2015年9月アーカイブ

★★ 集英社
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森(マタギ)シリーズの最終作ということになってるらしいです。ただし中身は地味な熊猟ではなく秋田の「元マタギ」がカラフトとロシア本土を股にかけて大活躍というもの。半分ハードボイルド、半分は冒険活劇ですね。

心に痛みをかかえた主人公がカラフトの浜でニシン漁の下働きとして稼いでいる導入部はなかなか迫力があります。流れ流れてカラフトくんだり。大正初期が時代設定ですから、一稼ぎできるというんで荒くれ男どもがたくさん行ってたんでしょうね。

子供の頃、戸棚の隅からたしか「雪の夜語り」という本を発見して読みました。冬の北海道を舞台にした小説を集めたものだったんでしょうか。いつ発行で書き手は誰だったのか、まったく不明。中身もほとんど覚えていませんが、ニシン漁とか出稼ぎ労働者の話が多かった気がする。ヤン衆とか群来(くき)とかアツシ(厚手の上着です)とか、この本で知りました。ぜんたいに暗いトーンの内容でしたが、子供ながら雪国の叙情を感じた。しばらく愛読した気がします。

それはともかく。「氷結の森」の主人公は超優秀な兵士あがり(日露戦争では伍長)です。もともとマタギなんで、射撃は神業。体格もよくて腕力もある。おまけにいい男で、やたらモテるけど(お約束で)依怙地にストイック。カラフトに流れてきた飯炊き女に惚れられ、北カラフト原住民ニヴフ(ギリヤーク族のことらしい)の美少女からも慕われる。好きな食べ物はカレーライスにコロッケを乗せたやつ。なんのこっちゃ。

女を救うために氷結の間宮海峡を犬橇でわたり、アムール河口のニコラエフスクへ。ここで発生したのが有名な尼港事件というやつです。要するに駐屯の日本軍・在留邦人がパルチザン部隊に襲われ、おまけに中国艦に砲撃され、ニコラエフスクが廃墟になった。ただし主人公は不死身なんでドンパチ大活躍。可憐なニヴフ少女をつれてまた間宮海峡を・・・・。

ま、そういうお話です。けっこう面白くはあったけど、傑作とはいえません。はやいとこ第一作の「邂逅の森」を探さなくっちゃ。こっちは正統なマタギものらしいです。

本筋とは無関係ですが、この尼港事件の補償として日本は北カラフトを占領したんだそうですね。


今年は9月27日が仲秋だったそうです。ほとんど満月でしたが、実際には翌28日が完全円で、しかもサイズが大きい。スーパームーンというらしいですね。あんまり品のない呼称ですが。

moon201509a.jpg27日、雲の切れ間に月が見えたので食事前に撮影。何も考えずお任せモードで写したらやけに明るく、煌々と輝いています。きれいですが、単なる光ですね。月は意外なほど明るいようです。

そこで翌日、初めてマニュアルモードで撮影してみました。よく分からないのですが結果的に320分の1、F7.1、ISO800。知ってる人が見たらヘンテコリンなデータなんだろうな。


その結果が下の写真です。うーん、きれいかと言われるとなんとも言い難い。ま、詳しくは写っていますがどっちが良い写真なのか疑問。

moon201509b.jpg写真ってのも、難しいものです。




2015.09.28
★★★ 集英社
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熊谷達也という作家、まったく知りませんでした。直木賞と山本周五郎賞の同時受賞だったらしい。だけど本は売れない。たまたまネットで評判を知り、読んでみようかと思った次第です。

森三部作(マタギ三部作)とかいうらしく、その二作目。一作目の「邂逅の森」から読んだほうがいいんでしょうけど、あいにく貸し出し中だった。ま、続き物ではないようなので、こちらから。

マタギのお話です。新潟・山形の県境あたりは(あんまり有名ではないけど)日本有数の山地です。飯豊・朝日連峰。その山の麓にへばりついている小さなマタギ村。ただしこのご時世、専業なんて無理なのでこじんまりと農業やったり土木事務所に勤めたり。ときどき集まって山に入る。

