2013年4月アーカイブ

hananosakura.jpg★★ 集英社

郊外のさびれた商店街。ほとんどシャッター通りになりかかりで、ちいさな団子屋ビルの二階に移転してきたのは小さな広告制作会社。この会社も都落ちするくらいだから景気は悪くてスタッフもたった4人。

商店街がさびれていくのは大手資本の進出とか、住民の高齢化とか、いろいろ理由はあるけれども、ま、基本的にはみんな守りの姿勢になっていて、覇気がなくなっていて、なるべく将来から目をそむけて、深刻に考えないようにして日々を送っている・・・こともひとつの原因。

で、同じ地域であっても、旧態依然の古い商店街と、新興ショップも少しは進出している新商店街ではまた考え方が少し違う。新旧世代の対立という構図も多少はある。だから商店街組合がもめる。

お寺の跡取り息子は大学を出たので髪を切り、もうすぐ辛い3年の修行に出かけなければならないし、教会の真面目娘は大学に入ったばっかりでルンルンしている。その姉ちゃんはケーキ屋を開いたけど、なかなか利益を出すのが大変。団子屋の息子は新しい菓子を工夫しようとしては、考えの古い親爺に文句を言われている。美容院のやり手マダムはなぜか商店街の男衆に君臨している。

どこにでもあるようなこうした商店街のドタバタ復興物語です。ん? まだ復興までは届かないか。なんとか手がかりをつかめそうになるまでのお話という程度。

それなりに楽しい本でした。それぞれ登場人物たちのキャラクターは、マンガチックだけどしっかり描かれています。荻原浩は安心して読めますね。

ubukata02.jpg★ 早川書房

冲方 丁は「天地明察」で知って、わりあい気に入った作家。その後の「光圀伝」はどこかで数ページの試し読みしましたが、たぶん興味なし。で、この「マルドゥック・スクランブル」を発見して借り出してみました。

なるほど。冲方丁ってそもそもこういう本を書いてた人なのか。

未来都市で少女娼婦が邪悪な男に殺されかかって、それを救ったのがネズミ型ロボットというか、スーパー捜査官・・・みたいなもの。激しいドンパチ。説明するのは難しいです。なんでもありのハチャメチャ・スペースオペラ。SFというジャンルに合致するかどうか難しいけど、なんかひと頃のサイバーパンクふうでもあるし、このへん、よく分かりません。

話の3分の1くらいはカジノでのブラックジャック対決、残りの3分の1はヒロインと地獄の使者の狂気のバトルです。それなりには面白かったですが、ま、オヂサンの読むようなものじゃないわな、というのが結論。

all_clear1.jpg たまたま本屋へいったら並んでいたので、つい魔が差して買ってしまった。コニー・ウィリスの「オール・クリア1」です。図書館にも入ってますが、もちろん予約待ち状態で当分は番が回ってこない雰囲気。

しかし前編(というか前半)の「ブラックアウト」は借り出して読んだものです。真ん中の部分だけ買ってどうするんだ?という疑問は多々残ります。どうする気なんでしょうね。

まだ決めてないけど、次の「オールクリア 2」も出たら買うことになるんだろうか。そうなると成り行きとしては、もう読んでしまった「ブラックアウト」も買うしかないか。ま、いいけど。

みみっちい話ですが、2000円もする本を購入するなんて久しぶりです。お大尽になった気がする。

★★★ 早川書房

farewelllovely.jpgこれも村上春樹訳。

大昔に読んだことがあった気がしますが、もちろんストーリーは完全に忘却。だいたいチャンドラーはストーリーを追うべき小説じゃないですよね、たぶん。脱線描写と漂う気分を楽しむのが本筋のような気がします。

マーロウはまだ若いのかな。けっこう危険な状況に飛び込んでいって、ボロボロにやられます。殴られたり脅されたり注射打たれたり、散々ですが、もちろん最後はどんでん返しの解決。

ただし細かい部分は「?」が多いですね。主要人物かと思ったら違ったり、脇役かと思ったら実はとんでもなかったり。誰が誰かわからなくなったり。いかにも怪しい雰囲気で出てきた若い娘がなんにも怪しくなかったり。だいだいチャンドラーの描く女性はあんまり魅力がありません。下手。

主な男連中はいい味です。出獄してきた大男。やる気のない警官。ゴリラみたいな臭いインディアン。単細胞の悪徳警官。うまく立ち回っている警察署のボス。珍しく清潔な刑事。

