久しぶりに安心して見られる「八重の桜」

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今年の大河ドラマは久々にまともですね。安心して見ていられます。

えーと、去年は「平清盛」でしたか。けっこう期待していたんですが、何を言いたいのか不明でした。汚いのがひたすら「オレはだれなんだぁ・・」と喚き続けてうんざり。導入の数回ならともかく、それがけっこう延々と続きましたね。

そもそも「武士の世」ってのが何なのか伝わっていません。映像もひたすらスケール感がなくて、いつもせまい屋敷でウジウジやってる。なぜか猫の額みたいな庭で必ずニワトリが散歩してたり、北条時正オジサンがひょこひょこ大根もって慰問にきたり。

その前は「」か。あれはまあ、なんというか論外の論外で、早々に逃げました。なに考えてあんなドラマにしたんだろ。アホか。

で、更にその前は「龍馬伝」。これもなあ。主人公の行動原理がようわからんドラマでした。福山雅治がひたすら熱く叫びながら走り回っていた印象。せっかく蒼井優を使っていながら訳のわからないキリシタン密偵にしたり、なによりお龍さんに魅力がなかった。福山ヨイショ!も空振りだったし。

更に更に前の「天地人」。これは何というか、「江」といい勝負の最悪レベルでした。うるさかったですね。ギ ギ ギギ。「上杉の義」って何だったんだろ。無意味にカネツグでしゃばり続けで、何があっても何をしなくても兼続マンセー。説得力ゼロで、脚本家の頭の構造が疑われる。


というわけで、今年は珍しくホッとしています。残念なことに視聴率はそんなに高くないようですが、今までの悪業の数々が祟ってるんでしょう。身から出た錆。仕方ないです。今年レベルの大河をしばらく継続できれば、それなりにファンは戻ってくれると思います。

で、今週の「八重」は「ままならぬ思い」と題し、不逞浪人、孝明天皇の宸翰下賜、お馬揃え、新撰組登場、長州藩の攘夷砲撃などなど。激しく揺れ動いてややこしい時代です。短いシーンの積み重ねだけでこの時代の急激な流れを理解させるのは大変でしょうが、でもけっこう上手にやっていると思います。

なによりも田舎暮らしの八重(たぶんまだ15~16歳)が普通の娘っこというのがいいです。「あんつぁま、皆が平和に暮らせる世の中にしてくらんせ」などど生意気は言わない。

また会津の武士たちの所作も清々しい。痩せ肩の綾野剛の容保はきちんと背筋を伸ばしているし、子供っぽい小姓が背後に控えたりもするし、家来ははるか下座から話をする。宸翰が届けば当然のことながら、殿様以下全員があたふた下がって平伏。

会津時代の西島秀俊あんつぁまがなにかというと疾走するのはちょっとナンですが、ま、この程度は許容範囲。走るにしても腕なんか振らず、一応ちゃんと刀が暴れないように抑えて走っています。

今年は珍しく幕府・会津の側から見た幕末ストーリーです。必然的に薩長側は悪役・テロリストになる。従来ドラマに慣れてるファンには不満もあるでしょうが、ま、諦めてもらいましょう。こういう視点もたまには必要です。楽しみにしています。

新撰組もいまのところ怪しげな食い詰め浪士の扱いですね。実際、そうだったんだけど。ちょろっと顔を出した及川光博の桂小五郎も緊張感ピリピリで、よかったです。いかにも逃げが上手そう。三条実美の篠井英介もいい味出している。顔の異様にでかい真木和泉の存在感には抱腹絶倒。

※ 追記
雨中の天覧馬揃えの件、寡聞にして知りませんでした。無理やり夕方から開始する羽目になって、最終的には中断。その後いろ いろ過程はあったようですが、二回目の晴天時の演習では大砲も打ったらしい。御所のすぐそばで空砲とはいえ、そりゃ長州系公家に対する脅しの効果は抜群 だったとおもいます。


そうそう。実は来年の「軍師官兵衛」が恐怖。主演は岡田准一。うーん、キャラクタが甘いマスクの善意の人にならないか心配です。NHKは「人を裏切らない正直者」というスタンスでドラマを作るそうですが、カネツグの時も「愛の人」とか意味不明なことを言ってましたね。官兵衛、そのへんのバランスが実に微妙で、かなり心配です。