2011年6月アーカイブ

tokei.jpg去年でしたか、壁掛け時計の秒針が止まりました。止まったといっても完全静止ではなく、ピクッピクッと動く気分はあるけど動けない状況。電池を交換しても変化はなく、こりゃ壊れたかと床に置いておいたら、そのうちまた動き出した。理由は不明ですが、ま、動くんならまた使おう・・・と元に戻しました。

で、先日、また秒針が止まりました。秒針が同じところでピクピクしている。今度こそ完全に寿命でしょうね。念のため可能なところまで分解してみたけど、どうやらムーブメント(タバコ箱程度の大きさの駆動部分)がダメになったらしい。調べてみると、ムーブメントだけの交換は無理で、時針、分針などとまとめての交換になる。数千円はかかるようです。

いったい買ったのはいつだろうと裏を見たら、えらい! ちゃんと購入日時をメモした紙が貼ってあった。はい。昭和60年9月です。

なんとなんと、もう26年も使い続けてきたのか。さすがセイコー。よく動き続けました。たぶんムーブメント内臓の歯車が磨耗したかなんかでしょうね。

ところがこれも念のため、分針を無理やりグルグルまわしてみたら、また動き出したではありませんか。すぐ止まるかな?と様子を見ていますが、1日たっても2日たっても動き続けています。まだ1年や2年は持つかもしれません。

★★★ 文藝春秋

muri.jpgこれも初めての作者。なぜか図書館の本棚に3冊あったので、たぶん人気の本なんでしょう。気になって借り出してみました。

面白いです。飽きずに読みました。内容は東北の小さな市(最近町村合併したばかり)に暮らす人々のお話。どうしようもない閉塞感です。かなり実態に近そう。

一人は市役所のケースワーカー。奥さんは出ていきました。上からは生活保護の件数を減らせと圧力かけられている。相談に乗っている申請者たちはみんな身勝手で、楽して遊ぼうとしか考えていない。やる気がないわけではないけど、だんだんウンザリしている。パチンコ屋の駐車場で、若妻らしい女の密会現場をみて、心がときめいてしまう。

一人は暴走族あがりの若い男。別れたモト妻はぷらぷら遊んでいて、生活保護を打ち切られそうなので金を入れるか幼児を預かれと勝手なことをいう。族の先輩がやっている怪しい会社で検針メーターをせっせと販売している。もちろん年寄り相手、詐欺まがいの商法です。そんな仕事や会社なのに、続けているとついつい仕事(つまりバアさん連中を騙す)に熱が入ってくる。

一人は女子高校生。こんな田舎町を出て行くために、なんとか東京のマシな大学に合格しようと計画している。田舎は嫌いだ。絶対に出て行く。脱出するぞ。東京の大学入ったらイケメンの男と出会って初体験するんだ。こんな田舎でアホな男たちとつきあってたまるか。

一人はスーパーの保安員。万引き犯を見張ってつかまえるのが仕事。正社員なんかじゃないです。若くはないし、給料安いし、亭主はいないし。一人でやってくしかない。クルマもないので真冬でも自転車こいで通勤する毎日。とある宗教団体に出入りしているときだけが幸せ。

一人は親の地盤を次いだ市議会議員。裏で産廃関係の会社をやっていて、多少の悪いことは当然ながらやってます。奥さんはアル中で壊れかかっている。こんな町でいつまで議員をやっていても出口は見えない。はやく県会に打って出たい。

という5人。どうしようもない逃げ場のない地方の現実が非常にリアルに描かれています。地方在住の作家かなと思ったら、東京の人らしいですね。容赦なく、ズバッと描いています。

で、どうしようなもい5人+アルファは、どうしようなもい終末へと向かっていく。最後にドッカーンとカタルシス的なハプニングがあり、もちろん、解決なんて何もありません。あるわけ、ないか。

★★ 角川春樹事務所

masakado-2.jpgこのところ大部の真面目な本にとりついて疲労したので、ちょいと口直し。

高橋直樹という作家は初めてです。ほとんど期待してなかったのですが、思ったよりは読めました。こういう言い方、書き手の方に対してかなり不遜ですが、ま、ご容赦。

定番の海音寺版「将門」と比べるといろいろ違っています。
・将門はイジイジしない豪勇無双、一直線の武者。とくに女に弱いこともない。理想に燃えて先も読める、鬼のようなツワモノですね。
・貞盛もそれなりの武者。もちろん色男で人づきあいが上手で如才ない。かなり悪巧みができます。生命力もある。
・田原の藤太は偏執狂的、陰湿な武者。あまり交際したくないタイプです。
・将門の伯父叔父連中もそれなりに強い。そうそう、源の三兄弟も海音寺版とは違って、一応は豪勇の連中です。