今では勝手に熊を撃つわけにはいきません。冬の間だけは撃てるけど、その時期の熊は穴に籠もっているんで、めったに殺せない。夏になると里に降りてきて住民から害獣駆除要請がきますが、これもしっかり行政の許可が必要です。そもそも夏熊は肉がなくて胆嚢も小さい。マタギ連中としては気が乗らない

行政にとっても熊は困る。住民が襲われれば大問題だし、かといってどんどん殺すと保護団体からクレームが殺到する。可哀相な熊をなんで殺すの。担当者(役場の課長あたり)は胃が痛いです。

小説では捕獲した熊にチップを埋めこんで、ついでに強烈スプレーで「お仕置き」をして森に帰す運動をしているNPOも登場します。この運動の方向が正しいかどうかについては、作者も口を濁しています。やらないよりはマシだろうけど、効果はどうだろう。おまけに費用もけっこうかかるし。

ま、なんやかんやで正義感に燃えた都会の女性ライター(もちろん美人)が動物カメラマン(もちろんカッコいい)や若いマタギ棟梁とかかわり、冬の熊狩りに参加。てんやわんやの末に一頭しとめて熊鍋を食します。美味しいんだそうです。純粋に肉が美味というより、いろいろなプラスアルファがあって味が濃い。嫌われ者のマタギたちにちょっと共感したあたりでジ・エンド。

なかなか面白い本でした。さして理由はないですが、実はマタギもの、けっこう好きです。都会暮らしの人間の憧れですね。もちろん自分が実際に冬山に分け入るだなんてとんでもない。本で読んでひそかに共感するだけ。


★★ 講談社文庫

電話機の液晶が薄れてしまって不便でしょうがない。誰からの電話なのかがわからないです。しばらく我慢していましたが、ついに諦めて新しく買いました。またおたっくすのファクス電話です。ファクスなんて年に一度くらいしか利用しないのですが、完全にナシとなるとそれはそれで不便。アマゾンで1万1000円程度。こういう製品、安くなりましたね。

最近の電話はうるさいです。登録してある番号だと「ダレソレさんからデンワです」としゃべりまくる。イントネーションも絶妙に奇妙で、かなり気分悪し。消音決定にすりゃいいんですが、取説読むのが面倒でまだやっていません。

前置きが長くなりました。で、受話器交換のため、PCデスクの陰になっている電話線や電源コードを抜く必要が生じた。ところがそのためには重たいデスクを移動させないといけない。これが大仕事でした。デスクの下には古い機材やらパーツ類、ついでに本なんかも放り込んであって、これをゴソゴソ整理していたら、まだ読めそうな本も数冊見つかりました

yousetsu_taikouki.jpgそういうややこしい事情で再読したのがこの「妖説太閤記」です。山田風太郎の色ものかと思ったんですが、あんがい正当派でした。ようするに秀吉の行動の原動力は「女」だった。

若いときからモテたことがないコンプレックス。美女にもてたい一心で陰謀策謀をめぐらし出世に励む。前田犬千代が信長の勘気をこうむったのも秀吉のせいだし、もちろん光秀が苛められたり本能寺に至るのも秀吉の陰謀。最初のうちは竹中半兵衛が猿回しの役を演じますが、そのうち猿がかしこくなって逆に猿回しになる。邪魔な半兵衛を始末して(理由は女に手を出すことを禁じられたから)、次は黒田勘兵衛が参謀になる。

上巻は清洲会議まで。そこそこ楽しめました。ここまで読むとあとはだいたい想像つくので、たぶん下巻は読みません。

ネットをうろうろしていたら、BBCドラマで「ウルフホール」がどうたらという記事にぶちあたりました。へぇー。

wolfhall.jpgヒラリー・マンテルの「ウルフ・ホール」「罪人を召し出せ」のドラマ化です。トマス・クロムウェルが主人公で全6回。かなりの好評らしい。うーん、見たいなあ。でも日本公開は来年だし、しかも専門チャンネルらしい。残念。

しばらく待っていればDVDになると思いますが、こういうDVD、けっこう高いんですよね。好評「ゲーム・オブ・スローンズ」なんかも機会があったら見たいものと思ってますが、やたら長大な連続もので、たぶんDVD全巻買ったら10万円近くはする。そもそもまだ完結していないし。(原作そのものがまだ未完)

