2013年5月アーカイブ

モンティ・ホール問題というのがあるそうです。かなり有名な確率論のテーマ。「悪の教典」で簡単に紹介されていました。

テレビのクイズ番組です。司会者の名前はモンティ・ホール。なのでこの名称になったらしい。

で、回答者の前にはドアが3つある。そのうち2つはヤギが入っている。要するに無駄骨のハズレ。1つには豪華なクルマが入っている。アタリです。

回答者はドアのうち一つを選びます。正解の可能性は3分の1ですね。ここまではわかる。

すると司会者は、回答者が選ばなかったドアのうちの片方を開けます。そこにはヤギが入っています。どのドアがヤギで、どのドアがクルマかを司会者は事前に知ってるわけです。回答者がどのドアを選んでも、残りのドアの1つ、あるいは2つにはヤギがいる。それを選んで司会者はドアを開け放つ。

で、司会者は親切そうな顔で言います。「では最終決断。さきほど選んだドアのままでもいいです。あるいは違うドアに変更してもいいです。さあ、どうします?」

直感としては変更してもしなくても確率は変わりません。残った2つのドアのどちらかにクルマがあるわけで、確率は2分の1のはず。

ところが違うというんですね。

最初の選択のままで通す場合、クルマの可能性は3分の1でした。その後で司会者がなんか余計なことをして、確率が2分の1であることを保証してくれたようにも見えますが、しかし「選んだ時点での確率」は3分の1のままです。

では気を変えてドアを変更した場合はどうでしょうか。確率が3分2に上がるというのです。

うーん。納得できません。直感に反するからです。

いろんな説明方法があるようですが、比較的分かりやすいのは「まずヤギを選ぶ」という考え方でした。

最初はあえてヤギ(ハズレ)を選ぼうとしていると考えます。ヤギは2匹なので可能性は3分2です。うん、確かに。そしてモンティが残りドアのヤギを開けてくれるので、もし最初にヤギを選んでいたのなら、もう一つのドアはクルマに間違いありません。つまり「まずヤギを選ぶ」「次にそのドアを変更する」という手順をふむことで、3分の2の確率のままクルマをゲットすることができます。

話を極端にして、ドアの枚数を10枚にしますか。まず1枚を選んだ場合、もちろん正解の確率は10分の1。つぎにモンティが残り9枚のうち8枚を開けます。そして最初に選んだドアのままか、残ったもう1枚のドアにするかを決めさせます。

うーん、条件がかなり変わってしまったわけですが、それでも最初のドアに固執するか、あっさりもう一つのドアに変更するか。分かりきったことのような気もしますが、なんか騙されたような気もする。

実際、シミュレシーション計算でも、ドアの変更のほうが有利なんだそうです。ふーん。
久しぶりに慣れないアタマを使ってしまいました。学生時代から数学は苦手だったしなあ。

追記
でもそうした経緯をいっさい無視して、要するに残った2つのドアのどちらを選ぶか。つまり変更してもいいし、変更しなくてももいい、片方はクルマ、片方はヤギ・・・と考えると、確率は2分の1のはずです。わからん。
「モンティ・ホールのジレンマ」と称されるゆえんでしょうね。

★★★ 明石書店

change-bkg.jpg「変」はChageの意。今年になっての刊行ですね。受賞効果でいろいろ本がでるのが嬉しいです。

小説ではなく、一種の自伝。汚いガキの頃から今に至るまの半生です。書かれたことを事実そのままと受け止める必要はないでしょうが、かなり近いんじゃないか。少なくともその時々の心情は忠実のような気がします。薄くて大きな活字の本なので、ゆっくりじっくり読みました。

山東省の田舎の小学校時代、卓球の上手なちょっと可愛い女の子がいました。シズカちゃんです。ひそかにシズカちゃんに憧れているのがジャイアンです。ジャイアンは貧民の家庭で出自もいいし、勇気(蛮勇)もある。思い切りがいい。

それを見ている莫言は中農の出自という最悪のみっともない子。貧乏なスネオですね。先生に嫌われて学校を追い出されます。でも教室にこっそり舞い戻る。殴られても蹴られても教室にもぐりこむ。一方、乱暴なジャイアンはふとしたことで教室から出奔します。出奔する際には教科書を破り捨てる。勇気があるなあ・・とスネオは驚嘆します。