楽しめる一冊でした。前の訳がどうだったか記憶していないので、それに関してはナシ。刑事も探偵も、相手に対しては何故かいつも「キミ」と言うんですね。「おまえ」とか「あんた」などと品のない言い方はしない。

★★★ ソフトバンク文庫

 kyojinrakujitsy.jpg2011年の刊行。新しい本です。文庫で3巻。

時代は第一次大戦。英国ウェールズの貧しい労働者の姉弟(姉はお屋敷でメイド奉公、弟は炭鉱夫)。そのお屋敷の当主である伯爵と、その妹。伯爵の友人であるドイツ人の若い貴族。ロシアの工場で働く労働者とその弟。ついでにアメリカ人の青年。これはウイルソン大統領の側近です。

ウェールズの姉娘は賢くてたくましい。美人でしっかり者です。
ウェールズの弟も賢くて勇敢です。けっこう口も達者です。
伯爵は美男子でお金持ちで傲慢です。限界はあるけど自分なりに誠実。
ドイツ人の貴族は美男子で誠実で賢くて一本気。
その妹は美人で気が強くてモダンな女権論者です
ロシアの兄貴は無骨で真面目で、もちろん逞しい。
ロシアの弟はイケメンで調子がよくて無責任ですぐ女に手を出す。
アメリカ人は不器用で賢くて理想主義者。

みーんな賢いですな。あはは。

例のパターンで、こうした群像たちが時代に翻弄されながら戦っていきます。もちろんケン・フォレットなので、男女の熱烈恋愛がけっこうな比重を占めます。

そうした男女関係はちょっと類型的だし浅い感じで物足りないんですが、その代わりややこしい第一次大戦前後の国家関係やら政府首脳の考え方などは詳細かつ分かりやすく描かれます。なるほど、だからサラエボの単なる暗殺事件がこんな大騒ぎになってしまった。

なんやかんや、悲惨な戦争が続きます。機関銃時代だというのに、当初はナポレオン戦争当時のように横隊をつくって攻撃したりしたんですね。もちろんバッタバッタ死んだ。203高地の白襷隊さながら、さんざん部下の兵隊を殺して、ようやく将官たちは少し学ぶことができた。軍人ってのは、たいてい頭が固いもんです。

結果的に攻めるには難く守るに易い状況が生まれて、西部戦線の塹壕は万里の長城のように延々と続いた。もちろん両軍のクリスマス交歓の挿話もあります。

誰も積極的に戦争なんてしたくなかった。でも戦争になった。戦争になったら最後までやるしかない。米国に多大な借款を負った連合国としては、ドイツから賠償金をとらないことには逃げ道がない。ある意味、最後の方は賠償金目当てというところもあったらしい。

ま、いろいろです。国際連盟は実質的に破綻したし、ロシア革命は独裁と粛清へ突き進んだし、ハイパーインフレのドイツのビアホールではヒトラーが一揆をおこす。ここには書かれていませんが、中東はアラビアのロレンスたちの活躍と陰謀で将来の火種がうんとこさ蒔かれた。

文庫本3冊、これだけでも凄いボリュームですが、なおかつ三部作の第一部だそうです。フォレットが長生きすれば、ものすごい大作が完成する予定。

使い始めて日時が経過したのでご報告。

Photoshop CS6は快調です。最初のうちは使いたい機能がどこにあるのか不明で、けっこう難儀しました。試行錯誤していくうちに少しずつ発見。必ずしも直感的に把握できるとは限らないのですが、そのたびにネットで探して、いったん覚えてしまえば、あとはラクチンです。

cs6-0421.jpg機能が非常に多いですね。けっこう便利な使い方ができるようです。まだまだ初心者ですが、かなり気に入っています。思い切って買ってよかった。3万3000円、この価格、決して安いとは思いませんが、でも「高すぎる!」と口をとがらせるほどでもないですね。

Core i5 2500K / Radeon HD 6850 / メモリ8Gの環境で特に不満なくスムーズに動いています。1回だけ、作業中にフリーズが発生しました。原因は不明。


