「願い星、叶い星」アルフレッド・ベスター

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negaiboshi2014.jpg★★★ 河出書房新社

アルフレッド・ベスターの中短編集を発見。河出の「奇想コレクション」シリーズです。比較的新しそうな本ですが、たぶん未訳を集めたものなんでしょう。それにしても何故ベスターなんだろ。

ベスターというと「虎よ、虎よ!」とか「分解された男」とか。詳細なストーリーはまったく覚えていませんが、雰囲気だけは残っている。ちょっと暴力的で時間旅行とかテレポーション、サイコものが多かったかな。かなり面白いSFだったような。

で、この「願い星、叶い星」。なるほどねえ。短いものは星新一のショートショート感覚だったりします。さすがに古くささはあるものの、でもカビが生えるほどではない。えーと、1950年代に活躍してたんですか。アスタウンディングとかギャラクシィ誌が元気だったころですね。

各短編、わりあい詰まらないものもあるし、結末の予想できるものもありますが、中では「昔を今になすよしもがな」が良かったかな。ありがちな地球最後の男と女の話ですが、すんなりロマンチックな方向には進みません。はっきり言えば、二人とも尋常じゃない。狂ってきている。その狂い方がなんというか、魅力がありました。

かなりボリウムのある中編「地獄は永遠に」は、自分としては好みじゃなかったです。