で、学歴のないスネオ莫言はあの手この手を使って、なんとか這い上がろうとする。ツテをたどって解放軍に入れてもらいます。暗い将来にデスペレートになりかかりながらも、結果的に小説を書いて名声とお金を得る。

ジャイアンはスネオ莫言から10元を脅し取って、その金を懐にして内モンゴルへ一旗あげに行きました。荒っぽいこともやり、先を読む小知恵と大胆で金をもうけます。

ジャイアンはお金持ちになりました。でももう奥さんがいたので子供時代の憧れの人、シズカちゃんとは結婚できません。「愛人になるか」と聞いたら、さすがにシズカちゃんに拒否されました。

スネオに対しても昔の友情を謝していろいろ奢ってやりました。でもスネオはあんまり感動してはいないようです。

シズカちゃんも最初の結婚で酷い目にあい、再婚でなんとか平凡な家庭をつくります。そしてある日、中年になった三段腹のシズカちゃんはあまり好きではないスネオ莫言のもとへお願いに来ます。なにしろ仕方ない、コネ社会。可愛い子供の将来のためです。そして世話になったお礼に1万元を出します

その1万元を・・・どうしたかは内緒。このへんがいかにも莫言です。

★★★ 文藝春秋

akunokyouten.jpg図書館の棚にこの本が上下3冊ずつ並んでいたので借り出し。よほど人気の作家なんでしょうね。

なるほど。面白く読みました。ま、内容は悪の教師が生徒を惨殺しまくるというもので、かなり上出来のマンガです。主人公のハスミン、いいキャラを創作したもんです。悪い奴なんだけど、諧謔がある。立派なエンターティナーですね。

ただし二連装の猟銃でナニしまくるのは大変だろうなあ。アレをしたりコレを準備したり、まるでスーパーマンのような八面六臂の大活躍です。いや、スーパーマン顔負け。

ちなみに使用の猟銃、型番がどこかに記載してあったかどうか、読後にパラパラとめくってみたけど発見できず。通常、散弾の重さは20~30グラムくらいのはすでなので、もし50発を携行するとなるとそれだけで1Kgから1.5Kg。けっこう重いですね。さらにブラックジャックとか他にも武器を持ってるはずだし、防弾チョッキも着用となるとすごい。やっぱ、かなりのスーパーマンタイプです。

面白かったけど、たぶん再読はしません。

宅ファイル便をよく利用しています。Firefoxで指定のURLクリックからダウンロード開始、ほとんどの場合は問題なく終了します。

しかし今回はダウンロードしたファイルがなぜか2本になっていて、本体は0バイト。もう片方は xxx.PART という名前になっています。たしかだいぶ前にもこんなことがあったなあ。

partfile.jpgPARTとは、確かダウンロード途中のキャッシュかなんかだった気がします。で、回復できないかとこのxxx.PARTをいろいろいじってみましたが、どうにもなりませんでした。

仕方ない。もう一回ダウンロードするか。あれれ、1回しかやってなかったはずなのに、なぜか2回落としたことになっている。不審です。でも、ま、いいか。ということで再ダウンロード。無事に進みました。

あとで比べてみると、失敗した方のxxx.PARTは9M程度だったのに、成功したほうは19M程度ある。ということは、最初のxxx.PARTは完全に失敗バージョンで、中断してしまったDLの残骸だったんでしょうか。回線そのものは順調な雰囲気ですが、要するに何かの事情でDL途中にエラーが入ってしまったんでしょうね。

そういうことのために、宅ファイル便のトライ回数は5回ということになっているんでしょう。

へんなコメントが付くようになりました。今日で2回目。「このは影響して贅沢品の電子の通り道商を販売すること判決を下しますとか?」とか。できの悪い自動翻訳使ってますね。

なんかブランド品に絡んだスパムコメントみたいな感じです。こういうのが増えると、そのたびに削除するのが大変なんだよなあ。お願いだから、来るなよ。


★★ 柏書房

meimonryouriten.jpg「リストラされた彼女の決断」などとやけに仰々しい副題がついてますが、あまり気にする必要はない。ま、要するに元キャリアウーマンがコルドンブルーのパリ本校へ通うお話です。

