2014年1月アーカイブ

坂東眞砂子死去のニュース。55歳ですか。まだ若かったんだ。

どこかのメディアで「ホラー小説ブームのさきがけ」と書かれてました。この表現にはちょっと違和感が残ります。そりゃホラーといえばホラーですが、どっちかというとドロドロした田舎の閉塞感、伝奇・土俗感。あるいは底無し沼のような女の業、そういう湿りっ気のほうが本筋だったような気がします。

momoiro.jpgこの人の書いたものは目にとまればたいてい読んでます。いちばん最初は「山妣」だったかな。衝撃的でしたね。舞台は雪深い越後の山奥の因果もの。なるほどこれで直木賞受賞ですか。

中でも「桃色浄土」も傑作の部類と思います。こっちはあくまで空の青い土佐の小さな漁村が舞台で、ひたすら魚臭さが濃厚に漂い、潮の響きが読み終えた後も耳に残る。

あんまり評価は高くないんでしょうが、好きだったのは「善魂宿」。短編集というかオムニバス形式。舞台設定は白川郷あたりかな。また最近では「朱鳥の陵」。うののささら(持統天皇)のお話ですが、漢語を可能な限り使わない描写で、自然に醸しだされる古代ムードがなんともいえない。こりゃきっと続編が書かれるはずと思って、楽しみにしてたんですが。

楽しみにしている作家の新刊はなかなか出ない。マーフィの法則にもありそうなパターンです。

たとえばジョージ R. R. マーチンの氷と炎の歌シリーズ。マーチンはまだ65歳で年齢的には大丈夫なはずなんだけど、なんせ体重は150kg(想像)。とうてい長生きするとは思えない。 節制しろ! 遊んでないで早く続編書け!

murakumo_sekigahara.jpgもうひとつ。岳宏一郎の新刊がいつになっても出ない。著者はえーと、いま75歳くらいか。すごい好きな作家なんだけど、なんせ世に出たのが遅かったからなあ。デビュー作の「群雲、関ヶ原へ」が56歳。おまけに資料の読みこみがハンパない人らしく、一作書くのにえらい時間がかかる。寡作。

群雲、大坂城へ(仮題)」、待ちわびてます。

無線を飛ばせるSDHCカード、FlashAir。いろいろ調べてみました。

本来は親機として機能するFlashAirカードを子機モードにすることはできました。ここを参考に、単純にカード内の設定ファイルを少しいじればいいだけです。

で、PC →(有線)→ ルータ →(無線)→ カメラ。アクセスすると、こんな画面を見ることができます。うんうん。ところがこの小さな画像、もちろんサムネイル一覧です。このサムネイルをダウンロードするとどうなるか。もちろん小画像が取り込まれるだけ。まったく役に立ちません。

flashAirThumb.jpg







ブラウザで小画像をクリックすると選択になります。で選択した画像をまたクリックすると、ゆるゆるゆると大画像が読み込まれます。なんせ無線経由なんで、けっこう時間がかかる。で、その拡大された大画像をダウンロードすると、無事PCに取り込まれます。

つまりダウンロードはできるんだけど、あんまりスムーズではないわけです。サムネイルを(できれば複数)選択してすぐダウンロード開始できれば問題ないんですが、それができない。東芝さんの仕様。

サムネイル指定がそのまま本画像リストの選択になればいいだけなんですけどね。あるいはダイレクトに本画像リストを取得できるだけでもいいか。可能性のありそうな公開スクリプトもあったのですが、ちょっと難しそうでした。躊躇。

東芝さんからはiOS用のアプリが出されているようです。また有志の人がいろいろダウンロードアプリを作って公表してるみたいです。ただあいにくWindows8用だったり、プライベートデータの登録を要求するものだったり(嫌じゃ)、あるいは一括アップロードできる!が売りだったり。帯には短かいしタスキには長くて使えない。

しばらく待つしかないようですね。そのうち東芝さんが純正のWindows用アプリを作ってくれるでしょ、きっと、たぶん、おそらく。現状でも選んだ写真1枚2枚くらいならなんとかダウンロードできるわけで、それでガマンしとくしかないか。

残念。

X20、試し撮りしてみましたが、なるほど、明るいです。心なしか色味もくっきりしている。まだ何も設定しないでただシャッター押しただけなので、これからじっくり研究です。

とこでX20には立派なレンズキャップがついていますが、レンズそのものはむき出しです。レンズにうっかり触ってしまいそうですね。あつかい方に自信がないのでレンズ保護フィルターを検討。ただしこの機種、40.3mmという独自規格のようで、汎用品が使えない。ネットでは40mmのものでもなんとか入るという噂でしたが、さすがにそれは不安です。

x20_filter.jpg迷った末に安全をとって、STOKというところから出ている専用ステップアップリングを買いました。40.3mmを43mmに拡大する単純なリングです。ただし専用品ということで、決して安くない。アマゾンで1500円。

ついでにKenko(カメラ業界では有名どころらしい)の、いちばんシンプルなMCプロテクターも購入。 素通しフィルターで、891円。写真の立派そうな箱がMCプロテクターで、輪っかがひとつ入っている左の袋がステップアップリングです。価格と外見包装は反比例している。

で、ステップアップリングをクルクルはめこんで、それからMCプロテクターを装着すると、なるほど、今度は純正キャップがゆるゆるではまらない。うーん、もったいないなあ。そのうち安物のキャップも必要ですね。こうしてどんどん物入り。