で、勝手な理由で戦っている武者連中のしり馬に乗って騒いでいるのが民百姓。戦になれば、勝てそうな方に付いて、おこぼれを狙う。運が悪いとひたすら酷い目にあう。

そうそう、ジサイという特殊な存在がメインキャラとして登場するのも特徴かな。たとえば遣唐使が大海を渡ったような際、専属の男を一人のせて無事航海を祈らせ、もしも海が荒れたら犠牲として放り込む。そんな役割の存在があったらしいですが、たぶん同じパターンでしょう。もしかして「持斎」かな?

海音寺版では貞盛の郎党、侘田真樹というのがいい味出してましたが、この本ではかなり重要性がなくなります。またお公家さんとしては興世王も有能な部類になっています。

将門の奥さん(海音寺版の良子)は、よく知りませんが、将門を恨んでいるようです。すぐに救出に来てくれなかったからでしょうか。このへん、あんまり理解できませんでした。

恨んでいるといえば、なんか俘囚の色っぽい女が将門を恨んでいます。若いジサイも恨んでいます。みーんな自分勝手なサムライを恨んでらしい。

★★★ 朝日新聞社

第9巻までついに読了
。いやー、時間がかかった。本が借りられず途中で中断もありましたが、ほぼ1年がかりでした。

saigo.jpg9巻が彰義隊の始末で終わっていると初めて知りました。なんとなく明治3~4年ぐらいまでは行ってると思ってた。もし海音寺さんが長生きしたら、たぶん全15巻か20巻には達したんでしょうね。明治に入ると資料も多いだろうし。

ちょっとボーッとして、感想も出てきません。

5巻の画像を流用です

あらためて感じたのは、大政奉還から鳥羽伏見にかけては、やはり徳川慶喜というキャラクターの存在が大きかったこと。もしあの時点の当事者が慶喜でなかったら、かなり紛糾したはずです。スムーズに維新は成立しなかっただろう。数年がかりの戦争になって、たぶん最終的には新政府ということになったような気がしますが、だいぶ政権の性格は違っていただろう。良かったか悪かったかはわかりません。

明治維新、それほど僥倖というか、ラッキーで成立したものだったんでしょうね。西郷、大久保、岩倉、慶喜。パズルがはまるように、ちょうど形の合うピースが揃っていた。

それにつけても(これしか感想はないのか!)、みんな偉い。ちょうど今の管政権末期のように、グチャグチャ・混乱・ワケワカメの中で、よくまあ辛抱強く動き回る、歩き回る。日和見の公家を説得し、決まったと思ったらすぐひっくり返り、それをまた修復し、殿様のご機嫌をうかがいながら異見を調整して方向性を出していく。

政治家というか革命家、やはり特殊な才能が必要です。これも何回か書いてますが、凡人がこの渦中に巻き込まれたら、あっというまに切られるか、怖くなって逃亡するか、切腹申しつけられて悔しがりながら死ぬしかない。

平和な時代に生まれ、なんとか凡々と生き長らえることができて、よかったです。

海音寺潮五郎の「西郷隆盛」、大佛次郎の「天皇の世紀」は全巻買い揃えられるものなら、ほしい全集の双璧ですね。欲しいけど、なんせ高い。

Googleを使っています。あれ入れろ、これは便利だよと誘いをかけてきますが、余計なものは不要という信念のもと、すべて却下しています。ブラウザはFireFox。これも気に入ってます(というよりIEがアホすぎる)が、つい油断するとへんなプラグインを入れさせようとするのがお節介です。

google.jpgFireFoxはここ数カ月、ずーっと「3.6.17にバージョンアップしますか」としつこいですが、知らん顔してます。この勧告を出させないようにしたいと工夫もしましたが、どうもうまくいきません。ま、それほど必死に調べたわけでもありませんが。

で、最近、Google画面がなんか勝手なことをしている。入力枠に文字を入れるとパッと再読み込みしている雰囲気。画面中の枠の位置がいきなりズレるので、ちょっと不愉快でした。

しかもここ数日、文字を入力するとその右横に勝手な推測オプションがくっつく。枠の下にズラズラと候補がならぶのは前からでしたが、こんどは打っている文字の右にもくっつきます。余計なことを。

これだけなら気にしないのですが、文字を打ち直そうとか思っても何故かカーソルが動きません。入力操作を拒否している雰囲気です。

google2.jpg親指シフト用の特殊なIME(Japanist2003。64bitでは動かない)を使っているせいかもしれませんが、これは不便だなあ・・・と調べました。

