2011年11月アーカイブ

ずーっと前からデスクカレンダーを使っています。A4くらいのサイズで、月1枚、コマが大きくて書き込んだりポストイットを貼ったりできるタイプのものです。そうですね、たぶん20年くらい前から決め打ちしていました。

2012calendar.jpgところがそれが、3年ほど前からかな、手に入らなくなりました。これは困った。どこの文房具店でも発見できず、どうしようか・・と思っていたら偶然大型スーパーの文房具売り場で見つけたのがこれ。ちょっと高いですが、ま、年に1冊ですからね。

で、昨年は同じものを買おうと思ったら、それが品切れで、そのかわりピンク色を基調としてカワユイ系のイラストを入れた、いかにも女子高生あたりが使いそうなのだけ。ま、仕方ない。

そして今年。例年にも似ず、まだ11月なのにふと気が動いてその駅前スーパーに行ってみました。あったあった。ピンク系のほうが多かったけど、黒っぽい地味なのもまだ数冊残っていた。はい。パクッと購入。1365円でした。

あらためて眺めると、布のデスクカレンダーというのが商品名。(㈱)デザインフィル ミドリカンパニーというところが発売したもの。おまけに小さく「オジサン柄」と印刷してありました。なるほど、これはオジサン向けの柄だっだのか。ピンク系はなんという名前なんだろ。「オンナノコ柄」とか「ファンシー柄」とか。ついニヤリとして、それでブログに書き残すことにしました。

★★ 化学同人

taberarete.jpgいつの頃からか人類の古い古い祖先は結束して狩りをして暮らしていた・・というイメージが形成されてるようです。オトコは棍棒もって狩りに行く。でっかい肉の固まりをもって女房子供の待つ洞窟へ帰還する。はじめ人間ギャートルズです。

でもなあ・・というのが素朴な疑問。狩りに頼って食料を得るってのはかなり効率の悪い手法です。専門家である大型ネコ族だって、成功率はそう高くないらしい。おまけに獲物が豊富にいるシーズンもあれば、枯れシーズンもある。

ま、マンモスなんかがウジャウジャいる時代ならどうか知りませんけどね。(そんなにたくさんいたのか?) あるいは地平線を埋めつくすようにバッファローの大群が疾走するとか。太古、アジア人がベーリング海をわたって新大陸に行き、どんどん南下していく間に、大型獣のほとんどは消滅したと何かで読んだ記憶もあります。食べやすいからっていい気になって獲ってると、すぐいなくなってしまう。あとは飢えるだけ。

そうそう、アメリカンネイティブっていうと、つい映画の影響で裸馬に乗ってバッファロー狩ってるシーンしか思い浮かばないけど、実際には農耕で暮らしていた連中のほうがはるかに多かったようです。ただ農耕タイプのネイティブってのは大人しいですからね。白人からすると、とくに気にする必要もない。映画にもしずらい。少数の獰猛な狩猟タイプだけが開拓者にとってはトラブルメーカーで、関心も高い。

で、この本の著者はこうした「狩猟で暮らした祖先」という概念に反発します。そりゃ数十万年前とか、わりあい最近になってからは狩猟も流行したかもしれない。でもそれまでの間はどうだったんだ。体も小さい。脳味噌もあんまりたくさんは持っていない。ろくな石器もない。火も使っていたとは思えない。チンパンジーの祖先と枝分かれしたばかりのひ弱なご先祖が、どうやって獰猛なネコ族と対抗したんだろう。

つまりは「Man the Hunter」じゃなくてMan the Huntedだったじゃないか。そういうことですね。1文字の違いでイメージが激変する。

というわけで、ページ数の3分の2くらいは、現代でもいかに人間が食われているか、の実証です。アフリカ、インド、インドネシア・・・トラやライオンやハイエナやオオカミやクマやヒョウ、水辺にはワニが待ちかまえているし、巨大な蛇もいる。え?という数の人々が、いまだに食われている。なんというか、かなり気分の悪い報告がえんえんと続きます。

もちろん身長1メートル(だったっけ)のアウストラロピテクスのルーシーだって、黙って食われるのはいやです。そこでルーシーたちの社会生活が生まれ、情報伝達の価値が生まれ、分業がなりたち、みんなで集まって怖い獣から身を守る。見張り役、追い払い役、かなわぬまでも威嚇する役、最後の最後は食われる犠牲役。そうやって、細々と人類の祖先は生きながらえてきた。おしゃべりに磨きをかけ、脳の体積を増やし、体もなるべく大型化にいそしんだ。