またFirefoxのアップデートに絡んでのMovabletypeの不具合(カテゴリ選択が効かなくなる)。「Movabletype4.38用パッチ」をあえて保証のない4.25に適用してみた件ですが、いまのところ問題は発生していません。


littltsister.jpg★★★ 早川書房

村上春樹訳です。たしか昔は「かわいい女」とかいうタイトルだったかな。

ただ、本当に前に読んだかどうか、どうも記憶が確かではありません。だいたいチャンドラーはストーリーがややこしいし逆転が多いので、読んでいても筋を忘れてしまう。この本だって読み終えてから、はて誰がどこで誰をどんな手段で殺したんだっけ・・と考えるとぼんやりしてきます。

後書きを読んだら訳者の春樹でさえ明確に把握できていないようなことを書いていました。やっぱりね。とくに今回は筋書きが雑というかちょっと問題ありで、何がなんだか・・という感じ。著者本人にも気に入られていなかった本らしい。

ただ登場の女連中がけっこう魅力ありますね。ただし魅力はあるんだけど、何を考えてるのかはハッキリしない。当初は生真面目そうな依頼人オーファメイ、フェロモン満点で登場するドロレス、ツンケンしたハリウッド美女のメイヴィス(この女の性格がいちばん不明)。

でもさすが定番マーロウもの。まったく飽きないし、読後感はいいです。ストーリーなんてどうでもいい。楽しかったです。また何か見つけて読もうかな。

この前買った「最強の囲碁 新・高速思考版」、時々試しています。

設定は真ん中レベルの「普通」。3子置かせてもらって打つと、ほとんど負けます。コロっと負けます。自分の下手さかげんを実感します。

igo0417.jpg負ける理由はわかってるんですけどね。ようするに手拍子でとんとん打ってるうちに「あれ?」という事態になっている。この石、危ないぞ・・・。その時点ではもうダメです。取り返しがつかない。

仕方ないので頭を下げて「待った」をしています。しかし待ったをして安全運転していると、有利だったはず(置き碁だから当然)の形勢がだんだん傾いてくる。相手が無理してるのは分かるんですが、それを咎める腕前が自分にはない。うーん。

仕方ないです。本棚に眠っていた古い定石本やら布石本をひっぱり出す。何十年ぶりだろ。とりあえずの課題は打ち込みへの対処法、それから中央への展開。怖いからどうしても3線にへばりつく癖が出てきて、気がつくと押し込まれていて、これじゃダメです。

低価格の割りにはいい対局ソフトを手に入れることができました。たしか1800円強だったと思います。打ち方もかなり人間的で、あまりコンピュータ臭を感じません。当分、というより一生かな、これで楽しめそうです。

★★ 徳間書店

kyomukairou.jpg未完だそうです。

アイディアはさすがに小松左京。壮大。直径だけでも1光年だか2光年の超巨大円筒がとつぜん出現する。地球から探査船で調べに行くだけでも数十年はかかる位置です。なんかアーサー・C・クラークのラーマに似てますが、真似っこと言われないように、大きさをべらぼうに大きくしてます。

位置が遠すぎるんで、もちろん生身の人間じゃ探査は無理。AEを派遣します。AI(人工知能)と違うのは、要するに意思をもったロボットというかシステム。AEとは「人工実存」なんだそうです。

その巨大円筒、いわば宇宙の誘蛾灯みたいで、あちこちの知的生物(あるいは派遣ロボットシステム)が探査のために集まってきている。

・・・というあたり、設定はけっこう面白いんですが、AEと異星人(あるいはロボット)とのやりとりが何というか、非常に人間的です。簡単に意思の疎通ができてしまう。そのへんが限界というか、スペースオペラみたいな感じで物足りないです。

で、十数種の異星人(あるいはロボット、システム)が集まって、会議ですね。研究学会です。この円筒はそもそも何なのかと発表会が始まって・・・・。

というところで小説は中断。宇宙論だかなんだか、わけのわからない能書きを延々とたれて説明しようとしてますが、ひょっとして小松左京、続きを書けなくなったんじゃないだろうか。大風呂敷を拡げすぎて収拾がつかなくなった。

ちょっと惜しい気もします。

気になって調べてみた幕末の各藩の祿高が意外でした。

並べてみます。こういう石高ってのは時代やデータによってけっこう変わるんですが、Wiki調べの数字です。カッコ内は「内高」、つまりタテマエではなく実質的な石高。

薩摩藩 72万石 (86万石) 島津 外様
長州藩 37万石 (97万石) 毛利 外様
佐賀藩 35万石 (88万石) 鍋島 外様
土佐藩 20万石 (49万石) 山内 外様