これ、Googleインスタントという機能らしいです。そんなん、勝手に採用するな。で、どうやったら元に戻せるか調べてみましたが、なかなか発見できず。ようやく「右上の歯車から行ける」と知りました。

ふんふんふん。歯車をクリックして、検索設定の下に「Google インスタント検索」という項目がありました。これを「しない」にチェック。やれやれ、ようやく元に戻ってくれました。

トシとると保守的になるんで、なーんも変化してほしくないです。どんなに便利だろうがなんだろうが、余計な変化は好かん。現状、個人的になーんも不便は感じてないんで。あっ、Japanistの64bitバージョンだけは早く出てほしい。(32bit用なので文字入力でけっこう不便なことがあります)。腰の重い富士通も今年中あたりには出してくれるかな。

珍しくというか、多少は変わったかなと怖いもの見たさもあって大河「江」をを見てしまいました。この大河、時折は見ていたのですがなんとも形容しがたい。面白いとか面白くないとか評価する以前で、悪口言う気もおきないので、このところずーっとスキップしてました。

で、今週。あはは。変わってない。まったく同じです。

あいかわらず出戻り(強制離縁か)のお姫様は悪いクセがなおらず夜中でも勝手に一人でフラフラ歩き回ってるし、どこの部屋でも顔を出すし、それにしても大坂城はえらく狭くて、ぜんぶで二部屋か三部屋ぐらいしかないみたいだし。せいぜいでも4DK+大広間+廊下程度ですね。庭も狭いぞ。猫の額だ。

総じて舞台設定が貧弱です。セットにお金がかかっていないということではなく、舞台の広さの感覚がない。スペース感覚がないから、VIPとVIPがすぐ出会って、やあやあと挨拶する羽目になる。オナゴ衆のエリアにいきなり若い武将がズカズカ入ってきたり。あら、いい男。おっ、いい女。

蛇足ですが、「坂の上の雲」の宮殿シーン。ペテルベルグだったんでしょうか、ニコライが大広間に入ってきてからコッコッコッコッ・・・と伊藤博文のところまで足早に歩いてくる。あの「間」がよかったですねぇ。ジーンときて涙が出そうだった。そう、宮殿はとにかく広いんです。広いところを歩くと時間がかかるんです。

ちなみにいくら家が狭くても、廊下をバタバタ走っていって、いきなり襖を開けるのはダメです。とくにお客と用談中になんて、とんでもない。5歳の子供であっても叱られます。品性いやしい盗み聞きもタブー。ましてや叔母さんの北の政所に酔ってグチこぼしてるニイさん(これが秀次だったとは知らんかった。ひぇー)に無礼なこと言っちゃいけません。あの当時でも秀次、一応は数十万石は稼いでる武将です。

そうそう。たしか以前は北の政所、江にたいして不思議なほどていねいな口をきいてました。信長が生きてる頃はともかく、たかが浅井の遺児たち(その後は柴田権六への連れ子)に対して、なんでこんなにへりくだるのか。なんで孤児の三姉妹が偉そうなのか。江もサル、サルと口走りすぎですよね。住まわせてもらって食べさせてもらってるのに、サルだとか仇だとか。可愛くないです。礼儀を知りなさい。陰口たたくなら、すみっこでヒソヒソと、侍女にも聞こえないように話すもんです。

それがいつのまにか逆転してました。当然のことながら政所がけっこう上から目線で話をしている。これ、脚本家が意図的に変えたのか、何も考えず適当に書いてるのか。不明。だだし何かを境に立場が逆転という出来事はなかったはずだから、なにも考えてないんでしょうね。もちろん江も気がついてないので、口のきき方はあいかわらずでしたけど。いつになっても山賊の娘みたいな話し方しかできない女です。

ついでですが、しつけの良い子女は決して立ち話しません。用があるときはかならず座って話す。立ったまま大声で話すのは決闘でもするときだけです。

生意気っていえば、最後にひょろっと出てきた秀忠も設定がようわからん。クールというかヒネたガキんちょで、怖いオヤジ殿に対して何かへろへろ言ってましたね。よくわかりませんでしたが、戦争が嫌いだったのかな。「初陣だなんて、そんなんヤル気ねぇよ」という雰囲気。もしかしたら「父上、人を殺すのは反対です」とか。あは。