で、昼間は大型ネコの食べ残しを泥棒したりもする。夜は怖いから洞窟で固まって震えてすごす。

ま、そういう本です。洞窟の奥に、頭蓋に穴のあいた人骨とヒョウの骨が発見されたとき、「人間が人間を殴って殺した。たまにはヒョウも殺した」と解釈するか「ヒョウが人間を鋭い牙で刺した。そのヒョウもそのうち歳くって死んだ」と解釈するか。ほんと、どっちが本当なんだ?と聞きたいくらいですね。

★ダイヤモンド社

amazonno.jpg「世界最大のネット書店はいかに日本で成功したか」という副題。読んで損したという本でもありませんが、期待して読むとガッカリします。

著者はアマゾンジャパンの立ち上げ時、数年にわたってかかわった人です。マーケティング方面が専門だったらしい。声がかかった際も「日本進出を計画していることはトップシークレット」で、いっさい口外しないという誓約書を書かされたらしい。

たしかに当時、アマゾンジャパンの発足は唐突な印象でしたね。いきなり!という感じ。あるいは「ついに!」という感じかな。

ただ意外だったのは、秘密にしていた理由が「株価対策」だったということ。てっきり日本国内の出版・流通業者からの反発を警戒しての措置だと思っていた。要するに日本に進出するというニュースが流れると、米国内での株価が大変動する。なんかいつも株価が不安定で、それがアマゾンの弱点だったんだそうです。経営方針もあり、人気の割りにはずーっと赤字が続いていたようですし。

で、肝心の内容。うーん、これといって面白い話もないなあ。創意工夫して実行しようとすると米国本社からストップがすぐかかる。社是に反するとか、予算がかかりすぎるとか。IT化ってなーに?という中小出版との在庫確認のやりとりがネックなんで、これをスムーズにするため、こっそり簡易プログラムを勝手に作成。やったぜ!と喜んだら、これもストップくらったとか。

ま、米国のカンパニーですからね。それでも創業当時は手作り感覚のアットホームな良さがあったけど、今ではダークスーツのMBAが幅をきかせているとか。そんなような雰囲気です。

私、アマゾンにはずいぶんお世話になってます。とくに配送料無料になってからは頻繁に利用しています。もっと安い通販はあるけど、何カ所にもカード登録するのがなんか気分悪いし、とくにアマゾンのセキュリティを信用する理由もないけど、ま、ここが破れたら諦めるかという感覚。

便利さ、スピード、価格。カスタマーレビューもけっこう読みます。ただしお勧めメールはピント外れでかなりうっとうしいです。ときどきヘンテコリンな商品登録もあるけど、ご愛嬌。ウイッシュリストとかいうのは、あやうく騙されそうになった。てっきりメモ機能かと思ったら、とんでもないですね。あわてて逃げました。

ま、いろいろありますが、アマゾンさん、これからも御健闘を。

★★★ 講談社

soukyuuno.jpgなんか浅田次郎の代表作みたいな扱いの本です。図書館に珍しくペロッと置いてあったので(しかも上下そろっている)借り出しました。

たしか田中裕子が西太后に扮してドラマをやっていた記憶があります。もちろん観ていません。ん、どっかで10分くらいは眺めたかな。科挙(会試か)とか役者のとんぼ切りとか、なんかやっていたような・・・。

それはともかく。

清朝末期。型にはまるのが嫌いな秀才・梁文秀と、同じ村の糞拾い少年・李春雲がとりあえず中心人物です。文秀は都での試験(会試)で不思議なことに及第。たんなる合格じゃなくて一等賞です。で、へんこてりんな占い婆さんに騙された春雲は、貧乏脱出のため自分の手で性器切断。自宮とか浄身というらしいです。あとはトントン拍子で、二人は出世していく。

面白かったこと。切った性器は宝貝(パオベイ)といって、壺にいれて大事にしていたらしいです。宝貝って、はるか昔のお話である「封神演義」でもたくさん登場してましたよね。戦う神や仏が「秘密兵器じゃぞぉ!」と取り出す必殺の新兵器。たいてい一人の神様はひとつしか宝貝を持っていない。(私の読んだのは安能務の封神演義。奔放・超訳ですな)