あちこち調べたら、「Wolf Hall」の第1回はすごい高視聴率だったらしいです。ただし2回目はガクッと落ちた。人間関係や内容が難しい。チューダー朝宮廷のゴタゴタですから、そりゃ込み入っている。ヘンリー8世、王妃キャサリン・オブ・アラゴン、ブーリン姉妹、ジェーン・シーモア、その実家の連中の暗躍、大貴族の陰謀、フランスやらスペインやらローマの思惑。財政再建に国教会。トマス・モアの失脚。そりゃ大変です。英国の連中もややこしいストーリーは苦手なのかな。

bringup.jpg視聴率が落ちたもうひとつの理由は画面が暗いことだそうです。だいたいBBCの歴史ものは暗いですね。部屋の中とか宮廷の大広間とか、窓は小さいし照明は乏しいし。部屋の隅のほうなんて、ほとんど真っ暗でしょう。カーテンの陰では男女のかけひきとコソコソ話、陰謀の巣。

ヒラリー・マンテルの原作はなかなか良かったです。すんなり没入しにくいスタイルですが、叙述は非常に魅力がある。おまけに長い、長い。「ウルフ・ホール」の上下巻と「罪人を召し出せ」を重ねると、たぶん10cm近くなるでしょうね。

これだけ使ってアン・ブーリンの細首がようやく落ちます。その前にアンの兄貴の首も落ちます。もし続編でジェーン・シーモアやら次の王妃やらを延々書いたら、たぶん厚さ20cmくらいにはなるでしょう。

出たら、たぶん読むけど。
★★★ 白水社
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ガルシアマルケス「百年の孤独」のような匂いの小説です。ただ「百年の孤独」が暑く湿った南米の風土の能天気とすれば、「アルグン川の右岸」の場合は極寒の森が生み出した諦念の世界です。うーん、あんまり良いタトエではないなあ。ちょっと違う。

アルグン川というのはロシアと内モンゴルの国境を流れる川です。下流はアムール川になる。その右岸、つまり中国側に暮らす狩猟民エヴェンキ族のお話。エヴェンキはもともとはバイカル湖のあたりが故郷という伝承らしいですが、その一部が(たぶんロシアに追い立てられて)右岸に住み着くようになった。

生活の必須はトナカイです。モンゴルの羊と同じで、エヴェンキはトナカイの乳を飲み、トナカイの肉を食べ、もちろん乗用としても使う。川で魚も獲るし、チャンスがあればヘラジカを撃ったりもする。小さなキタリスの皮も大切な交易商品です。冬は零下数十度に冷える山間なので、うっかり馬やトナカイの背中で居眠りするとそのまま凍死してしまう

小麦粉や弾薬、塩など、最初はソ連の交易商人がコロニーに出入りします。やがて満州国が誕生すると男たちは関東軍の指示で「軍事訓練」に駆り出されます。しかし日本人たちはすぐにいなくなり、その後は中国人。

中国政府の少数民族定住化政策で、山のエヴェンキは麓の町へ移動。しかしみんなが山を降りてからも、一人の老女は居残ります。この何十年、次々と生まれた子供たち。次々と死んでいく住民たち。熊に襲われたり、蜂に刺されたり、自殺したり。好きになり、喧嘩をし、いがみあい、泣く。でも結局、自分たちは山にしか生きられない。トナカイのいない生活なんて考えられない。

平地に定住化したエヴェンキは決して幸せには生きられません。米国のネイティブインディアンとかアラスカのエスキモーたちと同じ。自分の居場所を発見することができず、酒に走ったり暴力沙汰をまきおこしたり。たぶんこの物語を終えたあと、この名前を明かさない老女も死ぬんでしょう。この老女とともに留まってくれた(ちょっと知恵遅れの)孫の手で、遺体は4本の大きな立ち木の間にかかげられて風葬されるはずです。そうやって、自然に帰る。

最初のうちは登場人物の名前が覚えられなくて苦労です。でもだんだんわかってきますね。そうそう。通奏低音みたいな感じで、ずーっと主要テーマになっているのがシャーマンの存在です。ある日、誰かがシャーマンになる。シャーマンは依頼されたら断れない。そして誰かの命を救うことは、ほかの誰か(何か)の命を奪うことになる。他人を助けたために自分の子供を失い続ける女性シャーマンのエピソードはけっこう哀しいです。

