「日本まんが 参 きらめく少女の瞳」荒俣宏

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東海大学出版部★★★
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読まないつもりだったのに、目について続きを借り出してしまった。

この巻は少女マンガです。里中満智子とかと竹宮惠子、萩尾望都などなど。みんな若くして売れて、大胆に道を切り開き、一大ブームをつくった。そのころ、なんかで金が入ったというんでこの連中、連れ立って(たぶん22~23歳)、1カ月超えの海外旅行なんかしていた。まだ昭和47年ごろです。調べてみたら1ドルは300円くらい。

船でナホトカまでいって、列車でハバロフスク。そこからはさすがに飛行機でモスクワ。あとは北欧とかイタリア、フランスなどなど。竹宮惠子がクックの時刻表を手に入れて旅程をつくったらしい。ひえー。自分もクックは使ったことがあるけど、それを半世紀近く前にトライしていたのか。ま、そうやってこの連中の、あのヨーロッパ調の優雅なマンガの雰囲気がうまれた。たぶん。

この時代、ふとした縁でマンガ編集やってる人と数日つきあったことがあります。ちょっとヤクザな雰囲気で、正規の まっとうな社員という感じではなかったな。これから若い奴をたたき起こしに行くというのにつきあって、あれはひょっとしたらトキワ荘だったのか。思い起こすと間取りなんかは似通っているんです。二階のどこかの部屋にガラッと入って、まだ寝てんのか!仕事しろ!とか怒鳴って汚い布団を蹴飛ばす。若いのがうらめしそうな目で起き上がる。タコ部屋ですね。

その編集から確か里中満智子の話を聞いた記憶もあり。数年前から可愛い女子高生でデビュー。東京に出てきて、若い編集はみんな狙っていたけどお互い牽制しあって。それなのにどっかの誰かが抜け駆けした。あいつ、うまいことやったな‥‥とか言うておりました。

妙にナマっぽい。昔の話ですね。