ということで、宦官は自分の宝貝を大切に保管しているものと思ってましたが、そこは経済原理、借金のカタとして取り上げられてたケースもあったらしい。小説では、ちょん切り業者が「手術代を貸してやるから、金ができたら買い戻せ」といって保管金庫に入れておく。これナシで死ぬと来世はメス騾馬なんで、宦官は必死に利子を払ったりします。死ぬ前に買い戻して、棺にいっしょに入れてもらわないといけません。

もうひとつ。小説では李鴻章がほとんど万能のヒーロー(ただし年老いている)となっています。あらためて納得したのは、北洋艦隊にしろ北洋軍(淮軍?)にしろ、形の上では「清の軍隊」であっても、実質は李鴻章が作り上げた李鴻章の私設軍であるということ。こういう表現が正しいかどうか知りませんが、体制内に留まっている強力な軍閥みたいなもんなんでしょうか。

ただし。どんなに力を持っていても李鴻章は文人、進士です。皇帝に逆らい、新政府樹立へ一歩踏み出す気はなかったんでしょう。あくまで扶清興国・文明化。ただし、李鴻章の子分である袁世凱は教養人じゃないので、こんな遠慮はありません。ま、袁世凱の野望実現は、この小説の後のお話になりますが。

てな具合で、清朝末期のゴタゴタやら宦官や官僚の陰謀うずまく大騒ぎ。康有為がツバキ飛ばして若い光緒帝に理想化論を檄したり。西太后がわめいたり、下手な演技の役者を叩かせたり、まずい料理をすすめた宦官を百叩き刑に命じたり。いろいろテンコ盛り。

少し違和感があったのは、この小説での西太后と光緒帝との関係です。なんか西太后は亡くなった実子に面影の似ていてる光緒帝に「政治の苦労をかけかくなかった」という動機で動いている雰囲気。これからの政治は苦労ばっかりだから、あの子に辛い思いをさせたくない・・とか。なるほど、だから田中裕子が西太后をやったのか。ただし、なんか分かったような分からないような設定で。

おまけに光緒帝は西太后に頼りきっていて、すっかり懐いているようでもあり、そこに国家の将来を憂いる改革派の志士やらが活躍して、てんやわんやの政争。暗殺未遂騒ぎも発生し、根は優しい西太后も可愛さ余って憎さ百倍・・。わけワカメです。

などなど、へんな設定も多々ありましたが、最後まで面白うございました。そうそう。いちばん最後のあたりで、やけに計算高い少年が出てきて、逃走中の改革派が名を問うと「毛沢東」と答える。ままま、文句言っちゃいけません。可能性としてはありうるんだから。

★★ 講談社
sanninno.jpg
二代目とは「上杉景勝」「毛利輝元」そして「宇喜多秀家」です。三人ともとくに大英雄でもなければ、かといって特に愚鈍というわけでもない。ま、まずまずでしょう。たぶん輝元がいちばん年上で、秀家はずーっと年下。

なんでこの三人なんだろと最初は疑問でしたが、要するに秀吉に従い、やがては家康に反抗したという点で共通点がある。おまけに三人とも大老でしたね。そして関ヶ原のあとではひたすら苦労する。

視点としてひとつ面白かったのは、小山会議のあとの家康・反転引き上げで、なぜ景勝が追いかけて江戸へ攻め上らなかったのかの解釈。堺屋さんのはしごくシンプルです。「東西の戦いは一進一退、城の取り合いで1年や2年はかかるだろう」と上杉が読んだから、というもの。だから直江兼続の最上侵攻などなど、じっくりゆっくり動いた。まずば地力を養うという遠大な構想。

なるほどね。我々は関ヶ原がたった1日で終わったことを知っているから先入観が入る。そういう「常識」なしに見たら、東軍・西軍、こんなにはやく決着がつくなんてわかるはずがない。たしか九州の黒田如水も長くかかるだろうと見たから、諸侯の留守に乗じてせっせと九州平定の活動をした。完全に想定外の早期終結。