このへんは納得ですね。このほかに密貿易収入なんかがあったわけで、長州や薩摩はかなり内福だったといわれる所以です。おまけに関ガ原以来の恨みもあるし。

でもう一方の主役である会津藩や兄弟関係の桑名藩、同類の庄内鶴岡藩はどうか。

会津藩 28万石 (40万石) 会津松平 親藩
桑名藩 11万石 (14万石) 久松松平 親藩
庄内藩 16万石 (22万石) 酒井 譜代

会津が意外に豊かだったようですが、それにしても京都守護職は物入りだったでしょう。庄内鶴岡は基本貧乏ではあるものの、豪商本間家をかかえていたのが大きかったようです。
で奥羽越同盟の諸藩となると・・・

仙台藩 62万石 (101万石) 伊達 外様
米沢藩 18万石 (33万石) 上杉 外様
秋田藩 20万石 (33万石) 佐竹 外様
南部藩 20万石 (31万石) 南部 外様
新発田藩 10万石 (13万石) 溝口 外様
長岡藩 7万石 (14万石) 牧野 譜代

堂々たる大藩なのにあんまり役にたたなかった印象なのが仙台藩です。長州の世良修蔵を威勢よくぶった斬ったまではともかく、その後がどうも・・・。

その他にさほど大きな藩はありません。有名なわりに貧乏なのが長岡藩。内高14万石としても、そう豊かではなかったでしょうね。ガトリング砲を買う金がよくあった。それとも商港新潟をかかえていて、なんか余祿があったんだろうか。

あちこち調べていたら、長岡は新発田を毛嫌いしているという話もありました。早々に裏切って官軍の手先になったというのが理由。

役にたたないという意味では、いちばん何もしなかったのが加賀百万石かな。それをいうなら、他にも中国西日本には大藩が多いけど、なにといって決定的な行動をした印象がない。もちろん西国の大きな大名はほとんどが外様です。

長岡と新発田の関係も譜代と外様ととらえると多少は納得できるかもしれません。御三家の紀州・尾張までもが錦旗になびいてしまった流れの中で、少数の親藩・譜代が抵抗した。一応は応援してみたけど、でも仙台も米沢も考えてみれば外様。無理して義理立てするほどのもんでもないわなあ・・降参しとこ・・ということでしょうか。

なんとなく抱いていたイメージと実際の石高、あんがい違うもんだなあと実感です。


★★★ 新潮社

shinchogumi.jpg清河八郎が幕閣をだまくらかし、浪士をひきいて京に上り、大演説ぶってからまた江戸にぞろぞろ戻ったのは有名な話ですが、たいていの本では次に清河の暗殺でおしまいになります。残された連中、つまり新徴組がどうなったかまで述べた小説はほとんどない。

ま、たいしたことはやってないんだろう。すぐ解散になったのかな。

その後、庄内藩が面倒みたとは知りませんでした。実質的に藩の徒士扱いだったようです。おまけに例の薩摩藩邸焼き討ちにも庄内藩兵と一緒に新徴組が加わっている。また、隊伍を組んで江戸巡邏していた庄内藩士と新徴組が「お巡りさん」の語源だったとは。知らないことって多いです。

幕府瓦解の後、新徴組は江戸を引き上げて鶴岡へ同行します。そこで官軍と交戦。貧乏なはずの庄内藩ですが、例の豪商本間様から莫大な軍用金の献納があったので、スネルからスナイドル銃などガボガボ買えたそうです。

ふだんは経済感覚もなくて貧乏質素な庄内藩だけど、いざという時には本間家からの金をあてにできる。いってみれば本間銀行に貯金をしておいたような感覚。そのためにふだんから国内の流通経済はぜーんぶ本間家に丸投げでまかせていた。ほんとかどうか知れませんが、妙に説得力のある話でした。

で、最新装備の庄内軍は強かった。本拠地を守ろうなどとせず秋田(副総督の沢為量がいた)まで遠征して攻め込みます。かなり成功したんだけど、冬になる前に肝心の会津が落城。もちろんその前に列藩同盟はガタガタになってたんですが。最後の頼りの会津までが降伏したんじゃ万事休す。どうしようもありません。まだ南部あたりは細々残ってたみたいですが、実質的には庄内藩だけの単独抵抗の形になって、こりゃもうアカン。

というわけで庄内藩もついに降伏。思いの外、寛大に扱ってもらったようです。

歴史トリビアとしては面白かったんですが、なんせ書き手が佐藤賢一です。常にいい題材で書く作家と思いますが、ちょっと文体やキャラクタ設定のくどさが難ですね。何を書いても同じ雰囲気で「サトケン臭」になってしまう。