コルドンブルーってのは、料理学校ですね。いまでは全世界に数十のスクールを展開し、日本にもいくつかあったと思います。

かなり期待して借り出しました。結果としては、そう悪くもなかったけど、非常に面白いとまでは言い切れない。料理実習の詳細いろいろはいいんですが、自分の恋愛話を交差させてるんで、そこの部分が日光の手前、イマイチ。できすぎみたいな彼と仲良く助け合ってウンヌン・・という展開は、ま、どうでもいいです。

著者はライターやっていたアメリカ女性なんですが、フランス語はあまり得意じゃないんですね。3コースある実習のうち最初の2つは通訳がつくものの、最後の本格コースはフランス語だけ。ネイティブ講師シェフがペラペラしゃべるのをちゃんと聞けないとなかなか辛い。

はい。塩がどうたら・・と文句言ってるのはわかる。けど、これって塩が多すぎたのか少なすぎたのか。そこが判然としないんで困る。

ま、各国から集まってきた生徒たちがワイワイガヤガヤ、意地悪したりカバーしあったりしながら料理を勉強して試験を受ける。かわいい日本人学生がフランス語も英語も苦手とか、芸術品みたいな飾りつけをするとか、韓国人学生が失敗時の保険として既定以上の材料割り当てを確保してしまう(結果的に全員に行き渡らない)とか、ガツガツ成績ばっかり上げたがるアメリカ人生徒とか。

知らない世界をのぞけたという意味では読んでよかったです。各章の最後にはレシピがついています。興味のある人にとってはすごく楽しいかもしれません。

★★★ 中央公論新社

tendow.jpg莫言の最新刊です、たぶん。ノーベル賞受賞で、あわてて刊行でしょうか。ただし執筆はかなり初期で、「赤い高粱」なんかの後にあたるらしい。

テーマは山東省のニンニク芽農民の暴動。鄧小平による改革のすこし後の出来事らしく、高値傾向のニンニク芽の生産を奨励した県が、いざ出荷の段階で買い入れを渋った。上手にやれば大問題にならなかったんでしょうが、役人連中も旧態依然で慣れていないし、当然のことながら私利私欲に走る。結果的に膨大なニンニク芽の売れ残りを抱えた農民たちが「買い入れろ!」と自然発生的に県庁を襲った。当時の中国にとってはショッキングな事件だったようです。

莫言にしては非常にストレートに描かれています。もちろん莫言らしく濃密な自然とか原初的な暴力とか愛とか、あっけなく訪れる無残な死が描かれますが、ちょっと遊びの要素が少ない。現実をなぞったため諧謔の出番が減ったということでしょうか。

「白檀の刑」の猫腔に似た歌うたいはいますが、こっちは盲目の民謡師で、当局に抵抗しつづけて抹殺されます。農村の因習的な暴力親爺、その妻、妊娠した娘、それを嫁にもらおうと必死の勇敢な若者、みーんな極度に貧しくて、みーんな死にます。

ちょっと悲しい小説ですね。腐ったニンニクの芽の悪臭が読後も漂います。胃の弱い人は読まない方がいいかもしれません。

別件ですがニンニクの芽、小さな中国料理店で食べたことがあります。汚い店でしたが店主が中国人で、初めて食べたのが「ニンニクの芽」の炒めもの、非常に美味しかったです。ただし食べたあとの臭いがすごい。会社に戻ったら同僚達が「どこかでガス漏れしてるぞ」と本気で騒ぎだしたくらい。

ラッシュアワーの電車の中ではひたすら口を閉じて、下を向いて帰りました。周囲の乗客の顔を見る勇気がなかった。

worldsend.jpg★★ 中央公論新社

村上春樹訳の短編集。

セローの「小説」としては初読。なるほど、こういうスタイルで書くのか。

ちょっと気が利いていて、たいてい「で?」というところで切る。あとは自分で想像してみてね、という書き方です。

悪くはなかったですが、感動するほどでもない。やはりセローは旅もの、「鉄道大バザール」ゴースト・トレインは東の星へ」のほうが本領という気がします。

★★★ 文藝春秋

grotesq.jpg東電OL事件を下敷きにしているようですが、さして重要なテーマではない気がします。

スイス人の父(ケチな圧政者)と日本人の母(無意思で従順)をもった姉妹。姉は賢いが不細工で悪意の固まり。妹は人形のような完璧美人で中身はカラッポ。二人だけでなく登場するのはすべてバランスの狂った人間ばっかりです。父しかり、母しかり。学友しかり。

閉ざされた環境から脱出するために進学したのは小学校から大学まで一環の超有名私立。ここもバランスの狂ったゆがみの社会です。出会った学友、イジメから抜け出すために勉強する秀才と、ひたすら「努力は報われる」と信じむ偏狭な女子高生。どっちも危ない。

てな具合でなかなか面白かったのですが、だんだん劣化してくる雰囲気で、そうですね、長い小説の前半までは★★★★。語り手の根性悪女がよかったです。

そうそう。語り手は何人がいますが、みーんな嘘つきです。

残りはだんだん詰まらなくなってきて★★。最後のあたりは★。いちばん最後は「マイナス☆」。この結末はないだろう!

