2013年9月アーカイブ

子供の休暇にあわせ、家族でフィレンツェへ行ってきました。

好天に恵まれて、日中は半袖でもジリジリ暑いほど。ただし朝晩は長袖でも冷えます。上着を着てちょうどいい。一回も雨が降りませんでした。ひたすら売店で水を買っては飲みながら歩きました。

firenze.jpg気がついたこと。

予想していたよりも大きな街でした。どうせ昔に栄えた名残りの都市と思っていたのですが、意外なほど教会も街も壮大で、広さも高さもだいたい想像の1.5倍。膨大な富を蓄積してたみたい。1.5倍と言ったって元の想像規模が不明なんだから意味ないですね。

よかったのは3日目に行ったサンマルコ修道院。すべからく柔らかなフラ・アンジェリコのフレスコ(だろうな多分)で統一されいて、おまけにズラーっと並んだ僧坊(ですかね)、ようするに修道士たちの個室がならんでいる。それぞれの部屋に必ず1枚の絵が描かれている。

廊下のいちばん奥は狭いながらも続き部屋になっていて、そこがサヴォナローラの居室。へー、こんな質素で狭いところにいたんだ。ここから「明日は3人を処刑せよ」とか厳しい顔で指令を出していたんでしょうか。

もうひとつ、観光客がえらく多かったです。ゴッタ返し。そのゴッタ返した狭い道路で色黒のあんちゃんたちが怪しげな物売りをしている。大量の絵を道路にペタペタ置いて見せるのが閉口でした。これ、うっかり踏むと難癖つけられるというウワサもある。

どこからの移民でしょうか。不法入国かな。やっぱ、昔のイタリア植民地とかなんでしょうかね。イタリアの植民地ってどこだったっけ? はて。

otonosama.jpg★★★ 新潮社

前からあやふやで、なんか食道楽の話かなんか書いてる偉そうな人・・・と勘違いしてましたが、そっちは山本益博。ついでに大昔の金魂巻(マルキンvsマルビの傑作評論図解)を書いた人とも混同。これは渡辺和博でした。

で、本書は歴史学者による読みやすいけど真面目な本です。江戸時代の「老中」がどんな地位で、どんな権限を持ち、どんな連中が老中になったのかも全一覧。

なるほど、老中、ようするに5万石とか7万石あたりの譜代大名にとっての出世コースだったんですね。うまくすると旗本あたりで将軍世子に仕えて、以後は少しずつ加増、結果的に10万石大名になることもある。身分のほぼ固定されていた江戸時代では貴重な道筋です。

ただし老中はあくまで徳川家の「使用人」なので、あんまり偉い(石高の多い)大名は任命されない。家康の戦闘隊長格だった井伊とか本多とかは基本的に除外。このクラスの大名は全国適当な領地に置かれて城を守り、いざという場合の戦力として期待されたらしい。

実際には本多とか酒井とか同じ姓の老中がいっぱい出てきますが、けっこう系列が違っていて、たいては傍流です。老中になって役目を終えると石高を増やしてもらって、それでアガリ。あるいは10万石クラスでも、養子が入った場合はちょっと貫祿が低くなるんでしょうね、老中にしてもらえることもある。

というわけで、ようやく「井伊直弼はなぜいきなり大老か」がわかりました。江戸城では彦根藩主として溜間詰上席だったらしいですが、ま、存在感があったんでしょう。しかしだからといって老中にはなれません。幕政に完全参入するとすれば、いきなり「大老」しか方法がない。そういう家格だったわけです。

そう考えると、もっと後になって一門の松平春嶽とか、外様の薩摩、土佐なんかが幕政のリーダーシップをとることの異様さがわかる。もうメチャクチャだったわけですね。

nobunaganohitsugi.jpg★★★ 日本経済新聞社

ずーっと敬遠してましたが、意外によかったです。

主人公は太田牛一。信長公記を書いた人です。で、この人が語り手、探偵となって本能寺の秘密を探る。なぜ信長の遺体が発見できなかったのか。ついでに桶狭間でなぜ信長は勝利したのか・・・。