そうそう。リング+プロテクターだと、ケラレというんですか、ファインダーをのぞいたときに視野の右下に陰が少し写ります。ま、しかたないです。


さて、ここからが本命。

思い切って買ってみた東芝のFlashAirカード。W-02 SD-WC008Gというもので容量は8G。これ、要するに無線LANの親機として機能する高速Class10のSDHCカードです。

SD-WC008G.jpgこれまでデジカメ使っていて面倒だったのは、いちいちカードを抜き出したりUSB差し込まないとPCに取り込めないことでした。物理的に抜き差しやってるとそのうち壊れそうで、どうも気分が悪かった。その点、無線なら非常に安心です。

ところが問題は、FlashAirカードが親機として働くということ。何人かで画像をシェアするには非常に便利だし、スマホからアクセスするのも簡単でしょう。しかし有線でルータに接続しているPC(PC本体に無線カードは入っていない)からでは実にややこしい。

困ったなあ・・と悩んでいたら、こんなサイトを発見しました。ありがたいです。要するにFlashAirカードのCONFIGファイルを書き直して子機モードにしてしまうという方法です。通常の子機と同じになるので、PCからブラウザでアクセスすれば中を見ることができる。

やってみました。成功。アクセスできました。

しかしアクセスが遅いなあ。しかもサムネイルをクリックして拡大してからでないと、画像をとりこめない。なんか方法はあるはずなので、これは次の課題です。やり方が間違っているとか、あるいはいっそ共有化してしまうとか。

とりあえず書籍撮影なんかの画像なら枚数も少ないから、この方法でも取り込み可能。旅行などで大量に撮影したら、そのときはUSBを繋ぐとか使い分けますか。

ゆっくり考えてみます。ただ、歳のせいで難しいことを考えるのがどんどん苦手になってきている。ここが辛い。

★★ 三修社

genshigerumanmizoku.jpg古代ゲルマン民族というと、金髪碧眼、戦斧をかかげて裸になって突進してくるアホな野蛮人という印象がありますわな。あるいは近世近代になると、背が高くて融通がきかず、勇敢で理詰めな連中という印象。極端に違います。

要するにカイザルの時代の野蛮人、あるいドイツ騎士団とかワグナー、プロイセン参謀本部です。

どっちも違うよ・・というのが著者です。もちろん崇高な英雄なんかではなかったし、かといって裸で髭だらけで大酒のんで騒いでる野蛮人でもなかった。いつも裸で暮らしていたわけでもないし、それなりの固有文化をもっていた連中。

まずゲルマン民族とは何か。純粋ゲルマン民族なんていないんだそうです。発祥は完全に解明されないないもののいわゆるインドゲルマン語族(インドヨーロッパ語族)。これがドイツ北部あたりに侵攻してきて、土着の巨石文化族と混交したのがゲルマン民族。印欧語族はあっちこっちで混交して、それぞれ雰囲気の異なる文化をつくりあげていた。

ゲルマン民族は背が高かった。ではどのくらいかというと、カイザルの頃はたぶん170cm台じゃなかったかと著者は推察します。巨人ではないんですが、なんせローマ人は背が低かったから、彼らからみるとゲルマンは大男で力も強かった。ローマ兵士にとってゲルマン人はやっぱ恐怖だったんですね。

ゲルマン人は定住しません。ほんとうは定住したかったんだけど、いろいろ都合があった。天候不順とか大水とか寒いとか。で、ゾロゾロと移動しては定住の土地を要求した。もちろん要求しても地元民からは拒否されます。そこで戦争。あるいは野心にかられたローマの将軍が、悪いことをしてない(はず)のゲルマンを殲滅する。奴隷に売りさばく。奴隷はいい金になります。ゲルマンの男は兵士として優秀だったし、金髪の女奴隷は非常に人気があって高価に売れた。

通読した印象では、困った連中ですね。力はあるのに団結できない。政治的なセンスがない。軍団同士が対峙すると、つい我慢できなくなって勝手に突進する。たまに勝っても、勝利を利用することができず、お祝い騒ぎにあけくれる。あるいは葬式に泣きくれていて、機を見るに敏なローマ軍に殺される。

時折すぐれたリーダーが出て団結するとものすごく強力になるんですが、ゲルマンのリーダーは「王」ではないようです。完全な指導権がない。「進め!」と命令しても、「うんにゃ嫌だ」とどこかの部族が反対する。リーダーがあんまり偉そうにしていると暗殺される

なんのかんのあったんですが、結果的にゲルマン人はライン川の東を確保します。ローマ軍団はライン川とエルベ川の間の土地をなんとか占有したかったのに、結局はできなかった。仕方なく「ローマはラインの境界まで後退」と決定。こうしてラインの西はローマ文化、東はゲルマンという区分けができた。それが良かったのか悪かったのかは、いろいろ言い分があるようです。

ローマは結果的にゲルマン人に侵攻されてしまいました。少子化もあってかジワジワとゲルマン系の兵士が増えてしまったし、最後は西ローマ帝国の滅亡。後に誕生したフランク王国なんかはもちろんゲルマン系です。