★★★ 講談社

kyoushu.jpg上下巻。気になって借り出したのですが、タイトルはなんとなく知っているし、前に読んでないことはないはず・・。ただ抜き出して斜めに目を通しても、なんか記憶がない。

やはり既読でした。ただほとんど覚えてないので、ま、損はないですね。

明治初期の土佐の民権運動。下級武士の家に生まれた秀才の兄と能天気な弟が巻き込まれたり、巻き込まれることを拒否したりして成長していく。ん、特に成長もしていないかな。ま、悩んだり悩まなかったりして生きていきます。

なんだかんだ、最後は加波山事件で終わります。民権過激派が爆裂弾をつくって茨城県加波山に集結した事件ですが、かなり悲惨かつ矮小。筑波山の天狗党を連想させるものの、もっと規模は小さくて、もっと阿呆らしく終結します。

梟首の島、なんとなく「きゅうしゅ」と読んでいました。でもフリガナは「きょうしゅ」となっています。なるほど。梟雄を「きゅうゆう」とは読まないですね。ずーっと誤読していた。

土佐の元気な兄ちゃんが民権運動に血を沸かせて走り回るのはなかなか面白かったですが、日本とロンドンを交互に舞台とする小説の展開はかなり意味不明。テーマらしい「梟首の島」ということの意味もよくわかりませんでした。ニッポンはずーっとそういう島国だということなんでしょうか。

でもま、坂東眞砂子ですからそれなりにいい本でした。

★★★ 筑摩書房

rakujitsunofu.jpg明治期の碁打ち・雁金準一のお話です。よくは知らない棋士です。人柄も良かったようですが、当時の本因坊家の跡目をめぐって確執があり、結果的に本因坊秀哉にはじき出される形で、日の目を見ることなく後世を送った。不遇の人生でしょうね。

でも強さは知られていたんで、小新聞だった読売の正力松太郎が因縁の二人の対決(大正の大争碁)を計画し、これが大当たり。棋譜の掲載で新聞売り上げが一気に三倍に増えたってんですから、やっぱ正力という人は商売のセンスがあったんですね。

で、なぜか本因坊秀哉という名前にはなんか覚えがある。どこで知ったか・・と考えると、たぶん子供の頃に読んだ村松梢風の「近世名勝負物語」、あそこに登場したんじゃないだろうか。調べてみたら「近世名勝負物語」の中に「本因坊物語」というのもあるらしい。これでしょうね、きっと。

村松梢風の本は父親の本棚にありました。こっそり抜き出して読んだりしてたんです。

秀哉という人、明治から昭和にかけて本因坊名人だった実力者ですが、結果的にこの人が名跡を譲渡する形で現在の実力制本因坊位になった。そういう功績ある棋士です。ただ人間的にはいろいろ悪口いわれるタイプだったようです。本因坊秀哉、雁金準一。どちらも名手、ちょっとこすっからい男とちょっと世渡りの下手な男、因縁のストーリーです。

あいにく未完で、肝心の因縁対局の場面まで到達していませんが、それでも明治期の碁の歴史として面白い本でした。それにしても棋界の連中、しょっちゅうケンカしているなあ。分裂したり謀叛があったり策謀があったり。ま、どこの団体だって同じようなものかもしれません。

そうそう。団鬼六をまともに読むのはこれが初めて。こういう文体で(も)書く人だったんだ。

何日か前から急に、検索窓に打ち込んだ文字がダブるようになりました。
たとえば「けんさくまど」と打ったつもりが「けんさくけんさくまど」とか、二重になってしまう。

ネットで調べてみたんですが、意外にない。「nowdotnet*.*」を探して削除すればいいという指針もあったんですが、オヤヂの環境ではこのファイルが見当たらないんです。