てな具合でそこそこは面白かったんですが、それにしても女性二人、つまり秀家の母、福。景勝の母、仙桃院。これがなんか千里眼みたいな超能力で、時代の流れを完全に見通している。なんかごとがあると仙桃院は息子の景勝に的確なアドバイスをしているし、お福(宇喜多直家の後妻ですわな)にいたっては息子を売れっ子の子役のように使って秀吉を籠絡する。

あんまり登場人物ができ過ぎだと、逆に面白みが消えますね。そうそう、小説の中では日海(囲碁の本因坊家の開祖。算砂))なんて碁打ち坊主も何故か政局を見事に見透かして動く。ま、信長・秀吉・家康と三代無事に仕えた人なので、実際、立ち回りはすごく上手だったんでしょうが。

もう一つ、。寡聞にして関ヶ原のあと、秀家が薩摩に逃げていたとは知りませんでした。なんかすぐに八丈島に流されたように思い込んでいた。ついでですが、流されてからも前田家から米を隔年に70俵送ってもらっていたそうですね。やはり奥さんだった豪姫の意向でしょうね。

Wikiによると豪は加賀で「化粧料1500石」をもらっていたというから、あまり生活に不自由することもなく夫(や子供)のために尽くすこともできたんでしょう。幸せだったか不幸だったかは知りません。


★★ マガジンハウス

hiroisekai.jpg先日読了した「双調平家物語」と関連して借り出してみました。

なんでも「橋本治自身まるごと大展覧会」だそうです。そのとおり、橋本がなんやかんや、世相やら歴史やら男と女やら、さまざまなことでブツブツと呟いた集成のようです。

けっこう面白いです。でも、橋本の論理展開ってのは、追うのに疲れる。ストレートじゃないんですよね。常に横道に一歩ズレる。堅実な橋から、その横の虹の橋へ一歩踏み出してみるというか・・。

つまらないことですが、学生時代、歌舞伎座の安い席を1カ月だったかな、完全予約したそうです。もちろん安い席ですが、特定の「への88番」とか、そのひとつ右も左も花道が見づらかったり、舞台が見にくかったり、厳密に「への88番」(もちちろん架空の座席。そんな座席番号までもうろくオヤヂが覚えてるもんか)でないといけない。

細かいなあとも思うし、けっこう金があったんだなあとも思う。なんか冬は毛皮を着て大騒ぎ真っ最中の東大へ通ったとか。あの時代の学生ですよ。たしかにヘンコテリンな人です。

bunnjin2011.jpg
「文人暴食」  嵐山光三郎

口直しの気分もあって、安心の「文人暴食」嵐山光三郎 を読み直し。たしかもう一冊、同じような本がありましたね。えーと「文人悪食」か。こっちのほうが登場人物がメジャーで、もっと笑えます。

こっちの「文人暴食」の登場人物ははどうも困った連中が多くて、困った食生活と困った生活をした奴が多いです。プロレタリア文学の時代にかかっているという理由もあるのかな。

nimgyonomori.jpg理由は忘れたけど、WEBをうろうろしてるとなんかの拍子に高橋留美子のWikiがヒットし、そこで「人魚の森」シリーズが第3巻まで出ていることがわかりました。

「人魚の森」「人魚の傷」「夜叉の瞳」だそうです。巻1の「人魚の森」は間違いなく家にあったはず。その続巻は買った覚えもないし・・・。気が動いて、アマゾンを見たら1巻500円程度です。うん。これは買わずばなるまい。

でも、念のために娘にメールしてみました。すると巻2も家にあった気がするとのことです。そんなこと、よく覚えてるなあ。で、巻3を買うんなら是非買っといてくれとのこと。

とりあえず、巻3「夜叉の瞳」を買い物カゴに入れてあります。送料無料ではあるけど、ついでに買うものがあるならそのほうが心が痛まない。妻に「なにかあるんなら一緒に買うよ」と告げてあります。どっちにしても、そう急ぐものではない。

あららら、1巻2巻と同じ色刷り付き「るーみっくわーるど」版の第3巻はないらしい。買うとすれば少年サンデーコミックススペシャル版。こっちのほうが安い作りなんだよなあ。残念。