著者はたぶんドイツ人のようです。いっしょうけんめい「公正に解説」しようとはしているようですが、言葉の端々にゲルマン贔屓がにじみます。ま、当然でしょうね。


「考えすぎた人」清水義範
kangaesugitahito.jpg★新潮社

そうそう。清水義範の「考えすぎた人」も読みました。要するに「お笑い哲学者列伝」だそうです。

ただし著者も中で弁解しているように、哲学者がどんな論を展開しているかを説明するだけで面倒になる。書くのも大変だったでしょうが、読むのも大変。なんとか茶化そうとする試みも成功せず。珍しく失敗作かな、と思います。テーマが悪かった。


去年からずーっと考えていたデジカメ、ついに入手しました。FUJIFILMのX20というモデルです。色は黒とシルバーがあってかなり迷いました。黒もよかったんですけどね、やはり粋なレトロ感覚を優先させてシルバーに決定。雰囲気が軽いというか遊び心があるというか。

さて、何を隠そう、まっとうなカメラなんて買うのは生まれて初めてです。若いころに仕事絡みで少しカメラを使ったことはあります。あれはペンタックスか何かだったんだろうか。正直、よく知りません。どっかで通りすがりのガイジンに「そのカメラ、F値はいくつだ?」といきなり聞かれたことがあったけど、よう分からんかった。Fが大きい方がいいのか小さい方がいいのか。そんなこと気にするの? ボーッとしていたら、なんか白けて去ってしまった。ごめんな、無知で。カメラ知識のないニッポンジンもいるんだよ。

今回具体的にカメラを買おうかと考え出してからは、もちろん調べました。なるほど、そういうことだったのか。で、いろいろ見ていくうちに、自分の調べているのがすべて一眼レフであることを発見。最近は「デジイチ」っていうらしいですね。で、一眼のほうがいかにも本格的ではあるが、でもこんなの買ったら次々にレンズが欲しくなる。レンズ泥沼地獄に落ち込む。ひたすら金がかかりそう。

x20_201401.jpgということで、にわかに現実的になって、ちょっと高級なレンズ一体型のカメラに目標を絞りました。中ではCANONのG1 Xという機種が画質よさそうでした(センサーサイズが大きい)が、これ、先日会った兄が持ってたモノだよな。同じのを買うんじゃ真似したみたいで不本意。

あとは同じCANONでG16。いかにも何でもできそうふうで良かったんですが、どうも心にビビーンと来るものがない。あっ、候補にしたのはすべて「ファインダーあり」の機種だけです。ファインダーに拘らなければSONYのRX100シリーズなんかが良さそうだったんですが、残念ながらこのシリーズはファインダーが付いてない。

仕方ないんですよね。カメラっていうのは小さなファインダーを覗きながら、脇を固めて写すもの・・という固定観念の刷り込みがある。腕を伸ばして構図を決めていると、なんかアホみたいな気がしてならないんです。手もブレるし。家にあるカシオのコンパクトカメラだって、けっこうな性能があるんですが、でもオモチャみたいな感覚があってイマイチ愛着がわかない。

考えが古いのかもしれないけど、いまさら変えられないですね。

ということで、カメラのキタムラで買いました。4万6500円。ヨドバシでもポイント差し引けば同じ程度の値段でしたが、キタムラはなんか専門店ふうの臭いがあるし、評判も悪くないようだったので決定。ネットで買って吉祥寺店で受け取りました。ビルの5階の小さなショップで、若い店員が一人で応対していました。いかにも「カメラ屋」という感じ。中古品もいっぱい並んでいました。


FUJIFILM X20にした理由をいちおう列挙しておきますか。

・ファインダー搭載
 (いわゆる素通しではなく、データ表示も出るハイブリッドOVFらしい。視野率がどうたらいう話もあるけど、そんなもん気にしてません)

・手動でスイッチオン
 (手で鏡筒を回せるみたいです。電動ズームより「自分で操作している」感がありそう)

・ズームは4倍
 (コンデジは高倍率が流行りみたいですが、必要ないです。なるべく設計に無理がない(はず) の低倍率ものを探しました。実は単焦点もよさそうでしたが、ちょっと本格的すぎるしなあ。歳くったオヤジがファインダー覗きながら寄ったりしてたら危ない。ズームに任せたほうが楽そう)

・F値は 2.0-2.8
 (ま、せっかく低倍率なんだから、なるべく明るいほうがいいでしょう、きっと。室内でもきれいに撮れるかな)

・絵がきれい
 (ネットでは評判がいいですが、これはよく分かりません。「ひどい」という声は少ないから、きっと綺麗なんでしょう)

・小型・軽量
 (350グラムくらいだったかな。ヨドバシで手にとって見てきました。サイズはポケットに入れるのは無理としても、手軽に携帯できそうです。バッグにほうりこんでも邪魔にならない感じ)

欠点としてはバッテリーが弱いらしい。弱いといっても200枚や300枚は写せるようなんで、ま、妥協できます。またFUJIFILMというメーカー、CANONやNIKONに比べれば弱小みたいだし、新興SONYみたいな勢いもない雰囲気ですが「豊富なレンズ資産」がどうたらいうカテゴリーの機種でもないので無視。買ったらそのまま使い続けて、ひょっとしたら一生ものです。

ふと気になって、いままでのカシオのデジカメ(EXILIM EX-Z550)と比べてみました。確か当時は1万円台だったコンパクトカメラですが、けっこう使い勝手は良かったです。カシオの製品って、そういうものが多いですね。品質もけっして悪くはない。機能が多くて安くてよく売れる。ただしあんまり愛着はわかない。