この小説のエヴェンキの人々は、よく自傷、自殺します。怒って死んだり、悲しんで死んだり。温和そうだけど、心が激しいんでしょうね。


赤坂ACTシアターの「赤坂大歌舞伎」を見てきました。中村勘九郎、七之助が出るとかで、正直、さして関心もないのですが、ま、これも経験です。だいぶ前に文楽を見たときも、意外や意外で悪くなかった。薦められたら駕籠にも馬にも乗ってみる。

akasakaokabuki.jpgえーと、演目は「操り三番叟」と「於染久松色読販 お染の七役」。三番叟は勘九郎が人形になって踊ります。というか踊らされるのかな。

「於染久松色読販 お染の七役」のほうは七之助がひたすら早変わりする。若い娘の役も悪くはないですが、どっちかというと年増が似合ってます。早変わりはさすが。これくらいの時間はかかるだろう・・・と思っていると、思っている時間の半分くらいで出てくる。マジックみたいなすり変わりもあって、観客は大喜びです。ケレンの鶴屋南北ですから、ストーリーなんてどうでもいい。とにかく早変わり。よくまあ考えたもんだ。

そうそう。兄貴の勘九郎、悪役で登場でしたが、これもまずまず。けっこう貫祿があります。

赤坂ACTシアターの客は、若い人が多いです。Tシャツ姿もいる。着物姿の渋いオバさん方はいたかもしれませんが発見できず。思ったより時間がかかったので隣のビルで食事。スペイン料理かと思ったらポルトガルだった。なんせ赤坂という場所柄、量は少ないです。味は普通。価格も(たぶん)赤坂としてはまずまず。パエリアのイカやタコが固かった。

★★★ 集英社
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北関東の中規模都市の学校で、2年生の死体が発見される。いじめの痕跡があり、携帯にはタカリ、ユスリのメールが多数残っている。で、問題は自殺なのか、それとも仲間からの強要による事故死なのか。

生徒たち、その親、警察、検事、教師、新聞記者。さまざまな視点でストーリーが進みます。非常に自然で、いかにもあるだろうな・・と思わせるようなことばかり。子供たちは子供なりの理由で嘘もつくし、大人に詰問されれば沈黙する。親は錯乱し、悲しみ、相手を責め、自分の子を信頼し、時にはこれを利用して儲けようとする親戚もいる。

点を稼ぎたい署長。捜査にあたる平凡な刑事。対応に苦慮する校長、それに批判的な学年主任、まだ若い検事、新米の新聞記者。ところどころ「?」というような展開もありますが、ま、だいだいは妥当です。通常の人間なら、ま、こんなふうに考え、こんなふうに行動するでしょう。イジメた子供が悪とも言いきれない。イジメられた子供が可哀相とばっかりも言えない。場合によっては女子生徒だって、多少のことはやる。恐いよ。

救いのない小説とも言えるでしょう。でも、たぶん現実はこんなふうなもの。

したがって劇的な展開なんてありません。平凡です。ヒーローが派手にやってメデタシメデタシなんてことはありえない。カタルシス皆無。いちおう真相は判明するものの、何といって解決もなく小説は結末をむかえます

奥田英朗って、子供の世界を描くと上手ですね。高校生を描いた小説なら他にたくさんありますが、中学生というのはあまり例がないような気がします。



★★★ 集英社
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ちょっと前、連続ドラマでやっていました。主人公は菅田将暉で、ちょっとカッコよすぎるのが難ですが、そこそこ面白かったです。

小説のほうは、ほぼテレビドラマ通り。ただしエピソードの受け持ちは分散していて、登場人物が多い。中学から大学までのお話しなんで、そりゃ登場人物は多くなります。たとえば殴られて路上に転がってるいたのを高校時代にちょっと好きだった女の子が偶然みかけて助けるなんてハプニングは発生しません。現実の交流なんて、あっさりしているのが普通です。別れたら、もうそれっきり。

