「ナオミとカナコ」奥田英朗

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★★★ 幻冬舎

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奥田英朗ですから手慣れたもんです。デパートの外商に勤めるナオミと、学生時代から仲のいいカナコ(主婦)。二人がある男を排除(要するに殺す)するお話です。「殺害」ではなく「排除」という言葉を使う。

庶民にとって馴染みのないデパートの「外商」の雰囲気をまず紹介してくれる。なかなか面白い。ついでに在日中国人の女社長(とうぜん、やり手です)との付き合いで、話が発展していく。グジャグジャした夫の実家の事情やら田舎の父母やら、ま、「そうだろうな」というストーリーが続いて、やがて殺人。犯罪そのものは罪悪感なく、あっさり実行されます。

で、小さなテーマになっているのがDV、家庭内暴力です。ん、なんか他の作家にもあったな。荻原浩の「冷蔵庫を抱きしめて」。流行っているんだろうか。奥田英朗と荻原浩、似ています。どっちも達者なストーリーで、読んで損はしない。新刊を発見すると借り出すことにしています。

楽しめる一冊でした。