(大昔、電子辞書を買ったときもカシオのは機能てんこもりで人気でした。私はシンプルでコウビルド英英の入ったセイコーにしましたが、ふつうはカシオの売り方のほうが賢いんだろうなあ)

◆FUJIFILM X20
 1200万画素 2/3型CMOS F2.0--2.8
 光学4倍ズーム 記録カード:SDXC対応
EXILIM_EX-Z550.jpg
◆EXILIM EX-Z550
 1410万画素 1/2.3型CCD F2.6--5.9
 光学4倍ズーム 記録カード:SD 2G

うーん、このへんが素人には難しい世界です。CCDとCMOSがどうなのか。センサーサイズは大きいけど画素数は逆に少ない。ズーム倍率は同じ。レンズは確かに明るい。カメラファンから「まったく違うぞ 比べるな!」と叱られそうですが。

てなことはともかく。箱をあけて恐る恐る取り出し、モゴモゴ時間をかけてストラップを取り付け、バッテリーを充電し、メモリカードを挿入。おっ、電源入れると液晶がパッと輝きます。感動的に明るいです。そこまで確認して、あとはマニュアルを通読にとりかかっています。マュアル、けっこう字が小さくて詳細です。それにしてもマュアルの紙質が悪いなあ。何回も読んでると手擦れで汚れそう。この点は不満です。


そうそう。メモリはちょっと高価ですが東芝のFlashAir 8Gにしました。無線LAN機能付きです。実はこのへんはややこしいので、少しトライしてみてからまた書く予定。レンズの前に付ける保護フィルターも注文しましたが、これもいろいろ面倒があったんで、また。

なんか高価な宝物を手にいれたような気分です。るんるん。大昔、初めてパソコンを買ったときのようなときめき。生産停止で大安売り10万円、富士通のFM77でしたか。あのときもキーボードを前にして「これをどう触るんだあ」としばらく呆然としていました。

★★★ 早川書房

ryutonobutou.jpgGeorge R.R.Martinの A Dance With Dragonsを買ったのは2年前。大型ペーパーバックの上下2巻本です。で、その上巻にとっかかってある程度は進んだんですが、なぜか続かなかった。ティリオンが巨大大陸の河をダラダラ下っているあたりで止まってしまいました。

ずーっとA Song of Ice and Fireシリーズを読み続けてます。この「A Dance With Dragons Part1」が何冊目になるのか。えーと、6冊目か。

 A Game of Thrones (Book 1)
 A Clash of Kings (Book 2)
 A Storm of Swords (Book 3-1 Steel and Snow)
 A Storm of Swords (Book 3-2 Blood and Gold)
 A Feast for Crows (Book 4)
 A Dance With Dragons (Book 5 Part1)

という順番です。ちみなに上下分冊になっているのは英国版だけ。米国版はまとめて1冊になっているようです。さぞや分厚いんだろうな。

ま、中断はしているけどこれから長い(だろう、たぶん)老後、また読み始める機会はあるさとタカをくくってましたが、先日と図書館でハヤカワ書房の「竜との舞踏」を発見してしまった。あらら。もう翻訳が出てたのか

ただしあったのは巻2と巻3だけ。ちょっと迷った末に借り出しました。巻1は後で借りる機会もあるし、読まなくたってかまわない。巻1の後半部分のストーリーは知らないけど、ま、2巻から読んで訳がわからないということもないでしょう、きっと。

dragon1-2.jpg原書読んでるのに翻訳を先に読んで気にならないか? はい。ぜんぜん気になりません。どっちかというと、楽ちんでありがたい。ただし読後感はぜったいに原書ですね。1行1行に味があって、たまらないです。

特に今回のハヤワカ翻訳は訳者が途中で交代という事態になって、かなりゴタゴタしました。前は岡部宏之、途中から酒井昭伸。どっちも達者な訳者と思うのですが、持っているテイストがかなり異なります。とくに酒井訳で固有名詞を大幅に変更してしまったので、違う小説のようになってしまった。人名の「ケイトリン」→「キャトリン」くらいならならまだ脳内翻訳可能ですが、「ナイツウォッチ」→「冥夜の守人」となると雰囲気が完全に違ってしまう。

ま、なってしまったことは仕方ない。我慢して読むしかないです。

で、2巻3巻を通読。うーん。マーチン御大、ずいぶん風呂敷を拡げてしまったなあ。どんどん話を拡大拡散してしまって、はて、これをどう収拾しようというのか。サーセィは好き勝手やりそうだし、ドラゴンは言うこときかないし、海賊は元気だし、ジョンは大変だし。おまけに北へ行った子供はナニになってるし、苦虫かっつぶした王弟もナンな状況だし。新しいターガリエンは出てくるし。あんまりスッキリするところのない巻でした。

当初の構想ではBook 7までだったとと思いますが、無理ですね。少なくてもBook 9くらいまで伸びそう。おまけにマーチン御大、最近は書くのをサボって楽しいHBOドラマにやたら顔を出してるようだし、巨大な太りすぎはあいかわらずだし、こりゃダメだ。話を拡げに拡げて、そこで突然オシマイ。で、誰か野心家の若手が「構想メモを元にして続編執筆!」とかになりそう。