というわけで次から次へと友人ができ、ちょっとしたエピソードがあって別れ、また新しい出会いがあり、昼も夜もアルバイトしすぎて肝臓悪くして倒れる。長崎へ戻って宮崎康平に曲を聴いてもらって、長崎新聞と長崎放送に紹介してもらう。ここで小説は終わります。実際の経緯は、みんな知ってることですから。

けっこう楽しんで読めました。才能あって、自慢こきで、挫折の連続。肩の凝らない青春記でした。


tsumago.jpg体を動かすことは得意じゃないのに、なぜか家族で木曽へ行ってきました。旧中山道。よせばいいのに馬篭から妻籠まで歩きました

事前に調べると「1時間半」とか「2時間」とか、情報はいろいろ。前宿の旅館の仲居さんに聞くと「ゆっくりで3時間くらいでしょ、きっと」とも言います。わざわざ山道を歩く人の気が知れない様子でした。で、実際には、日頃まったく鍛えていない軟弱なオヤヂたちの場合、たっぷり3時間かかりました。かなりキツイです。

馬篭からが大変ですね。石畳の上り(少し下り)が続き、勾配がけっこうある。歩いても歩いても距離が稼げません。距離的には3分の1もない800m程度の峠までで2時間近くかかりました。頂上を越えると10分ほどで無料の茶屋があり、ここで一服。板間の囲炉裏で太い薪を燃やしていました。あとはだらだらした下りがほとんどで、約1時間です。電車の時間がせまっていて、妻籠なんかほとんど通りすぎただけ。何しに行ったんだか。

面白かったけど、もういいです。ハイキングコースのあちこち「熊に注意」の看板が立っていました。熊避けの鈴を鳴らしながら歩いている人もいました。ボーッと眺めていると、でかい外人カップルが追い越していく。外人が多かったですね。

kamisuwa_sumo.jpgそうそう。その日は妻籠から南木曽へ出て、そこから電車で上諏訪へ。翌日、諏訪上社の本宮へ。出雲系なのかな、ちょっと変わった作りの社です。境内で奉納相撲大会をやっていました。爺さん婆さんがたくさん折り詰め食べながら見物。酔っぱらいの声援も大きくて、なかなかよかったです。

★★★ 彩流社
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応為葛飾北斎の娘です。お栄。北斎が「おーい」といつも呼んでたんで「応為」この二人のことは杉浦日向子が漫画にしてるはずですが、あいにく未見。

で、キャサリン・ゴヴィエというカナダの作家は応為に深い関心を持ってしまった。後書きで書いてますが、北斎の落款が押してあっても実は応為の手になったものが多いのではないか。いや、それどころか晩年の作品は大部分が応為なんではないだろうか。何回も中風の発作をおこした北斎が、ずーっと元気に描き続けたと考えるほうがおかしい。

ただし、多くの画商や専門家は深く詮索したがりません。所蔵の絵が北斎ではないということになると、いろいろ都合が悪いでしょうね、きっと。

ということで、お栄を主人公にした上下巻の小説です。ただし訳は非常に自由に江戸言葉に訳しているので、日本語版の場合、英語版とはまったく別の小説になっています、たぶん。

内容はファンタジーふうというか、幻想的。事実と虚構が入り交じっている。歴史的事実もかなり自由改変されていて(たとえば松平定信がふらふらと長屋に出向いたり)、ま、いろいろ変なんですがこれもご愛嬌ですか。

というわけで、けっこう不思議小説ですが、悪くはなかったです。


ここしばらくネットをうろつきまわって無線LANルータを調査。けっこう雰囲気がつかめました。

いろいろ調べた結果、要するに無線の11acをどう評価するか、また有線1000Mをどう考えるかなんですね。他はほとんどどうでもいい。昔と違って廉価製品と高級製品といっても作りに違いがあるような感じもしない。使っているチップが違うとか、機能が多いとか。

実は現状の環境を考えると、高速無線11acもGiga有線も無用です。なんせどっちも使えない。ただ購入してまた5年とか10年とか使い続けるとしたら、こうした新しい規格に対応していることは安心材料でしょう。