ちょっと前からブラウザ(Firefox)で新しいサイトを開くと、時々新ウィンドウが元ウィンドウの後ろに隠れて出現するようになりました。「あれ?飛ばなかったのかな」と一瞬ですが焦ります。いちいち「お前のほうが前面なのに」と戻してやらないといけない。

なんでこんな現象がおきるようになったんだろ。

気になって設定画面をいろいろいじったりしたのですが、ふと思いついてバージョンを確認すると、Firefox 19.02だったのがいつのまにかFirefox 20.01になっている。あじゃー。自動更新のチェックを消しわすれていたのか。

firefox1902.jpg調べると20.0リリースが4月5日。20.01が4月11日。うん、たしかに4月に入ってから隠れウィンドウ現象が発生しはじめたような印象です。

これが本当の原因かどうかは知りません。でも、どっちにしても出来立てホヤホヤの最新版をインストールする趣味はないので、早々に元に戻しました。とうぶんは一世代前のFirefox19で行くつもりです。

たとえばRadeon(Catalyst)のドライバーなんて、いまだに1年ほど前の12.6です。たしか今の最新版は13.1くらいかな。ときどき「更新しろ」とメッセージ画面が出るけど、いっさい放置。

特に問題がないならソフトはうかつに更新しちゃなんね。順調に動いてるソフトに触るべからず。親の遺言です。

 ★★ 講談社

kogurehshashin.jpg平凡な高校生。才能だけでなく服装もキラキラ眩しい同級生。焦げパンのような元気な女子高生。脅しをかける怖い上級生のお姉様。
狡猾そうで案外やさしい不動産屋。陰険でたよりない女子事務員。奇抜な行動をしているのにそうは思っていない親たち。

よく知りませんが宮部ワールドなんでしょうか。

とある家族がさびれた商店街のボロ写真屋を居抜きで買ってしまって住み始める。古い建物なんで、とうぜん幽霊がでます。手にした写真の中には心霊現象が起きています。素人探偵の活動開始。幼いガキんちょがオシッコたれます。

とかなんとか。高校生たちの交流や感性が細かく描かれてはいるんですが、最後まで絵空事みたいな印象が残って、それが惜しい。小説なんだから、絵空事ではあるんですが。

けっこう面白くは読みましたが、正直、あんまり合いませんでした。残念。

ベランダの小蠅のことを書きました。追い払っても追い払っても逃げない。生ゴミ出してないのに、なぜか場所が気に入ったようで、ブンブン飛び回っている。いったん外に逃げても、すぐ戻ってきます。

昆虫って、そういう習性があるんですかね。カブトムシとかクワガタとか、夏場にその手の甲虫が入り込んでるのを発見すると、やさしくつまんで広い天地に解放してやるんですが、なぜか連中は戻ってきます。

やさしく投げたから慕って戻るのかな。そんなら乱暴に、思いっきり・・・と力いっぱい投擲すると、まったく同じスピードで同じ軌跡をたどってブーンと舞い戻ります。そうですね、少なくとも10メートルくらいは放り投げるんですが、1秒もたたないうちに泡くって飛んでくる。まるで長いゴム紐がついてみたいな感じです。水平バンジージャンプ

急な動作を加えられると、小さな脳中枢(あるのか?)で空間軌跡を一瞬で記憶しているような印象。特定の甲虫ではなく、たいてい同じパターンの行動をします。学会に発表でもしたいような不思議です。

★★★ 日本経済新聞出版社

nanbuwashizumazu.jpg近衛龍春で最初に読んだのは「上杉三郎景虎」。知らない作家だなあ・・と手にとってみたら、意外や意外でよく調べぬいた構成で読後感も悪くない。これで名前を覚えました。

で、その後では「毛利は残った」ですか。。毛利輝元の生涯を扱ったもので、ちょっとコミックタッチでしたが、これも楽しい本でした。

今回は「南部は沈まず」。南部というとあんまり知識はないですね。とにかく津軽と仲が悪かったという程度。どっかの段階で津軽のナニガシが南部に背いて独立した。それが尾を引いてか、いまだに南部と津軽はあんまり関係がよくない。