困ったもんです。なんとか完結まで持っていってほしいなあ。

冬は星座がよく見えます。たいして詳しくないものの、オリオンくらいは見分けられます。腰の部分の三つの星を探して、それから巨人の肩に該当する赤っぽいペテルギウスを探す。そしてそこから下がって青白いシリウス。冬の大三角のもうひとつは何だったっけ。えーと、プロキオンですか。

ところがベランダから眺めてると、どうも変なんですね。記憶にあるきっちりした三角がうまく作れない。東の空を向くと左(少し北東)側にずいぶん目立つ赤っぽい星があるんです、位置的にはふたご座のポルックスですが、こんなに明るいはずがない。かといってプロキオンと決め打ちすると三角がゆがんでしまう。これを含めて無理に正三角形を作ると、青白いはずのシリウスが赤い星になる。このところ夜空を見るたびに妙だなあと思っていました。

daisankanu2014.jpgある日、これは惑星かもと気がつきました。なるほど、そんならわかる。やけに目立つ星なので、ま、順当に考えて火星か木星。どっちかでしょうね。でも火星はもっと赤色が強かったような。すると木星か。調べてみると1月中旬ならドンピシャこの位置でした。大当たり!

ちなみに木星は-2.7等星。プロキオンは0.4等。シリウスは-1.5等。ペテルギウスは0.4等だけど視直径が大きい。で、木星を見てからシリウスに目をやると、たいして明るく見えないんですね。これ、本当にシリウスかなあ?と迷いが生まれると冬の大三角が壊れてしまう。

そんな理屈でした。些細なことですが、自分なりに解決してかなり嬉しい。

★★★ 新潮社

nakasoneyasu.jpg著者は「中曽根康弘」です。構成としては複数の政治学者(かな)が「中曽根先生」にインタビューして、そのやり取りを記述というものですが、もちんろ本人(あるいは側近)がしっかりチェックしたものなのでしょう。したがって著者と名乗っても問題ない。

旧制中学・高等学校時代の回想から始まり、高文8位の優秀成績で内務省へ。そして海軍。戦後はまた内務省に復帰。

中曽根といえば売り物が「海軍主計中尉」の経歴です。てっきり中尉で退役した人かと思ってましたが、当時の特例でエリートが軍に入るといきなり中尉にしてもらえたらしい。なるほど。またどれだけ実戦経験があるのかなあと不審でもありましたが、一応はあったんですね。艦船に乗ってドンパチも経験している。ただし多くは陸上勤務です。いわゆる内政畑。敗戦の頃は少佐だった。

ということで、内務省をやめて政治家を志して、いわゆる「青年将校」として派手に動き出す。最初から吉田茂のやり方には反対だったみたいです。

で、いろいろあれこれ。自分がどう外交を考えていて、どう対処したか、非常に記憶力がいいみたいですが、ところどころ「忘れた」「覚えてない」「それは違うと思う」という部分もある。本当にそうなのか、かなり怪しい気がしますが。ま、仕方ないか。

言動内容の印象は、意外にバリバリの右翼政治家でもない。強いていえば中道右派くらいでしょうか。あるいは時代によっては中道左派ともいえる。要するに自分なりの政治理想を持ったリアリスト。

たとえば核搭載の米艦船が日本に寄港したかどうかと。これは「トランジット」という解釈でした。タテマエはともかくそりゃトランジットくらいはあるだろうという現実的な言い分です。「密約」ぐらいはあっただろうさ。

核兵器に関してもそうですね。現実として核兵器を持つのは難しいし、あえて持つ必要はない。しかし「日本にはいつでも核兵器を持つ力があるぞ」と誇示することは外向的に非常に有効だろう。そのほうが得です。

ま、あっちこっちで韜晦してるし我田引水部分も多いですが、なかなか面白いインタビュー本でした。この人、まったく外務省の役人を信用してないんだなあ。

そうそう。石油危機の際の「日の丸原油」。これを断行したときに、初めて国際石油メジャーの真の力を知ったんだそうです。メジャー=米国そのもの。それに絡んで、田中角栄はメジャーの逆鱗に触れたんじゃないか・・と(ごくあいまいにですが)示唆しています。こうした陰謀説があることは知ってましたが、まさか中曽根までが言うとは。信憑性、あったんですかねえ。

昨年読んだ本、ぜんぶで何冊だったのか。うーん、たいしたことはなかったですね。数字としては95エントリー。ダブッてるものもあるし、逆に再読があったりメモしなかったりもあるんで、実際に読んだ冊数は110から120冊くらいでしょうか。3日に1冊くらいのペース。

ghosttrain.jpgその中で★★★★を付けたのはたった2冊。「ゴースト・トレインは東の星へ」と「極北」でした。(他にも★4にしようかどうか迷った末の★3は5冊くらいはあったか)

「ゴーストトレイン・・」はポール・セローの旅行記ものです。ロンドンから東欧、スタン国群を通ってインド、東南アジア、日本。そしてシベリア鉄道で帰還。若い頃に書いた「鉄道大バザール」の惨めなルートをたどる続編というか、再現ですね。

内容はかなり主観的というか、いいかげんです。かなり面白く誇張している。誇張はしているけど、けっこう核心をとらえてるんで、そんなに腹は立たない。あっ、アーサー.C.クラークのファンだけは立腹するかもしれません。スリランカで悠々自適というイメージのあった大作家ですが、実際に会ってみた印象は、うーん、困った親爺です。