もうひとつはバッファローかNECかという問題。PCに触り始めたころからバッファロー(メルコ)はそこそこ有名でした。超優良というわけではないけど、けっこう信頼できで買いやすい価格。今回あらためて同価格帯のバッファローとNECを比較すると、バッファローのほうが機能てんこもり。うーん、分野は違うけどまるでカシオ製品ですね。実際にはこうした製品のほうがよく売れる。

でもまあ、NECにするかな。NECのAterm、実はまだ使ったことがありません。昔はちっと高価で貧乏人を相手にしていない印象でしたが、時代が変わった。中級モデルならAterm WG1200HS。格上のWG1200HPから機能を少し削ったもののようです。Amazonで調べたら6180円。安くなったもんだ。

★★ 集英社
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日本を脱出した(つもりの)女が南洋の島バヌアツで暮らしている。遠い日本で発生した大津波は半日かけて太平洋を渡りこの島に押し寄せる。やがて原発事故のニュースも伝わってくる。

そして福島に近い実家から父の訃報がとどく。久しぶりの帰郷。女は残留放射線に怯えるが、周囲の人たちはみんな能天気だ。だれも気にしていない。感覚の段差。すぐにもバヌアツへ帰る予定だった女だが、口内炎の治療で訪れた歯科医に県立病院を紹介され、病院の医師は舌癌を宣告する。

このへんまでは私小説の匂いで進んでいるんですが、いかにも坂東眞砂子ふうに「アオイロコ」なる奇病の噂が登場する。皮膚が青いウロコのようになって、体の細胞が壊れ、精気がなくなって死ぬ。そんな奇病がほんとうやらどうやら、少しずつ伝奇的な雰囲気になってきます。


この小説が坂東眞砂子の絶筆だったんですね。読むまで知りませんでした。小説の主人公が舌癌で入院したところで途切れていますが、坂東眞砂子自身、舌癌だったらしい。手術後の転移で郷里の高知に帰り、そこで亡くなった。限りなく自分自身を投影した作品だったんだ。

猫のことなんかどうでもいいんで、もう少し長生きして書いてもらいたかった作家です。彼女の小説はほとんど読んでいると思います。


★★ 講談社
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長い。厚い。重い。長大な真田太平記の19巻、20巻。中巻と下巻に相当します。

正直、もう最後まで読まなくてもいいかなと思っていました。ストーリーの中心となっている忍びの者たちの活躍に、さほど興味を持てなかったからです。忍びと忍びが探索しあって、なぜか偶然道中ですれ違って、尾行して飛び道具で殺し合う。こればっかり。ほとんどスーパーマン集団の戦い。なるほどとは感じるものの、あまり感情移入できなかった。

辛い修練に耐えて、集団生活で己を抑え、そしてたいていは路傍に死す。彼らの行動の動機の部分がいまいちわからない。あんまり待遇や給与がいい感じもありません。

たしか海音寺さんの「天と地と」で、たしか呑牛飛び加藤だったか、ま、忍びの者が登場します。彼らの動機はシンプルで、認められたい。金が欲しい。豊かに暮らしたい。だから年老いた忍者はやがて故郷に帰り、溜め込んだ金でのんびりした隠退生活を夢見る。そのためにもう一仕事。これが終わったら田舎に畑でも買って、小娘にでも世話させて穏やかに暮らそう。そうした小さな夢は残念なことに果たせない。有名武将に術を見破られ、あっさり撃ち殺されます。

子供の頃、立川文庫かな、真田十勇士は定番の人気でした。猿飛佐助とか霧隠才蔵はほとんど超人でした(三好清海入道や伊三入道はアホです)。で、九度山に幸村が隠遁してから、たしか猿飛佐助が駿府城に忍び込む。天井裏の節穴から真下に寝ている家康を眺め「殺すのは簡単だが、いまは助けてやろう」とかなんかと呟きます。

「いますぐ殺せ!」と子供ながらに思いましたね。このあとどうなるかは当時の少年にとって常識です。ここで余裕こいて殺さないから大坂城で負けるんじゃないか。アホ! ま、講談作者としては史実に反するので殺させるけにはいかない。