ま、そんな程度です。

で、ようやくその辺の空白が埋まった感じです。戦国末期、青森県東部から岩手県の北半分、ついでに秋田県の東端あたりに勢力を持っていたのが南部一族。面積だけは広いです。非常に広いです。

ただし当時の辺境のことなので、ようするに小領主連中がたくさん割拠していて、それぞれが小さな城をもって戦いを繰り広げていた。この本に登場する南部一族の領主たちも一戸、二戸・・・九戸などなどあって、はっきりいって誰が誰の兄弟で縁戚なのか、まったく覚えられません。

ともかく結果的に実力と才覚で総領家におさまったのが南部信直という人。信直がようやく三戸の総領家におさまろうとしているころに、弘前のあたりで反乱を起こして独立したのが大浦為信。なんやかんやで青森県の西半分くらいをぶんどってしまった。

信直にとって大浦為信は不倶戴天の敵なんですが、為信さんはわりあい世渡りが上手だったらしく、秀吉に顔をつないで「独立津軽領」を認めさせてしまった。ちなみに南部が領土安堵を得たのは諸侯の中でいちばんビリっけつだったそうです。田舎もんですから。

この「田舎もん」がこの本のキーワードですね。領地はやけに広いけど検地なんてやったことがないんで、いったい何万石あるのかは誰もしらない。もちろん兵農は分離していないから戦いは農閑期にしかできない。

「領主と家来」という近代的システムに慣れてないから、豪族たちはみんな独立独歩。なかなか殿様の指示に従わない。戦をしても、みんな親戚みたいなもんなんで、あんまり過酷なことはできない。なあなあで終わる。だれも領主をたいして尊敬していないからすぐ謀叛をおこす。

しかも僻地。京大阪で何かあっても、遠い南部にまでニュースが伝わるには1カ月はかかる。上京するだけでもえらい経費がかかるんで往生する。おまけに米はとれない。地震や津波も多い。雪は深い。人口も少ないから工事もはかどらない。

ゆいいつ、馬の生産だけはすこし誇れる。山が多いから、鷹もいる。中央への献上物はたいてい駿馬か鷹です。そうそう。金が少し出るんで頑張りたいんですが、あんまり掘ると中央にバレて接収れさるのが怖くて控えめにしている。控えめにしてたはずなのに、でも中央にはバレバレ。情報管理がなってないんでしょうね。

たいへんです。

どっかのサイトに「津軽は俊敏。南部はおっとり」というようなことが書いてありました。たしかにそんな雰囲気です。南部信直、利直の親子、本人たちは知恵をこらして巧みに動いていたつもりでも秀吉や家康から見ると「のんき」に見えたんでしょうね。作者は家康の言葉を借りて「南部は何を考えているのかわからない」と語らせています。わからないけど、どうせたいした企みじゃないみたいだから、ま、許してやるか。そう権力者に思われて南部藩は生き延びた。

コニー・ウィリス「ブラックアウト」の続編「オールクリア」。たしか4月の予定だったな思ってアマゾンを調べたら4月10日発売予定になっていました。

それはいいんですが、10日の発売は「オールクリア 1」です。え? すると「オールクリア 2」もあるんか。なるほど「2」は6月発売だって。なんで分冊にするんだろ。

去年の「ブラックアウト」は768ページだったみたいです。で今度の「オールクリア 2」が496ページ。たしかに分厚いことは事実なんですが、そもそもが版面の小さいペーパーバックスタイルだしなあ。通常の単行本なら分冊なんかしないで1冊で行けたんじゃないだろうか。

何をブツクサ言ってるかというと、そもそも中身をぶったぎって「ブラックアウト」「オールクリア」とし、刊行時期をずらしたことがまず不満。読んだ人は知ってると思いますが、一続きのストーリーをバサっと切っただけの構成なんです。半分に切っておいて「残りは来年ですよ~」という販売戦略。これじゃコニーおばさんが文句たれたのも当然です。

blackout.jpgそれだけでもムカッとしてたのに、続編をさらに分割ですか。前半は4月で後半は6月。またストーリーを忘れてしまう・・・。せめて同時発売にしてほしかった。登場人物が錯綜してるんで、設定を覚えるのが大変な本なんです。

なんかなあ・・。何回も書いてるけど、ハヤカワは嫌いだ。なまじ良い本を出してるだけに腹がたつ。


たしか去年の夏に発売→
暖かくなったベランダに小蠅が飛ぶようになりました。とくに害をなすわけではないですが、小さな蠅って、たった数匹でも気に障ります。うるさい。よそへ行け!。