調査の結果、Firefoxを使ってGoogleに打ち込んだ文字だけがダブるらしいことが判明。このどっちかが原因なんでしょうね。

で更に調べたところ、某掲示板で「インスタント検索を切る」という解決策を発見。ふーん?と内心は疑問に思いつつ、やってみました。Googleで何か打ち込んで検索画面に移行すると、右上に歯車マークが出ます。ここからオプションが出てきました。

結果としては、入力文字のダブりは解決。なんだか理由はわかりません。
googleinstant.jpg
そうそう。別件ですが、もらったPDFを開いたら、いきなり「Security Essentialsにより、認識されないアイテムが・・・」というメッセージも出ました。なんか怪しいファイルがあるけど報告するか?ということらしいです。たぶん誤認識でしょうね。

もちろん「しない」を選択したんですが、以後、PDFを開くたびにこのメーセージウィンドウが飛び出す。かなり迷惑です。そこで、これも理由なく「報告する」をクリックしてみたら、なぜかそれ以降はメーセージが出なくなりました。不思議です。

わからないこと、ほんと、多いです。


追記
ただし、Googleの件、クッキーを削除するたびに元に戻ってしまいますね。その都度、検索設定しないといけない。面倒だなあ。


★★ 徳間書店

ineu.jpg副題は「何が起き、何が起きなかったのか」。著者はオランダのジャーナリストみたいです。

内容はここ100年のヨーロッパ。つまり第一次大戦以降の欧州史ですね。歴史といっても事実の羅列ではなく、いわばインタビュードキュメンタリー。著者があちこちの都市(ウィーン、ベルリン、レニングラード、パリ、ロンドン・・・)を訪れて、老人たちに当時の話を聞く。庶民、兵卒もいれば元閣僚もいます。もちろん軍人、将軍もいます。

そうした「語り」に著者が総括的な補足説明をする形で、長大な上下巻がくりひろげられます。

たとえばファシスト政権下のユダヤ人の扱い(イタリア人は迫害に意欲がなかった)とか、知らないことが多くて面白い本でしたが、基調はひたすら陰鬱です。この100年、ヨーロッパはひたすら殺しあい、迫害しあい、奪いあってきた。たった一人の悪人がいたわけではありません。ヒトラーだけが殺人鬼だったわけではなく、チャーチルやルーズベルトが善意の英雄だったわけでもない。フランス人がみんなレジスタンスに立ち上がったわけでもないし、ヴィシー政権が無力な飾り物だったわけでもない。

ドイツでもロシアでもパリでも、普通の市民たちが彼らなりの欲望と偏見と日和見と思い込みで悪行に加担してきた。もちろん今はみーんな口をぬぐっている。そういう利己と愚行と残忍の積み重ねが歴史というものなんでしょうね。

数字がやたら出てきます。ここで3000人が埋められた。ここで3万人が死んだ。ここで300万人がいなくなった。3000万人が消えた。読み進んでいくと気分が滅入ります。一時期、シベリアのどこかの地方では若い男が壊滅状態になったため、村の女たちは少数の男から順番に子種をもらうしかなかったというエピソードもありました。まるで「逆転大奥」ですね。

どこかの章で戦時下を生き残った女が「男は弱い性だ」と語る部分がありました。男たちは勇ましく立ち上がり、すぐ殺される。あるいは打ちのめされてもう立ち上がれない。女は必死に堪え、なんとか生き残れた女たちは日々のパンを捏ねて子供を産む。

今、少なくともヨーロッパの大部分はまがりなりに平和です。でも完全ではない。あちこちで相変わらず殴り合い、殺し合っている。この平穏、本物といえるんだろうか。もちろん、日本だって同様です。

かろうじて読み終えましたが、疲労はなはだし。

大昔のエントリー、Windows7、PhotoshopでMSフォント入力」へのコメントがいまだに続いてます。ようするに古いPhotoshopをWindows7にインストールすると、MS系の文字入力ができなくなるという問題です。

私自身はどこかのサイト(すみせん、URLなくしてしまった)で発見した手法
・古いMSフォント(MSGOTHIC.TTC、MSMINCHO.TTC)を
・Win7のProgram Files(x86)/Common Files/Adobe/Fonts/
に放り込むという方法で誤魔化しました。ありがとうございます。

