「さよならバースディ」「押入れのちよ」 荻原 浩

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sayonarab.jpg★★ 集英社

バースディはボノボ。いわゆるピグミーチンパンジーの名前です。とある研究所でい飼われているバースディ、実は天才猿。キーボードを叩いて意思疎通が可能で、すごいすごい。なんかアイちゃんとか、同じようなチンパンジーがいましたね、昔。

研究を実質的に担っているのはしがいな助手で、きまりものの偉そうな教授とか、マスコミに人気の学者とか、ちょいと美人の研究生とか。助手は研究生が好きになり、ある日結婚を申し込もうと計画。しかしその夜、とんでもない悲劇が・・・。

ま、佳作とでもいうんでしょうか。悪くはないですが傑作ではないようです。


「押入れのちよ」 ★★

oshiire.jpgこれも同じ作者です。短編集。全編明確に意図があり、なんといいますか、叙述のトリックを試しているような感じですね。本人かと思うと別人。生きているかと思うと死んでいる。この部屋が憑かれているかとおもうと実は違う・・・。

表題になっている「押入れのちよ」、座敷童の話かと想像していたら違いました。昔のオカッパ少女の死霊です。今だったら婆さんみたいな古い口調でしゃべります。でもちょっと可愛い。

押入れから夜中に出てきてビーフジャーキとカルピスの好きな童女の霊で、けっこう後味のいい短編でした。