人たちを、魅力的に上手に描いてくれるのが時代劇なんですけどねー。

困ったもんじゃ。