でもその後、AdobeやMSのサポートサイトにあるファイルを適用することで解決できるというコメントも寄せられています。ただし私自身はこれをやっていないので、なんとも言えない。おまけにその後、CS6 Extended(スクール版)を入れてしまったので、いっそう事情がわからなくなってしまった。自分だけバスを降りてしまった形ですね。

ということで、まだコメントは続いているようですが、みなさんよろしくお願いします。コメント欄はご自由に使ってください。

★★★朝日出版社

bakugen2013.jpg「おっ、新刊か!」と借り出しましたが、もちろん違います。初期の頃の短編を集めたものらしく、副題に「莫言珠玉集」と謳っています。

表題にも使われている「透明な人参」。短編というより、中編に近いでしょうか。若いころのもの、たぶんデビュー作らしく、ストーリーとしては特に何もありませんが、キラキラと感性が光っています。ほとんど最初から最後までキラキラばっかり。黒ん子と呼ばれる自閉的な少年、田舎娘と石工の健康的な若いカップル、嫉妬に狂う片目の鍛冶屋らが織りなす一種のファンタジーです。

こういう文章はじっくり読むといいんだろうなあ・・と思いつつ、実際にはベッドサイドに置きっぱなしで就寝前に少しずつ読みました。頭がボケーっとしている状態で読むようなものではなかったですね。けっこうページをめくるのが大変だった。

小編ですが「お下げ髪」も、けっこう楽しめました。何といって不足のないはずの夫婦の生活が何故かうまくいかない。奥さんが不満をつのらせる。うるさい妻を黙らせようして、つい台所にあった茄子を奥さんの口につっこんでしまう。そしたら・・・ま、笑ってしまいます。


ちみなみにストックホルムでのノーベル賞受賞講演記録も掲載されています。これはよかった。莫言の創作の秘密がほとんどすべて語られています。

saikou0506.jpg最強の囲碁 新・高速版をやっていると、こんなキャラクターがときどきポコッと出現して困ったり喜んだりします。

たいてい負けてることが多いので、扇子を口に当ててホホホッと笑ったり、嬉しさをかみ殺しているような表情のことが多いですね。

で、このキャラがニタニタするとき、なんか思い出してしまう。大昔、ちょうどこんな表情する大嫌いな男がいたっけ。うーん、あいつ。二度と合いたくない奴だった。よく見ると違う顔なんだけど、なんか似てる。

形勢が悪くなるたびにこの顔を見るのはどうも胸くそ悪いなあ。ま、登場設定をオフにしちゃえばいいんですけど。

  いかに負けがこんでるかがよくわかります。勝てないなあ。


天気がいいのでまた野川沿いの散歩道をたどって深大寺まで歩いてきました。今年はなぜか妻子がいっしょ。野川というのは中央線の国分寺あたりから流れ出して、いくつかの公園をつっきり、ずーっと南下した先で多摩川に合流します。いわゆる「小川」なんですが、一応は一級河川の扱い。

川の中で子供たちがたくさん魚をとっていました。魚じゃなくてザリガニかな。ときどき鴨が遊んでいたり、鯉がいたり、昔の田舎みたいなのんびりした川です。一時期は汚くて魚もいなかったのを、関係者の努力で再生したらしいですね。

何年か前にも歩いてますが、この時は1時間半ほどかかりました。今年は休憩もはさんでもっとゆるゆる歩いたので、ざっと2時間の行程。それでも太股が痛み、足の裏が悲鳴をあげ、腰が痛い。トシですねえ。

覚悟はしていましたが、連休の深大寺かいわいは人でごった返していました。一大観光地といった雰囲気になってます。わりあい人の並んでいない山門ちかくの蕎麦屋に入って、お腹が空いていたので天ザル大盛りにしたけど、大盛りってほどの量でもなかったです。天ぷらも高いわりに貧相で、美味くも不味くもない。ま、観光地ですから。

そうそう。間違ってキリンの中瓶を頼んでしまいました。キリンビールは久しぶりです。昔ながらの苦みがちょっと手応えがある感じで、飲んでから気がついた。スッキリしたアサヒ系の味にすっかり慣らされてしまったんでしょうね。

blackout2013.jpgさすがに復路も歩く元気はないので、食事の後はバスに乗って吉祥寺へ。あとで筋肉痛が出るかもしれないけど、いい運動でした。

そうそう。吉祥寺ではジュンク堂に寄ったので、コニー・ウィリスの「ブラックアウト」を探して買いました。先日たまたま続編の「オールクリア1」を買ってしまっので、なりゆきです。