後半になると少しダレますが、ま、それくらいは仕方ない。最後の最後も「あれ?」ですが、ま、よしとしましょう。

読んで損するような本ではなかったです。

sendagayaichiba.jpg★ 毎日コミュニケーションズ

達者に読ませることで知られる棋士・先崎の本。ただし今回は棋譜がけっこう多くて、棋譜を真剣に読み進む棋力のないオヤヂには少し辛かったです。かといって地の分だけではそう面白くもないし。

サッと読み流しただけ。一応「読んだ」というだけです。

清水一代のエピソードだけ、ちょっと良かった。けっこう好きなんで。


geisharon.jpg★★ 文春文庫

家にあった本です。最近テレビで顔を見るようになったオネエふう物書き。たぶんまっとうな作家なんだろうと思っていましたが、ま、いちおうはそうだったみたいです。

内容は江戸・東京の芸者史。盛衰史。主として新橋芸者が中心になっていますが、それなりには面白かったです。ただし奈良平安の遊び女や白拍子なんかと関係づけて、ややこしい話にしたのが少しうっとうしかったですね。

前に三島由紀夫の女関係をテーマにした「ヒタメン」もそうでしたが、変な美文調というか、こってりしすぎた文体はヘキエキします。
スパムコメント対策、cgiをリネームしたりいろいろやってみましたが、ほとんど効果なし。

試行錯誤の末で、いちばん単純な「キーワードを登録する」のが効果的でした。「こういうキーワードを使っていたらスパムだぞ」と決め打ちするわけです。

spam2013.jpgいままでは「公開しない」と「スパムの疑い」の2分類で、日本語スパムはみんな「公開しない」レベルに分類されていましたが、キーワードを厳しくすると怪しげな日本語コメントも「スパム」のフォルダに放り込まれるようになった。うれしいです。

現状ではブランド関係の宣伝スパムが多いので、グッチとかプラダとか、みーんな登録。このブログのコメントでこうした言葉を使う人はいないだろうし。とりあえずご報告でした。

登録の仕方は、「ツール」の「プラグイン」から「SpamLookup-Keyword Filter2.1」を選んで、そこでキーワードを入れています。

nihonbunkano.jpg★★★ 小学館

「日本の歴史 近世庶民文化史」の別巻。全集は未読ですが、とりあえず別巻だけ借り出してみました。

面白い本でした。研究書という感じではなく読みやすいです。

要するに今の日本の文化、江戸時代にできあがったものらしいですね。それも元禄・天明の頃かな。戦国の世が落ち着いて、農民は武器を取り上げられ、自分の職の枠の中で向上を目指すしかなくなる。百姓も商人も、せめて人間らしい暮らしをし、より豊かになろうと必死になる。

そうやって、衣食住がガラリと変化します。衣では麻から木綿への移行。食では醤油と清酒による質の向上と多彩化。住まいもシンプルな掘立式から手のかかる礎石式へと変わっていきます。

読み書きの必要性も強まってきますね。基礎の読み書き算盤くらいできなくては上手な商売ができない。まったく無知では農民も損してしまう。管理者である武士と村役人の連絡には文書でのやりとりが必須になる。こうして寺子屋が増え、必要に応じて紙や筆、硯も生産される。ただしみんな勉強は嫌いなので、最低限覚えたらやめる連中が多かった。

江戸時代、なんか閉鎖的で面白みのない時代の印象が強いですが、なんといっても長期間の平和が保たれた。各地の藩は必死に殖産興業を図ったし、膨大な消費圏である江戸の誕生によって商業都市大阪が栄え、しだいに関東の近郊も力を付けてきた。

初期の頃を伝える資料に「おあむ物語」というのがあるらしいです。戦国の世を経験して(落城経験。敵の首化粧も経験)江戸初期まで生きた女性の説教話の記録。

13歳で作ってもらったたった一枚の着物(手作のはなぞめの帷子)を17歳まで着たとか(さすがにスネが出て恥ずかしかった)。一応は大垣の三百石取りの武将の娘らしいんですが。食事も質素で基本は雑炊、日に2食。ただし兄がたまに山へ鉄鉋撃ちに行く日だけは特例で菜飯を作ってもらったそうです。ご馳走だったんでしょうね。だから「にいさま、狩に行かないの?」と催促ばっかりしてた。