それはともかく。

そういうわけで、忍びの部分は飛ばし飛ばしで、真田一族の動向だけ主として読みました。うーん、そうすると、たいして面白い小説ではないんですね。いろいろ武将のエピソードは詳しいんですが、どうも味がないというか美味しさに乏しいというか。なぜか冷静なはずの真田信之が急に美女に執心したり、信繁(幸村)が女忍者と同衾したり。必然性があるのかどうか・・・・。単なる読者サービスかな。池波正太郎とは波長が合わない。

藤沢周平にもこうしたサービス、多いです。坦々とした叙情が続いた後、なぜか唐突にチャンバラが始まる。なくてもいいのに女が出てきて一夜を共にする。サービスなしではダメだったのかなと、いつも思います。

時代小説の宿命ですか。司馬遼太郎なんかも若いころの作品には濡れ場が多いです。編集者から要求されるんでしょうね、きっと。あっ、本の画像は18巻の流用です。同じですから。


ag54-2015.jpgどうでもいい話ですが、このルーター写真の背景はデスクトップです。黒いのは何?とお思いでしょうが、なんかでゲートウェイから貰った牛さんシールです。気に入ってベタベタ貼ってある。

GATEWAY2000というメーカー、昔はけっこう人気があって、自分も買ったことがあります。格としてはHPDellなんかと同じような感じかな。そうそう、写真には見えませんがPCの上にはやはり貰い物の牛さんの小さな人形(?)も乗せてあります。

思い出した。いつ頃だったか、有明の国際展示場でPCショーがあったとき、遊びにいったらGATEWAY2000のキャンペーンガールたち、みんなピッチピチの白黒デザイン、刺激的な牛柄衣裳でドキッとした記憶あり。牛ガールですね。白黒は目立つんです。で、あそこの社長、何ていったっけ。テッドなんとか。牧場生まれのパソコンとか、そんなふうなキャッチフレーズで、やたら何にでも牛柄を使っていた。

ああいうテースト、けっこう好きでした。

★★ 草思社
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この手の本、けっこう好きです。好きだけど、読んでも理解できない。最初は「うんうん」と頷きながら読み進むんですが、そのうち混乱してくる。前に戻ればいいんでしょうけど、面倒なのでそのまま読み進み、結局ワケワカメで読了。

ま、それでもいいんだと開き直っています。ほとんど理解できなくても、ボウルの底にほんの少し、澱のようなものが残る。ぼんやりしたイメージですね。ま、それでもいい。

で、この本のテーマは要するにプレートテクトニクスというか、古代の超大陸がどんなふうに移動してどうなったか、あちこち実例をあげて(けっこう平易に)解説しています。具体的な例をあげて分かりやすく説明しているので、ぼんやりイメージはつかめます。

ひとつ、覚えました。「ナップ」という言葉。アルプスなんかがどうして出来たか。南からアフリカプレートが押し寄せて、衝突すると盛り上がって、北の地殻におおいかぶさる。テーブルクロスを押しやる例で説明していましたが、どんどん押すことでシワができて、新しい地殻の上に古い地殻がケーキの層のようにかぶさる。結果的に上ほど古い地層、下ほど新しい地層というヘンテコリンな形ができあがった。で、その後を風や水がせっせと削って、アルプスのできあがり。

大昔。大学の一般教養で、地学をとったことがあります。精悍な雰囲気の若い助教授でした。なんせ新進気鋭で現地を飛びまわっているから休講がやたら多い。たぶん年間で5回くらいしか講義はなかったんじゃないかな。いつも長靴に作業着姿でダダダダッと教室に入ってくる。20分遅れで講義が始まって15分前には終わる。もちろん受講した学生は全員単位がもらえます。

古地磁気かなんかが専門らしくって、本州が反時計回りに折れ曲がっていく仕組みを説明してくれました。詳しいことは理解できないけど、面白い講義だったなあ。ついでにウェゲナーの大陸移動説も話してくれました。ウェゲナー、当時はまだ確定という説でもなかったようです。

かつては大陸移動説、いまではプレートテクトニクス理論ですか。完全に定説なんですね。ときどきネットなんかでパンゲアがどうしてローラシアがどうとかいう移動図を目にしますが、いまだに覚えきれない。複雑怪奇です。興味はあるんですけど。


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