河出書房新社★★★
かつての政府のキャンペーンに「すばらしい中国のはなしを語る」というのがあったみたいで、それを皮肉っているんでしょう、たぶん。副題は「田舎町で聞いたこと」です。
で、最近になって自分は閻連科の本がどうも読みにくくなっています。なんでですかね。今回の「中国のはなし」もそうで、田舎に帰った閻連科のところに若い男が来て「面白い話を買ってほしい・・」と持ちかける。で、えんえんと話しだす。正直、あんまり良い設定とは思えません。
若い男(大学生)は父親を殺そうと決めた。理由は自分がアメリカに行って勉強することを承諾しないから。金をくれないから。とにかく、殺す。なんのこっちゃ。
次にはその父親が来る。その親父は女房を殺したくてたまらない。女房を殺せば電気屋の奥さんといい仲になれる。金持ちにもなれる、はず。で、次はその女房もやってきて、あの役立たずの息子、勉強なんて嘘ばっかりで自堕落女に子供まで産ませて。もう死んでくれないか・・。
みつどもえ。背景は中国の改革開放です。おさえつけられていた欲望が一気に解きほどかれる。むき出しになる。町を抜け出したい。レンガ造り、2階建ての家を建てたい。金持ちになりたい。発展とともにいろいろ願いがかなえられたように見えて、実はなにもかなってはいない。もとのもくあみ。
正直、あまり楽しい本ではなかったです。面白くもなかったし。満たされない熱量のようなものだけが、あとに残る。