今回に限ったことではないですが、だいたい殿や姫にお付きの家来や女中はいないのかなぁ。セリフ言う必要はないんですが、どんな時でもせめて襖の影に座っていてほしいです。今年のアレの場合は、お小姓どころか家来は三成しかいないし、他に誰かいると思うと石坂利休だけ。あとは役にたたない常連のオナゴ衆、たぶん二人。あっ、なぜか家康もいたか。

たった一人の家来じゃ忙しいですけど、三成もほんと気がきかないですね。「秀吉の子供じゃないぞ」なんて怪文書をダイレクトに報告するなんて、なんとアホな。グサッと傷つくじゃないか。そんなことするから秀吉が怒っちゃって、挙げ句の果てに小娘に「何があっても知りませんからね」なんて怖い脅しぜりふを吐かれる羽目になる。ひょっとして、秀吉の因果が報いてお捨(鶴松だったっけ)は死ぬ羽目になるのかな。

ついでですが、この大河に限らず感じるのは、武士はそう簡単に刀を抜くなよということ。脅かしのつもりなんですかね、すぐ抜く。抜いたら引っ込みつかなくなるのが刀というのもなんですが。すぐに抜いて、切りつけもせずヤァヤァヤーと構えたまま。子供のケンカじゃあるまいし。抜いた刀はあとの手入れも大変なんです。

特に、特に指揮官は刀を抜いて戦ったらいけません。ま、たまには個人戦闘が好きな武将もいたらしいですが(黒田長政とか)、基本的には後方で床几に座ってガマンしてるもんです。指揮官が刀を抜くような場面がきたら完全に旗本総崩れの敗戦ですわな。やせ我慢してじーっと座っていて、もし敵兵が殺到してきたら仕方なく殺される。多少は抵抗したってかまいませんが、通常はもう無駄です。だから井伊直弼はカゴの中で刺されてます。(三成のザンゲンという説もあるようですが、金吾中納言でしたっけ、木っ端武者のように槍もって戦ったという理由で秀吉に大叱責されたとか)

イミナに関してはもう文句言ってもしかたない。「内府」と言ったってそりゃわかってはもらえないから「家康」。でも「家康」「秀吉」とかの呼び捨ては気にかかるなあ。どんなに嫌いであっても敵方であっても、いちおうは「秀吉さま」「家康どの」とか「上様」程度の敬意は払ってほしい。それが礼儀ってもんでしょ。対立党派のリーダーであっても一応は「管サン」とか。ん、これは少しニュアンスが違うか。

ま、いずれにしても単につまらないだけでなく、礼儀知らず、常識知らずのドラマは嫌いです。どんなハチャメチャな出来事を創作したってかまいませんが、なんとなくの「もっともらしさ」を裏付けにしてくれないと悲しいです。コメディにするんなら、きちんと笑わせてほしい。それを言うなら、天地人も酷かったなあ。あれも悲惨だった。

★★★ 朝日新聞社

saigo.jpg6巻まで読んで中断していた「西郷隆盛」を再開。実は6巻読了段階で次の7、8、9巻が貸し出し中で、残念ながら続けられなかった。

で、先日ふと思いついて図書館を検索してみると、おっ、7、8、9が揃っているではないか。もちろん3巻まとめて借り出しです。


写真は5巻の画像を流用


7巻の内容は禁門の変(蛤御門の変)で長州が酷い目にあい、おまけに馬関戦争でも四国連合艦隊にさんざん負けた後始末の付近です。

幕府は勢いに乗っての第一次長州征伐。ここで西郷隆盛は東奔西走の大活躍をし、大久保もよく動きます。で、落ちた公家さんの護衛をやっていた中岡慎太郎も華々しく本舞台に登場。高杉晋作のクーデターが成功し、潜んでいた桂小五郎もこっそり帰って来ます。坂本竜馬も活躍。ついには薩長同盟の成立ですね。

通常の小説なら重要人物の勢ぞろいでクライマックスシーンなんですが、この本は小説じゃなくて「史伝」なので、けっこうアッサリ進みます。そうそう、新撰組の近藤なんかも出てきますが、パラパラとほんの数行 数十行ですね。伊東甲子太郎とか武田観柳斎も登場しますが、これは単に名前だけ。しょせんは下っぱの実行部隊なわけで、歴史的には枝葉ですわな。

ふむふむと読んでいると、坂本龍馬だとてしょせん主役級の一人でしかなく、大久保も中岡も高杉も、みーんな重要な登場人物。もちろん徳川慶喜もそうです。饅頭や近藤長次郎だって重要な役割を演じています。だれか一人のヒーローが何かをやって維新が成功したわけじゃない。ま、その中でもなかんずく西郷の役割は大きかった‥‥と海音寺さんは言いたかったとは思いますが。