もう一冊の「極北」のマーセル・セローは、偶然ながらこのポール・セローの息子です。タッチもまったく違うし、こっちは近未来もののSF小説ですが、でも乾いた描写が非常によかった。文明崩壊の後のシベリア北東部、極寒の地で銃に身をかためた主人公が生きていく。

kyokuhoku.jpgストーリーそのものはたいして意味ない感じです。ひたすら叙述の美しさ。厳しさ。無慈悲な暴力と生命力。読後感の素晴らしい本でした。

今年ははて、どれくらい読めるか。視力が弱ってメガネが疲れるようになってるんで、ちょっと減りそうな気もします。ま、仕方ないですね。


そうそう。★3ではありますが、4つ★候補の次点はヒラリー・マンテル「ウルフ・ホール」の続編である「罪人を召し出せ」かな。訳が気が利いて楽しい本でした。

コニー・ウィリスの「オール・クリア」もいいんですが、なんか分冊の仕方と刊行時期で間延びしてしまった感あり。やっぱ本は間をおかず一気に読まないといけませんね。
正月の客人が一本下げてきてくれました。北鹿という酒造の北秋田大吟醸です。あとで調べてみたら秋田ナンバーワンの受賞歴を誇る蔵元だそうです。ふーん。

kitaakita2014.jpg大吟醸というんですから、燗をするわけにはいきません。もちろん冷や。なるほど、香りが高くてフルーティ。ちょっと香りすぎるかな。フルーティすぎる。甘すぎる・・・。

正直、どうなんでしょう。残った分を早く片づけようと、せっせと飲みました。

冷やって、どうもトラウマがあります。大昔、アホな若僧だったころ(いまでも十分アホですが)冷や酒をいい気になって飲みすぎて胃炎でのたうちまわったことがある。劇症の胃炎。3日間なにも食べられませんでした。ヨロヨロと医者へいっても「水か茶を飲め」と言われる。でもその水や茶が飲めない。そう説明すると白髪の医者が怒る「お茶を飲めないなんてことはない。飲めます」

そう言われてもねぇ。胃が受け付けないんですけど。ひどい話。

kenbishi2014.jpgで、ようやく北秋田が片づいたので、つぎはやはり貰い物の極上黒松剣菱。こっちは立派な化粧箱入りです。毎年いただいてるんで美味しいのは知ってるんですが、ただ飲んでいると少しつらくなる。なんといいますか、角が立ってるとでもいうんでしょうか。ようするに「濃い」という感じ。本当は上品に1合くらい飲むのが適量という感じがします。もちろん燗付けです。決してガブガブ飲むような酒ではない。

美味しいけど、この酒も飲みきるとホッとするのが常です。

そして頂き物が終わると、ようやく常備の白鹿淡麗辛口。安物です。3Lパックがスーパーで1300円弱くらい。安物ではあるんですが、飲みやすいお酒です。あまり厭味がない。料理にも惜しげなく使える。ここ10年以上、ずーっとこれを買っています。体内のγGTPはほとんどこの白鹿で構成されている感じです。

hakushikatanrei2014.jpgこのあたりになると、さすがに日本酒に飽きてくるのがパターンです。ケースバイケースで芋焼酎とかビールとかに切り換え。時折はワインとかウイスキーとか。だいたい年間通して日本酒・ビール・焼酎が主なローテーションになっていますね。

毎日のことですからたいした量は飲んでいませんが、でも晩酌は楽しみです。で、いつも医師に叱られる。運動しろ。酒を控えろ。できればタバコも減らせ。禁煙しろ

はい。わかってるんですけどね。

正月なので(?)家内と映画を見てきました。ゼロ・グラビティです。

ちょっと割高でしたが3D。メガネの質が前より良くなってる気がします。前ってのは、えーと、何でしたっけ、異星を舞台にした尻尾のはえた連中の大活劇。そう、アバターでした。いったい何年前だ。

0gravity.jpgメガネ代を上乗せされましたが、持ち帰ってもいいらしい。次の機会まで紛失しないでいられるかどうか。

いい映画です。迫力があり映像がきれいで、けっして見て損はしない。主演(というか、2人しかいない)のサンドラ・ブロックという女優さん、いいですね。筋肉質で宇宙服を着ていても脱いでも(脱ぐったって、粗末な下着みたいな格好)安心して見ていられる。これが若い色気女優じゃ似合わないだろうと思います。

ストーリーはともかく、物理学的にはちょっと変な部分はたくさんあります。でもご愛嬌。そんなに激しく逸脱はしていません。文句いうほどのものじゃないですね。楽しく90分を過ごしました。終わってから駅ビルで陳健一の麻婆豆腐を一人前持ち帰り。一人前あると夫婦でメインディッシュとして食べて、残ったのを更にもう一食の補助に活用できます。割安です。これじゃ陳さんが儲からないか。


補遺 ここからネタバレあり。ご注意

えーと、いちばん理屈に合わなかったのは、壊れた衛星の破片(スペースデブリ)が90分ごとにヒロインに襲いかかるということ。地球を周回してるんだから、感覚的には合ってるんですが、実際には不可能なはずです。

軌道衛星もののSF読んでる人なら常識ですが、衛星軌道において「高さ」と「速度」は密接に関連しています。高さ=速度。周回軌道にある衛星が壊れてそこから破片がスピードアップして飛び散った場合、対地速度の増した破片は高度が増すはずです。つまり高度が高くなる。場合によっては地球から飛び出します。

逆に進行方向と逆方向に飛び出した破片は高度を失います。場合によっては落下する。したがって同じ高度で周期的にヒロインを襲うということはない(たぶん)。同じ高度なら同じ速度になるんじゃないかな。(確率は天文学的に低いけど、直角交差なら衝突の可能性もあるか??)