自分で言うのもナンだけど、60代半ばがわざわざマンガを注文するか! 末世じゃのう

何年も刊行を待っていたGeorge R. R. Martinの A Song of Ice and Fire シリーズ No.5。A Dance with Dragons はこの7月に出たんですが、出たのはハードカバー。ハードカバーで買うと大きくて重くて扱いにくいんですよね。掲示板なんかでも「腕が痛くなる」なんて書き込みもある。

martinbooks.jpgアマゾンの情報では来年の7月か8月ごろにペーパーバック版が出ることになっていたので一応は予約を入れ、でも、はて、どうしようかなあ・・と迷っていました。早く欲しいけど、ハードカバーの売れ行きに影響があるので、たいていペーパーバックの発売予定時期はウソが多いんですよね。少し早くなることが多い。

で、このところバタバタしてたせいか、すっかり忘れていました。今日ふと思いついてアマゾンをチェックしたら、うんうん、「2012/7/2」→「2012/3/29」に変更されていました。
そうか、来年の3月末。ひょっとしたらもう少しくらい早まるかもしれない。履歴をみると7月→5月→3月と書き換えられてるようですし。(追記: 要するにこれってマスマーケット版のことだったのね、きっと)

Martin、歳のわりに太りすぎで、おまけに遊び歩くのが好きな困ったオヤヂ。執筆スピードがこのところ落ちてる気配があります。それとも構想で大風呂敷ひろげすぎて始末に困っているのかな。急逝とか、この A Dance with Dragons がいきなり最後の本になっても不思議じゃない。なんとかしぶとく長生きして完結編(巻7なのか巻8なのか未定)まで書いてほしいんですが。

マゾンで前に予約いれたはずなので探してみたら、まだ7月発売の情報になっていました。混乱するといけないので、念のため予約をキャンセルしました。

追記
あらためてまたアマゾンを見たら、3月の発売は小型のマスマーケット版。より大判のペーパーバック版は7月のままだった。なんか勘違いしてしまったのかなあ。持ち歩くこともなさそうだし目が悪いので、私はペーパーバックのほうが望みです。(英国アマゾンは4月にペーパーバックが出るらしい)

しばらく途絶えていました。このところめっきり冷えてきましたが、当方、ようやく暇。うん。暇は嬉しい。

えーと。先日は恒例の兄弟食事会がありました。内幸町の某ホテルのバイキング。あれやこれやの理由で4番目の兄がシャンパン1本奢るぞと宣言したので、なりゆきで飲み物はシャンパン。イタリアものを2本、頼みました。フェラーリ・ロゼ。イタリアだから正式には「スパークリング」ですね。1本1万1000円だったか1万2000円だったか。

ロゼのスパークリングは泡がきれいですよね。オナゴ衆はほとんど飲まないで口をつける程度なんですが、見ているだけで楽しい。最初に9人(あとの2人は子供)のグラスに満たすと、あとは数杯分が残る程度です。その数杯分は私と甥っ子が飲みました。甥っ子といっても、世間的にはもう中年です。

このホテル、料理は年々落ちてきてる雰囲気です。でも来年もまたここでやるでしょう。最長老の伯父さんが「年に一回、このホテルの空気を吸いに来てるんだ」とか言います。確かに。こんな会でもなければ、わざわざこのホテルに来る用はない。歳くった美女、老嬢のようなホテルです。衰えてはいるが、まだ雰囲気はある。

私が暇になった頃合いを見計らって、子供も継続していた多忙期が終わったらしい。先日は文京区のロシア料理の店(小レストランというか、料理店というか)で食事。比較的安くて味もまずまずなので、これで2回目です。3人で1万円弱。(海燕)

メガネを新調した話、書きましたっけ。台湾で落としてきた外出用のリーディンググラスの代替品です。行きつけの新宿の店で、たしか1万5000円レベル。もっと安いのでもよかった。

私ひとりで買うんなら、さっさと7000円くらいのを選ぶんですが、なんせ妻と子供が一緒の買い物です。あれやこれやと見定めがいろいろ難しくて、時間もかかりました。決めてからもツルの調整やらなんやら、素人っぽい店員が妙にうやうやしく対応するんで、これも時間たっぷりかかります。はい。決してイライラせず、じーっと待ちました。歳とると我慢強くなる。

そうそう。健康診断の結果は、だいたい予想どおり。想定範囲内。清廉潔白で無罪放免というふうにはいきませんが、どこかが目立って悪いからすぐ治療しろというわけでもない。歳くって運動不足で、煙草すって酒のんで、完全に健康でいられるわきゃない。