3巻本の真ん中だけ手元にあっても仕方ない。当然ながら、来月発売の「オールクリア2」も買う宿命となります。計3冊。けっこうな出費です。
★★★ 文藝春秋

politicon.jpg桐野夏生って何か読んだことがあるかなとブログを検索してみたら「メタボラ」がありました。なるほど。あれにも沖縄の怪しげなコミューンが出てきました。うさんくさいカリスマ男が青年たちを安く使って集団生活をしていたり。この「ポリティコン」と共通部分が多いです。

「ポリティコン」の舞台は山形の小さな集落、いわゆるユートピア的共同体です。こうした集団生活は武者小路の「新しき村」が有名だし、詳しく知りませんが戦後にも同じようなものが誕生しています。

で、この理想郷の発起人である有名文筆家と彫刻家はとうの昔に亡くなり、好き勝手にやっている二代目の困った理事長も年老い、いまでは若い世代がほとんどいない。理想郷の実際運営はどう考えても大変です。比較的若い連中がほとんど奴隷状態で必死に働くしかない。

そんな村へ居場所のなくなった疑似家族が逃げ込んできます。北朝鮮から脱出してきた雰囲気の女、正体不明の男、小学生と孤独な女子高生。女は二人とも美人だったんで老理事長に気に入られ、うまく村にもぐりこんでとりあえず安住の地を見いだした格好ですが、それでも生活は苦しい。

ストーリーはこの少女と、二代目理事長の息子(三代目理事長)を視点者として進みます。少女はお洒落したい盛りですが、とんでもない貧乏生活。なんとか大学へ行って抜け出したいけど、お金の目処がつかない。絶望です。

理事長の息子も朝から晩まで鶏を相手の作業。毎日飽き飽きするような食事をとり、夜は焼酎を飲み、たまに女を求めて近くの町へクルマを走らせるだけの生活。とにかく金がない。悲惨です。

この理事長の息子、野心と嫉妬心の固まりのような男です。女という女はすべて自分のものにしたい。ひたすら強欲で利己的。完全に嫌われるタイプですが、あまりに露骨なので、むしろ可愛げが感じられるほど。本人としてはその都度、自分に誠実に行動しているということなんでしょう。

もちろんこんな設定なら、ユートピアが破綻するのは当然ですわな。ディストスピア。若いのも年寄りも醜く争い、ハチャメチャになる。あらためて、人間同士が理想を持って集団で暮らすコミューン、実際には難しいよなあというのが感想です。

ただ、いちばん最後の決着のつけ方は、あんまり納得できなかったです。たぶん、この理事長の息子というキャラクター、作者の意図したほどの共感を読者から得ることには失敗した。

そろそろかな?と待っていたPCゲーム Skyrim (The Elder Scrolls V) の日本語版バージョンアップ告知ですが、ようやく来ました。

 英語版が2013/03/21付けで1.9.0.32.8。
 日本語版も5/1付けで同じく1.9.0.32.8

両方のバージョンが揃ったので、さっそくSteamからダウンロードです。

手順としては、まずぷららのパケットフィルタレベルを0にする。これで回線が繋がるようになったのでSteamログイン。使い勝手の悪い画面から記憶をたどって日本語バージョンをダウンロードしました。

ダウンロードはすぐ終わるので次に整合性チェック。取り残しがあったんだろうか。何回やっても1本足りないと言ってます。変だなあと何回チェックかけても、どうしても1本だけダメ。

調べてみたら、これはバグみたいですね。あまり気にしないでいいようです。

そこでいったん日本語バージョンの起動を確認。無事起動するようなので、つぎは一部ファイルのバックアップとってから英語バージョンをダウンロード。これも整合性チェックしてから(やっぱりエラーが出る)、バックアップの日本語ファイルを上書きして戻す。そして起動確認。

skyrim-ninsho.jpgそして最後にSteamを「自動ダウンロードしない」にして、回線のパケットフィルタをふさぐ。このへん、けっこう手順がややこしいです。