ブンブン飛んでるのをホウキで追い払おうとするんですが、当たる寸前に連中はパッとワープしてしまう。素早いです。どこに行った?と周囲を見渡すと、数メートル先の新しい場所でブンブン騒いでいる。そいつに向かってまたホウキを振り回すと、寸前にまたパッと消える。

何回かトライして、「飛んでいる蠅を狙って攻撃しても無理」とさとりました。連中のほうが素早い。きっと小昆虫の俊敏な目には、人間のホウキ攻撃がのろくさく見えるんでしょうね。ふん!と馬鹿にしてスッと横ッ飛びして背後に回る。

蠅を直接攻撃しようとしてもダメ。そんなら「何もない空間」を攻撃してみたらどうだろう。てきとうに振り回したホウキの軌跡の中に、蠅が偶然入り込むという可能性。こっちに賭けたほうが賢いんじゃないだろうか。うーん。

効果はありそうなんですが、何もないところでホウキを振りまわしてる姿って、かなり滑稽ですよね。アホ踊り。それが難点。

こんな状況、なんかであったな。そうそう。インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアです。

ブラッド・ピットの新米ヴァンパイアが、先輩ヴァンパイアに翻弄される。正面にいる奴に向かって大鎌を振った瞬間、相手は背後にまわっている。あわてて背後を斬ると、ワープして正面に転移する。

で、解決策は「正面を斬るふりをして、なにもない背後を斬る」。軌跡がぐうぜん一致するんですね。笑いながらワープしてきた強敵がザックリやられてしまう。

アン・ライス、小蠅に苦しんだ経験があったのかしら。

bakumatushi.jpg★★★ 新潮文庫

少人数を相手の講演録をもとにした幕末・明治初期の通史です。そのためか、非常に読みやすい。難しい言い回しも少ないし、表現が直截です。

書き手が半藤さんなので、当然のことながら薩長史観とは違った立場にいます。といって幕府サイドというわけでもない。どっちもどっち。幕府の全員が超無能だったわけではないけど、でも制度的には疲弊しきってどうしようもなくなっていた。

薩長の動きは基本的に反政府クーデタです。そもそもは別物だった攘夷思想と反幕思想がだんだん繋がっていって、それを弾圧されたため反発エネルギーが生まれる。そこに「大言壮語で飯を食う」評論家や思想家たちも増えるし、なん百年ぶりに発言権を得た貧乏公家連中がワイワイ騒ぐ。そしてテロリズム暴発です。

当初の開国・攘夷の対立に一橋vs紀州の継子問題がからんでややこしくなります。構図が単純ではなく、入り組んでいる。錯綜しているうちに単なる流行思想だった「勤皇」が具体的な「倒幕」に変貌。この時代、とにかく混乱していて、おまけに変化もして非常にややこしいです。

キーマンとなったのはやはり水戸のご老公でしょうか。最初のうちはとにかくこの人がすべての原因。そして孝明天皇の異人嫌い。後半はいろいろいますが、やはり岩倉の暗躍ですかね。切れ者の貧乏公家がのしあがっていく。

半藤さんは島津久光をある程度評価しているようです。少なくとも単純なアホではなかった。また勝海舟をかなり評価しています。人間的にはいろいろ言われてますが、苦労しながらよくやったよな。もちろん徳川慶喜はあまり好かん。

想像はしていましたが当時の「尊皇」というキーワードにはたいして深い意味はない。反幕・倒幕に都合のいい合い言葉であったけど、ただそれだけ。本気で「天皇のため」「王政復古」なんて考えていた維新の志士はいなかった。

幕府を倒せ!と戦ってきて、ひょうたんから駒で成功してしまうと、なんとか体制を作らないといけない。そこで出てきたのが「天皇親政」という枠組みですね。ま、それぐらいしか権威が残っていなかったこともありますが。

この本で初めて知ったのは岩倉・大久保たちが世界一周している間に西郷が何をしていたのかということでした。西郷は朝鮮出兵のことだけ考えていて、あとは遊んでいたような印象がありますがとんでもない。「留守中は何もしない」という視察団との約束なんて完全無視で、学制改革、徴兵令、地租改正などなど一気に断行したらしい。かなり乱暴に実行してしまった。

また明治10年までの間、政権中枢がコロコロ入れ代わったのは、要するに幹部連中の権力闘争そのものだったんですね。さんざんゴタゴタしたあげく最終的に大久保独裁体制ができあがり、それが西南戦争でようやく強固なものになった。