★★★ 角川グループパブリッシング

olympic.jpg牛の涎の長大平家でさすがに疲労したので、口直し。奥田英朗のものは安心して読めます。

内容は昭和39年、オリンピック開催に沸き返るニッポン。学生やらBG(いまのOLですね)、タレント志望のホステス、セクト、やくざなどなど、まだ若い(はず)の奥田センセが、よく調べ抜いて当時の空気を描いています。同時代を生きた人間からすると、ほんのちょっと違和感を感じる部分もあるけど、ま、無理いっちゃいけません。

蕎麦ときしめんの清水義範も、この頃を背景になんか青春ものみたいなのを書いてましたね。ビートルズがどうとかこうとか。なんという本だったか忘れました。そうそう、「リプレイ」という本もありました。ケン・グリムウッド。これも面白い本でした。しがない中年男が理由もなく、記憶も保ったまま、パラレルワールドの青春時代にタイムワープする。

で、本書。ストーリーは比較的単純で、出稼ぎ労働者の兄の死をきっかけに、貧しい地方出身のとある東大生がオリンピック建設の肉体労働者を経験し、たくましくなり、オリンピックを破壊しようと考える。国家権力、捜査一課と公安は必死になって隠密裏にテロを防ごうとする・・・。こんな事件が世間にバレてしまったら、国際的に信用を失ってしまいます。だからこっそり行動。

なかなか面白かったです。生っちろい学生が肉体労働をする。もちろん辛いものですが、この当時はそんなに不思議なことじゃなかった。なんといってもお金になるし、手っとり早い。わたしも多少はやりました。たしか夏場の北洋漁業のアルバイトもあって、これは通常の4~5倍の賃金がもらえる。かなり魅力でしたが、さすがに命が惜しくて乗らなかった。素人が北の海で舟から落ちたら、ま、絶対に死にますわな。

でも「肉体労働のほうがスッキリ単純で、気をつかわなくていいよな」なんて考える奴がいたら大間違いです。間違っちゃいけないよ。いやーな世界です。サラリーマンだって人間関係はややこしいし、無理難題を言う上司はいる。でも単純労働の世界、もっと酷いです。理屈にならない理屈、おまけにいきなり暴力が出てくる。嫌な奴の嫌な度合いもはるかに酷い。劣悪な連中がいっぱいいる。

てな具合で、この東大生、結果的にヤクザまがいの男に脅かされて、殺してしまいます。生殺しに生かしておくと、あとがやっかいなんです。でもたいして罪悪感もない。要するに底辺生活を経験して、すごーく逞しくなってしまったんですね。ヒロポンやったり、車両専門の老スリ(箱師)と仲良くなったり。

まだ悲惨だった地方と繁栄を目指す東京。いまの中国の奥地と海岸地域の対比みたいなもんでしょう。ついでに底辺社会とエリート社会の対比。それに異議申し立てをするために、象徴であるオリンピックをぶっこわす。

当時のニッポン、オリンピック成功にむけて一丸となって邁進してましたね。アジアで初めての開催。三流国がようやく世界に認めてもらえる。高速道路が伸び、新幹線、モノレール、豪華ホテル、巨大な競技場。三波春夫。これに反対する国民なんていなかった。もしいたら非国民。

小説の中でも、左翼セクトの連中が「いまオリンピックを妨害したら、国民の指示を失ってしまう」と言います。暴力団でさえも「オリンピック成功のためだ。しばらくは組員みんな東京を離れる」という方針を打ち出します。国家総動員。

そうやってニッポンは高度成長の道へ踏み出したんですね。中国を笑っちゃいけません。

(注) 嫌な奴の嫌な度合い
このへんは、吾妻ひでおの「失踪日記」なんかが詳しいです。ガス会社の下請け作業。壊れたような作業員がいっぱい登場する。


★★★ 中央公論新社

やれやれ。ようやく全15巻を読了。斜め読みでもずいぶん時間がかかりました。斜め読み、たぶん、全体の2割か3割くらいしか目を通していないと思います。それでも大変だった。

soujou.jpg以前からこの時代に疑問が二つありました。ひとつはなぜ院政が可能だったのか。もうひとつはなぜ頼朝政権は成立したのかです。

なるほどなるほど。外戚として権威をふるってきた摂関家がついゆだんをして、中宮として送り込んでいない(重視してしなかった)親王が東宮になってしまったんですね。東宮になってからも、 適当な女児がいなかったという事情もあったみたいですが、朝廷には義母とか伯母とかいくらでも摂関家の息のかかった女性がいるんだから、わざわざ養女を設定して中宮を入れる必要なんてないだろ、とタカをくくってしまった。