なんというか、坂本龍馬というヒーロー、半分以上は司馬さんが作り上げてしまったような気がしますね。もちろんヒーローではあったでしょうが、その代わりにたとえば中岡慎太郎なんかが埋没してしまってる。

・・・てな具合に読んですまが、この調子で返却日までに読了できるんだろうか。かなり懸命に読まないと、また読み残してしまいそう。楽しいけど難儀なことです。

それにしても当時の大立者たち、よく動き回ってます。東奔西走という言葉、文字通りですね。時間もかかる。費用もかかる、根気も手間もかかる。体力も必要だったんだろうなあ。みんな、えらい。

★★ 角川文庫

また古い本をひっぱり出してしまった。昭和52年 12版、茶色に染まった文庫です。

ouchou.jpgもちろん読み返しですが、今回は「しずのおだまき」と「法皇行状録」について。

鎌倉幕府の成立でさっぱり不景気になってしまった京の傀儡(くぐつ)連中。このままでは正月も迎えられないってんで一計を案じます。

標的となったのは小心な坊主。坊主といっても頭を丸くしているだけの俗坊主で、財産というほどのものはないけど奥さんの実家が多少の庄を持っているので、その仕送りでなんとかやっている。で、同じ敷地内にはやはりウダツの上がらない隣人も住んでいる。

で、くぐつ連中は大芝居を打って、当家の姫が貴僧にぜひとも嫁ぎたいといっている。ただ今は屋敷の普請中なので、とりあえずは婿殿の屋敷に住まわせていただきたい

その姫、もちろん美人で妖艶です。おまけに話では多大な財産も持っているらしい。色と欲にくらんだ二人は奥さんを離縁したり、とりあえずの金策をしたりと大騒ぎ。

で乗り込んできたご一行は暮れから正月、食ったり飲んだりさんざん楽しんだあげく、ケツが割れたらではさようなら。楽を奏し、唄を歌いながら去っていきます。ようするに傀儡連中、楽しい正月をすごすことができた・・・というお話。

もう一つの「法皇行状録」。法皇とは花山院のことです。まだ十代の花山天皇が仏心に目覚めて剃髪を考えるけど決心がつかない。すると忠実な家来のナニガシが「私もお供つかまつります故」と心強いことを言う。

現役の天皇がいきなり仏門に入るなんて例はありません。二人で御所からとんずらして、ナニガシの寺に駆け込んで(もちろん住職も最初から共謀)、頭をゾリゾリしたところで、くだんの家来が「あっ、用があるのでちょっと帰ります」といって逃げてしまう。うぬ、騙されたのか・・・。という人。

このお話は何かで読んで知っていました。有名な話らしいですね。調べてみたら「寛和の変」という事件らしい。

で、その花山天皇、なんでこんな事件を起こしたのか。なんでも栄華物語によると、寵愛する中宮だか女御だかの死で諸行無常の心境になったらしい。ただし、この人、とにかくハチャメチャな色好みで、なんでも人臣いならぶ中で係の女官を御簾の中にひきづりこんでまぐわいなされたとか、美人の評判あれば次から次へと際限なく恋文かいて無理やり御所に呼んだとか。おまけに飽きっぽくて、1カ月もするとすぐポイッ。

そりゃ周囲は迷惑します。高級貴族にとって娘は大切な財産。うまくいけば女御、中宮に差し出すこともできるでしょう。皇子が生まれれば将来は天皇の外戚も夢ではない。それなのにデキの悪いティーンエイジャーの天皇(おまけに短期政権は確実視)にかたっぱしからキズものにされたんじゃ困ります。

で、東宮(皇太子ですわな) のオジイサンである藤原のナニガシが、早く政権交代をさせるために陰謀をたくらんだ。こっちは大鏡に書いてある説らしいですが、面白いので海音寺さんは当然のことながら採用です。

花山院、もちろん修行なんて続けられるわけはないんで、すぐに本性ばくろ。また次から次へと女に手をだしちゃスキャンダルを巻き起こす。手を出すべきてはない人にまで手を出してしまうので、かなり困った人だったようですが、ただ不思議なことに芸術分野の才能はかなりあったみたい。和歌なんかも、非常にいいものを残しているそうです。絵や造園などにも才を発揮したとか。もちろん私は見たこともないですが。

半ば狂気、なかば天才芸術家。天皇に生まれないほうが幸せだったのか、竹の園生に生まれたからこんなに勝手なことができたのか。そのへんはナントも判断が難しいです。

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