同じ理屈で、遠くに見えるISS(国際宇宙ステーション)とか中国の天宮ステーションに追いつくのはべらぼうに難しい。スピードアップするとヒロインはどんどん高度を得てしまって、結果的に目標から離れてしまうわけですね。たぶん、実際にコンタクトするには、目標を通り越した下(低い高度)からスピードを増すか、あるいは手前の高い位置からスピードを落とすしかない。はい、スピードを落とすと追いつけるんです。感覚と矛盾する。

0gravity2.jpg(高さ600kの軌道を周回すると、高さ500kを周回するより時間がかかる。スピードを増すともっと時間がかかるようになる)

上記の理屈、だぶん合っているとおもいますが、正直あまり自信なし。どっちにしても衛星軌道でのコンタクトってのはものすごく難しいことだけは事実です。簡易スラスターでシュッシュッと吹いて接近するとか、※※器使って接近するのは、なんというか・・・。

とかなんとか、細かく言うのは野暮というもんでしょう。相棒の男が犠牲的にロープを離す理由がほんとうにあったかどうか。あんなに激しくステーションに衝突して(重力はないけど慣性はある)大怪我しないですむかどうかとか。メイドインチャイナの着陸ポッドがドンピシャの角度で地表に向かったとか。ま、どうでもいいですわな。

見て損はしない映画ですよ。そうそう。原題はGravity。重力。ゼロなしのこっちのほうが内容には合っています。

BSプレミアムの「よみがえる江戸城」、録画しておいたのを見ました。

5年の歳月をかけて本丸御殿を再現したCGだそうで、想像通りの部分もあり、意外だった分もあり。とくに松の廊下が開けっ放しではなく、板戸締め切りで薄暗かったという指摘は非常に面白かったです。

CGといっても、ほぼ忠実な資料データに基づいた構成なんですね。出てきた研究者が「これを元に実物を作れるような設計図です」と自慢していました。数多い襖絵や壁絵、装飾金具も、それぞれ下絵を実際に描いて、それを元にしたCG。手間がかかるのも当然です。

edojofukugen.jpgただ大広間や松の廊下に時間をとったせいか、家格と控えの間の関係(帝鑑間とか柳間などなど)など細かいお話はなし。そもそも出だしからコメディ仕立て進行だったんで、覚悟はしてました。ほんと、こういう番組でタレントとか俳優とかズラズラ並べる必要はないんだけどなあ。早送りで飛ばしました。

あ、余計ではあったけど、忍者アニメの部分はけっこう楽しかったです。要するにクォリティの問題なんでしょうかね。

昨年暮れのギックリ腰がまだ完全には癒えず、外出がちょっと辛い。仕方なく家の中にこもってイジイジしています。

テレビを見ても面白くないしなあ。箱根駅伝も今年はたいして見どころがなかった。本を読むのも少し飽きた。あれ、囲碁将棋の正月特番は見逃してしまったか。

することもないので新聞のテレビ欄を見ると、あら、テレ東でローカル路線バスの旅がある。とりとめない番組なのに太川クンと蛭子オヤヂのやりとりが何かおかしくて、時々見ています。

edojofukugen.jpgなになに、同じ時間帯のBSプレミアムは江戸城復元ですか。前に読んだ本(これだっ)の影響で、江戸城本丸の見取り図にはちょっと関心がある。諸大名の控えの間の配置とか、廊下の幅とか。ただ小さく印刷された古い図面で見てもなかなか実感がわかないんですよね。惜しむらく、BSプレミアムの歴史もの、テーマは悪くないのに、たいてい変な構成になってるんだよなあ。工夫しないでごく普通に見せてくれるとありがたい。

うーんと少し悩んでから録画することにしました。ただ容量の少ないハードディスクがいっぱいなので、録画するためには古いのを削除しないといけない。そのためには消す前に一応は見ないといけない。忙しい。なんか便利なようで、追いかけられてるみたいですね。

足りなくなっているのに気がついて、すぐ近くのスーパーまで牛乳を買いに。まだ大股には歩けません。典型的トシヨリ歩きでヨチヨチ歩く。

スーパーの駐車場出口を横切ろうとすると、整理の元気な爺さんが「渡って渡ってっ」とクルマを止めてくれる。早く渡れよなという顔をしてるのが見えるんですが、知るか。けっして焦らずヨタヨタと歩くしかない。変に気を使って急ごうとすると腰が危ない。

新春。まだ風が冷たいです。手袋なしの手がつんつん冷える。はやく春になあれ

★★★  白水社

GamaHolywar.jpg副題は「宗教対立の潮目を変えた大航海」。期待を越えて面白い本でした。

はるか昔、学生時代に佐藤輝夫さんの講義を聞いたことがあります。たしか早稲田に在職だったと思いますが、他の大学へ「出張特別講義」もしてくれたわけです。この講義に出席すると簡単に単位がもらえるというので、(もちろん高名な先生でもあるからですが)学生がぎっしり詰めかけた。