西郷という人、もし中枢にい続ければ毛沢東になったかもしれない。情の詩人にしてカリスマの軍人。幸いというか不幸というか、権力にしがみつく欲のない人だったから、鹿児島に隠遁して、タイミングよく強力鹿児島武士団といっしょに消えてくれた。

ただし権力把握に成功したと思ったら大久保もすぐ暗殺。要するに明治10年から11年にかけてバタバタっと木戸、西郷、大久保、維新の重鎮がいなくなった。動乱期の終了。ひと区切り。

あとに残ったのが伊藤博文と山縣有朋ですか。もうこの二人でもなんとかできる体制ができあがっていたんだなという印象です。ちなみに山縣は西南戦争の指揮系統の混乱経験から参謀本部制を作り上げた。つまり強固な統帥権の確立。それが後年の敗戦にまで繋がっていく。

またいそがしい西南戦争の真っ只中に台湾出兵もしています。ちょっと前まで征韓論なんてとんでもない!と言い張っていた連中が、実に簡単に台湾出兵、占領。要するに征韓論争そのものも、たいして深い理屈があったわけじゃないらしい。この台湾出兵、列強に想定外の文句つけられたんで政府はあわてて中止しようとしたみたいですが、現場の西郷従道はぜーんぶ無視してつッ走った。

この点でも後年の満州事変とまったく同じ構造。軍部独走。明治10年前後において新ニッポンの体質はもう決定づけられていた。


最強の囲碁 新・高速思考版、強いですね。ちょっと古い「最強の囲碁2011」の廉価版らしいので、けっして現在最強レベルのソフトではありません。でも強い。

大昔、よく打たせてもらった人から「6級くらいかな」と言われたことがあります。つまり、かなり下手くそ。ヘボ。したがって偉そうには言えませんが、今のソフトは単に強いだけでなくけっこう人間的な手を打ちますね。

igo2013.jpg一つ覚えワンパターンではない。いかにも人間なら邪魔して来そうなタイミングで、きちんとちょっかい入れて邪魔してくる。なに!とケンカをすると、あれれれ、いつのまにか殺されてしまう

とりあえず3子を置かせてもらって試してますが、手拍子で打っているとコロコロ死にます。3子なんて、安全第一に打っていれば必ず勝てるはずなんですが、勝てない。

ソフトが相手なんだから、恥ずかしがらずに、どんどん「待った」をするのがいいようです。ほんと、2手先どころか1手先を考える力も(前もなかったけど)失われてきてる。少しは先を考えないと、いつまでたっても大石が死に続け。

少し真面目に続けてみようかな。せめて1局に20分か30分はかける癖をつけないといけないですね・・・。
★★★ 新潮社

kakusareta.jpgまだ刊行されて日の浅い本のようです。つまりホヤホヤの新刊。坂東眞砂子テリトリーである南洋の小さな島でのお話です。

場所的にはニューカレドニア付近かな。その小さな島には「砂絵」の伝統があります。砂に描かれた一筆書きの絵が島人の言葉でもあり、伝承でもあり、心を伝える手紙でもある。

ちなみに「隠された刻」つまりHidden Timesとは、表向きは「キリスト教伝来以前の時代」。つまり島人たちがまだ人を食う習慣をもっていた時代のことです。ようするに大昔。ほんとうにそれだけの意味なのかどうか。それは最後まで読まないとわからない。

小さな島にはいろんな連中が流れてきます。気を張ってる時だけはバリバリ営業マンに見えないこともない旅行社の支店長。少し疲れ気味の女性社員。肥満解消に成功した青年海外協力隊の教師、酔うと軟体動物化して抱きつく看護師、テレビ番組のロケハンに訪れた冴えないプロデューサー。宝探しのマッチョなフィリピン男。

時代を遡れば、もっといろんな連中もこの島に流れてきています。明治期なら出稼ぎから脱走してきた坑夫。坑夫といっしょに里帰りした島育ちの売春婦。昭和は帝国陸軍少佐。特攻から引き返した操縦士。3つの時代の訪問者たち、つまり粒子・量子たちはなぜか不確定性原理の嵐の中を吹き流されて、ついでに火を噴く活火山。なんか訳のわからない終末へ

ほんと、訳がわからない結末です。でも後味は悪くない。楽しい一冊でした。

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