「泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部」酒見賢一

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★★ 文藝春秋
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思い出したように出版されるシリーズ本。自分が何部まで読んだのかまったく覚えていません。

ひょっとしたら書いたかな?と過去エントリーを調べたら昨年の2月に「第参部」を上げてました。第四部は去年の11月刊行。ほとんど新品です。図書館なのに手垢のついてない本を借りることができると、かなり嬉しいです。

で、第四部。例によってグダグダしながら劉備はついに蜀を手に入れます。これでようやく天下三分。ただし、実質的には曹操の魏が圧倒的に強いので、魏・呉・蜀の比率はたぶん6対3対1くらい。下手すると7対2対1くらいかな。これを称して天下三分と称するのはかなり無理があると思うんですが、ま、そうしないと面白くないので仕方ない。

この頃になるとハチャメチャ孔明のぶっ飛ばしぶりが鳴りをひそめた感があります。要するに出番が減る。ネタ本の三国志や三国志演義にもたいして書いてないのかもしれません。あるいは酒見賢一が出来事を追うのに必死になったとか。

で、英雄・関羽がついに死にました。

没後、どういう経緯で関羽が神界で出世したのか、つまり関聖帝君に成り上がって、世界各地に関帝廟が建設されるようになった理由も解説があって、これはなかなか面白かったです。ほんと、時代が下るにつれて、だんだん出世するんですよね。いちばん最初はせいぜい閻魔庁の下っぱ武神程度だったらしい。そのうち、算盤を考案したとかいうエピソードのせいか商人たちの支持を得て、だんだん偉くなった。いまでは中国文化圏でいちばん有名な神様になってる。

そして張飛もあっさり寝首をかかれます。これじゃ神格化は無理か。そうそう、曹操も病没。三国志がどんどん寂しくなります。最後には劉備も死亡。さらにどんどん寂しくなって、孔明の活躍の場がなくなる。第五部はあるんでしょうか。