講義内容は「ローランの歌」だったと思います。何世紀のことか判然としませんが、要するにシャルルマーニュの親類だったかの勇猛な武将ローランがサラセンの大軍と戦って死んだ。死んだけどなんとか侵攻を防いだのかな。

長い講義なので、途中で休憩。佐藤さんが学生に「ここ、タバコ吸ってもいいの? 駄目? そうか・・・」と聞いていたのを覚えています。教室でタバコを吸うこともあったような時代です。隔世の感。

で、この叙事詩と似通った事件はたくさんあったようで、何回もサラセン(これはイスラムの蔑称だったみたいですね)がピレネーを越えてフランスへ侵攻していた。キリスト教圏とイスラム圏の境は混沌としていたわけです。

しかしその後、キリスト教国家群が対イスラム十字軍に狂乱する。なんとなくエルサレム奪還運動だけが十字軍と思いがちですが、西の外れのイベリアの小国群は半島からイスラムを追い出す方向で動いていた。レコンキスタ。けっこう長い期間にわたったムーブメントのようで、その最後の締めくくりが15世紀末のグラナダ陥落です。

とかなんとか。で、独立国家となっていたポルトガルは、ジブラルタル対岸のアフリカに攻め込むことを思いつく。かなりいいかげんな計画だったみたいで、ゴタゴタしたあげく結局は失敗。

でも代々のポルトガル王はあきらめません。サラセンが強いのなら、例のプレスター・ジョンと協力して挟み打ちにすればいい。プレスター・ジョン神話って、本気で信じられていたようです。エチオピアかアジアかインドか、とにかくどこかに強大なキリスト教国家があり、その信仰篤き王がプレスター・ジョン。会うことができて同盟を申し入れれば断るはずがない。とにかくプレスター・ジョンの居場所をつきとめろ。

ポルトガルがインドへの喜望峰航路を開拓しようとしたのは、通説になっているインドの香料を求めただけではない。むしろインド(たぶん)のキリスト教国家と接触し、それによって中東のイスラム勢力を挟み打ち。息の根を止めてしまおうという壮大な十字軍計画だった・・・というのがナイジェル・クリフの説らしいです。


面白かったこと。

まず情熱に燃える禁欲的な航海王子エンリケ。実像は通説とかなり違っていたらしい。本人は船に乗ったことはなかったし、それほど大規模な施設をつくったわけでもない。ただし非常に政治的な判断力を持っていた。迫害されていたテンプル騎士団のポルトガル支部をうまく乗っ取るような措置をとり、その財力を活用することに成功。本人が騎士団長になったんだったかな。

ヴァスコ・ダ・ガマ航海の数年前にコロンブスが「インド」を発見していました。ただ、コロンブスの航海は歴史上の大偉業ということになっているけど、実際にはヴァスコ・ダ・ガマのインド到着のほうがはるかに影響が大きかったんじゃないか。

ヴァスコ・ダ・ガマはさんざん苦労して喜望峰をまわり、インド西海岸のカリカットに着きます。でも現地に勢力をふるっていたのはイスラムの首長たち。ろくな土産物も持たずに能天気な交渉をしようとしたガマは完全に貧乏人扱いされて馬鹿にされます。ま、そうだろうなあ。

金はない。知識もない。お土産もない。ヒンズー寺院を見て「キリスト教会だ!」と勘違いするような(ムスリムが偶像を嫌うという知識はもっていたから))困った連中です。ただ、ポルトガル人には武器があった。長い間イベリアで戦争してましたからね。ずーっと臨戦態勢だったんで武器だけは発達していたらしい。とくに石の砲弾を発射する大砲の威力がすごかった。

困ったことにポルトガル人には「インドの常識」が通用しません。なにかというと民間船を拿捕して強奪する。すぐ人質をとって、拷問して、情け容赦なく殺す。町を焼き払う。これも「十字軍」と考えれば納得がいきます。すべての行為は神の祝福を得ているんだから、堂々と殺戮して堂々と盗む。しかも戦果はべらぼうに大きくて、金銀香料などなどが山ほどある。

というわけで、数年のうちにポルトガルは大艦隊を派遣するようになり、インドに橋頭堡を築き、居留地を建設し、インド沿岸を征服する。インドネシアにも進出して香料を確保する。大成功。

惜しむらくの問題点はポルトガルが小国で、たいした人口がなかったこと。こんな大展開するにはちょっと無理があったんでしょうね。本国の食い詰め連中がインドに行って王族のように贅沢をする。堕落もするし、仲間割れもする。結局、そのうち自然崩壊。その後を襲うのは、しっかりもののオランダや英国です。

英国船がなんかの拍子にお宝満載のポルトガル船を拿捕してみたら、船倉の宝物が半端じゃなかったんで、貧乏性でケチなエリザベスが驚愕してしまった。海賊は信じられないほど儲かる。交易の利益は莫大である。うーん・・てんで、これが東インド会社につながり、中国のアヘン貿易にもつながっていく。

そうそう。このポルトガル宝船の中身、英国の港に入ったとき、象牙や香料などのお宝はたっぷり積んであったけど、女王命令で物品リストを作ってみたら、なぜかあったはずの宝石箱だけが紛失していたとか。智恵のまわるやつが途中で抜き取ったんでしょう。いつの世にもはしっこい奴がいる。

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