実質的には白河院ということになるんでしょうか。この人が摂関家の影響力の及ばないかたちで威をふってしまった。おまけに長生きしたし。とどめをさしたのが後白河帝で、こんな今様狂いのトンチキにいちゃんが天皇になるとは誰も予想していなかった。

で、それを謀ったのが信西だというんです。信西、すごい智嚢と腕力と意志の持ち主だったらしい。でも最後は地中にもぐって 殺される。あるいは自死する。どっちだったのかは不明。

ついでですが、平安の御世に「死刑」を復活させたのも合理主義者・信西。なまぬるい平安に、首チョッパの暴力を復活させたんですね。結果的にそれが自分のくびを締めた。

また橋本センセの描く後白河院は決して「賢帝」でもないし「政治力にたけた悪某家」でもない。なんとも天然自然、意志が強くてわがままで、自分の好き勝手だけをする人。生意気な貴族には意地悪をする。慕ってくるやつはアホでも可愛がる。とくにアホな男を寵するのが好きだったらしい。困った人なんですが、でも強い。

とくに楽しみにしていた透き見遊び(庶民を眺めるのがすきだった)を妨害した廷臣を、おんみずから成敗に出張したというエピソード、面白いです。院が武士をひきつれて(これが清盛です)、牛車に乗って御所にのりこみ、逮捕して連れ帰った。すごい行動力。

もうひとつ。頼朝について。もちろん頼朝、なーんも背景をもっていません。源氏の棟梁・義朝の息子(三男くらいでしたっけ)で、右兵衛のナントカに叙せられている。一応サラブレッドではあるんですが、だからどうしたの世界。世の中、平氏のものなんですから、おちぶれた源氏の御曹司なんて、なーんの意味もない。たしか隠遁中、近所の有力者の誰かの娘に忍びいって子供を生ませて、その子供、すぐ消されてしまってますよね。娘の父親があわ食った。ま、当然ですわな。

で、なぜ頼朝の蜂起が成功したのか。まず、中央政府の力が衰えていたらしい。平家が実権握ってるんですが、あんまり機能しなかったのか、それとも地方武家の興隆と従来型の中央集権政治の折り合いが悪くなっていたのか。

地方武士にとってなにより大切なのは「自分の土地・利権の保護」「まともな(ある程度納得できる形の)裁判」「何もしてくれない京の政権に税金払いたくない」という気分。

だから本当は誰でもよかっんです。特に頼朝である必要はなかった。なんならイワシの頭でも、猫の尻尾でもいい。かつぐことのできるオミコシなら、なんでもよかった。

ということで、なんとも微妙ないろいろの末、千葉の有力者が頼朝をかつぐ決心をした。有力者がかついだことで、周囲の有力者も仲間に加わった。加わったことで、関東圏があっというまに頼朝の下に参集した。おまけに成敗に下ってきた平家の討伐軍が信じられないほど弱かった。

そもそも、平氏って、本質的には「もののふ」ではないらしいんですね。半分武士で半分公家。源氏ほど乱暴ではない。下手すると「馬に乗って刀も振るえる公家」ですか。ま、それでも瀬戸内の海賊をいじめたり興福寺を焼く程度には強かったんですが。

結果的に関東を制圧した頼朝ですが、家来の豪族たちは京に攻め上って日本を統一しようという気もなかった。せいぜいでたとえば武蔵のなんとか郷、せまい地域を自分の領にできればそれで十分。西国や九州にはなーんも関心なし。一種のモンロー主義ですね。

だから、後白河からすり寄られた義経は、あっというまに頼朝から勘当された。関東御家人たちの共有する感覚が、たぶん奥州育ちの義経にはなかったんでしょう。そもそも、義経にはまともな家来がいなかった。字を書けたのは弁慶だけ? あとは盗賊あがりとか、狐の子供とか。

などなど。読みとばしではありますが、面白い本でした。

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