「罪人の選択」貴志祐介

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文藝春秋★★

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それぞれ違うテーマ、違う雰囲気で面白い長編を書く作家ですが、これはちょっとアテ外れ。書かれた時代もバラバラだし、内容もいろいろで4編を収録。習作集のような位置づけなのでしょうか。

えーと、最初のSFらしき夜の記憶は、光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」をほうふつとさせます。深海で目覚めたある生物ははるか昔のかすかな記憶を持ち・・・。ただし何を書くつもりか不明のごった煮です。

次の「呪文」。これは新世界より」の前駆ですね。念力と呪文と民俗、異形の惑星。見捨てられた人々のストーリーです。

本の表題にも使われた「罪人の選択」は、ミステリーということになるのかな。二者択一。アレかコレか。間違うと死。ちょっと気の利いた中編です。

最後の「赤い雨」。スタニスラム・レムをなんとなくイメージさせます。空から「チミドロ」が降り続く陰鬱な未来世界。かなり若書きの印象ですが、ま、悪くはないです。

ということで、貴志ファンにとってはこたえられない一冊なんでしょうが、オジさんはすこし辟易しました。