こういう話、実感があって楽しいですね。

chugennoniji.jpg★★★ 講談社

「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」と続くシリーズの3作目(「珍妃の井戸」は未読)。

『中原の虹』の主人公は張作霖ですね。満州の馬賊・軍閥で、たぶん関東軍に謀殺された。その程度しか知識はなかったです。なんか拳銃もった髭面の荒っぽい男の雰囲気。

4巻の長大な本です。小説としては正直ちょっと「?」な部分も多いです。例によって神秘の龍玉をめぐる争いとか、占い婆さんとか、やけに壮大に描こう読ませよう泣かせようという意図が垣間見えるのが傷です。ま、浅田次郎の小説、みんなそうですね。ただし書き方は実に巧いんで、つい読んでしまうし、特に読んで後悔はしない。

ただフラッシュバックとかクロスカッティングという手法でしょうか、張作霖の行動と、清の草創期、女真の南攻(長城越え)を交互に描いてるのは、少し煩雑な感じがしました。

そうしたこととは別に、歴史の勉強にはなりましたね。袁世凱がどうやって皇帝になろうとしたか、どうして挫折したか。当時の孫文の位置づけ。関東軍。ちょっと綺麗ごとすぎるけど張作霖という男の雰囲気。

どうでもいいことですが、天子の印の龍玉を手に入れた張作霖はなぜ死んだんでしょうかね。あるいは龍玉を受け継いだ息子の張学良もなぜうまくいかなかったのか。このへんは説明がなかったようです。ツジツマが合わなくなったか。

これも蛇足ですが、後に張学良が蒋介石を捕まえた西安事件。これは結果的に危機的状態だった紅軍の延命に繋がったと何かで読みました。そうか、当時の共産軍がそんなに追い詰められていたとは知らなかった・・。要するに現在の共産中国にとって張学良は大恩人ですね。(高校時代の社会科教師は「長征によって民衆の支持を得て毛沢東はナントカカントカ・・・」と力説。なんか話がおかしいなあとは感じていたものですが)

ちなみに張学良は事件の後、蒋介石(腹たててただろうな)に逮捕され、内戦敗退後は台湾まで拉致、軟禁。死刑にはならず100歳まで長生きしたそうです。最後はハワイで没。

tensei2013.jpg★★★ 中央公論新社

再読です。

うーん、やっぱりいいですね。半世紀にわたる激動の時代。ひたすら翻弄される、あるいは波を利用しようと策動する中国山東省高密県の農民たちと一族の物語です。

村人たちに散弾銃で頭をふっ飛ばされた地主が恨みをもって転生を繰り返す壮大ドタバタ・ストーリーはもちろん覚えていましたが、最後のほうの破滅的な悲恋ストーリー部分はすっかり忘れていました。そうだったか。

この最終部分、語り手が大ぼら吹きの「莫言」になってからはトーンが変わりますね。あんまりこの著者っぽくない。一途な愛とそれによって引き起こされる悲劇。放浪の猿まわしのカップルが登場して、若くタフな警察副所長の心がかき乱され・・・・もの悲しい大団円へ。

莫言の本ではこの「転生夢現」と「白檀の刑」がいちばん好きです。

beginners.jpg★★★ 中央公論新社

村上春樹を読んでいるとやたら出てくる作家です。気になって、初めて借り出し。

なるほど。いい味の作家ですね。短編集なので寝室に置いて、寝る前に一編ずつ読みましたが、どうもそういう読み方をすべき本じゃなかったようです。重い。

結局、期限内には半分ほどしか読めませんでしたが、要するに人間が「壊れていく」お話。救いようがない。神経がむきだしの痛々しさ。非常に余韻が残ります。残りすぎます。

また機会があったら何か読むつもりです。

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