これで「メッセージ表示だけは日本語、他はみんな英語版」という最新Skyrimが出来上がりました。やれやれ。

発売以来、ひんぱんにバージョンアップがありましたが、ようやくこれで打ち止めのようです。安心してMOD関連を整備することができます。やれやれ。

★★ 朝日新聞出版

akunin.jpgたしか映画になってましたね。見てはいませんが、えーと妻夫木と深津絵里でしたっけ。

どこかの映画解説に「純愛劇」とかありましたが、そりゃちょっと違うような。出口の見つからない地方の閉塞感。未来を探せない若者たちの無力感。といって昔のニッポンや発展途国のように食べるだけで精一杯というわけでもない。だから中途半端なんですよね。

みんな平等な機会があり、努力次第で幸せのステップを登ることができる・・・というタテマエ幻想はいちおう存在する。でもそんなの本当に信じてる奴は誰もいない。じゃ何があるの。実は何もない。でもそれじゃ悲しすぎるんで、意味不明ながら「愛」とかいうカオナシのヌエが顔を出す。

「愛」という幻想にすがろうとして坂道を転げ落ちてしまった困った男女のお話です。うん、オレたちって愛し合ってるんだよな? 

クルマにだけ熱中している無愛想で無思慮なニイチャン。私だってシンデレラになれるはず・・と頑張る生保のうるさいネエチャン。愛する人が欲しいのよ・・とブスブス燻っている地味な女店員。あの子に限って・・とオロオロする親。貧乏人のブスなんか嫌いだよとケタケタ笑っているアホ学生。

出口のない、なかなか悲しいお話です。あっ、最後の最後のエピソードはちょっと作為が過ぎるんじゃないかな。アホで乱暴なニイチャンが「実はとても優しい子だった」とでも作者は言いたいんでしょうけど、そりゃ無理々々。突き放したほうがよかったような。

悪い本ではなかったけど、最後の締め部分で★ひとつ減点。

★★★ 朝日新聞出版

shishigashira.jpgシシアタマではなく「シーズトォ」だそうです。ついでに作者は「ヤンイー」。

中国東北、大連の近くで生まれた貧しい子供がすくすく育ち、最初は雑技団で修行するんですが、大怪我してしてしまってから恐怖で演技ができなくなる。しかたなくコックの修行を始めます。で、得意料理が「獅子頭」。大きな肉団子というか、ハンバーグみたいな感じでしょうかね。

料理店の娘と結婚して子供も生まれ、順風満帆・・・だったのに、偶然のことから日本のレストランへ行って獅子頭を作ることになる。このへんはマンガチックです。中日友好の架け橋だあ!てんで、いきなり党員に推薦されたり、国家の期待をになって意気揚々と東京へ。

でも日本のレストラン側からしたらたいしたことじゃないんですね。変わった料理のできるコックを中国から呼んだだけの話で、汚い寮に住まわせて、せっせと獅子頭をつくらせる。

主人公の二順は、シンプルな人間です。深く考える習慣がない。手足と胴体はあるけど、頭のない人間みたいなもんで、ひたすら周囲に翻弄される。どういうわけかフロア係の女に誘惑されて、いきなり妊娠を告げられる。

日中友好を裏切ってしまったんで、これで帰国したら国家反逆の罪で投獄されるかもしれない、困った困った。ちょっと出産の日数が変だなあ・・とは思うんですが、ま、責任取って仕方なく結婚してしまう。とうぜん郷里の妻子とは離婚です。

悪い人間は登場しません。みんなそれなり。新しい「頭」となる奥さんも特にひどい女ではなく、ボーッとしている亭主の腕をあてに小さな食堂を始め、せっせと尻を叩いて働かせます。二順も深くは考えず、ひたすら仕事をしてますが、ふと足りない頭なりに「これって資本主義の搾取じゃないか・・」とか考えたりもする。

二順は日本語をほとんど覚えません。考え方も中国にいたときから進歩はしない。ずーっと同じ人間であり続けてるんですが、あれれ、その故国がいつのまにか激変している。鄧小平から江沢民に時代も移り、人民はどんどこ豊かになってきている。

しかし二順はあいかわらず何も考えず、分かれた前の奥さんとヨリを戻せないかなあなどとグダグダ考えているだけ。困ったもんです。

そんなふうな、大きなドラマも起伏もない平凡な1冊です。けっこう後味のいい本でした。

ちなみに表紙のイラストは、人民服を着た二順がブーメランを投げている姿だと思います。この程度のことは雑技団の基礎があるんで簡単々々。


アーカイブ

最近のコメント

このアーカイブについて

このページには、2013年5月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2013年4月です。

次のアーカイブは2013年6月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

OpenID対応しています OpenIDについて