2016年5月アーカイブ

岩井三四二という作家、前に読んだのは「三成の不思議なる条々」。なかなか達者な人です。面白く読めるし調べもきっちりしている。ただ、ちょっと軽いので好き嫌いが別れるかもしれません。で「あるじはXX」の三部作を同時に借り出しました。


arujiwanobu.jpg「あるじは信長」 PHP研究所 ★★★

信長を主人にもってしまった家来たちはどうだったのか。名のある武将なんかではなく、無名の中間管理職や下っぱ侍にとって、信長という主人はラッキーだったのか、アンラッキーだったのか。

出てくるのは信長の近習や右筆、小者、昔から織田家とつきあいのあった神社の神職などなど。ま、たいていの人は、不運あるいは残念な結果となっています。可もなく不可もない生涯じゃ小説にならないのも理由ですね。

考えてみると戦国末期というのは無数の中小企業が整理統合された過程です。本筋本流に乗ってずーっと成功した人間なんて非常に少ない。たいていはどこかで会社が倒産したり、吸収されたり、リストラがあったり再就職したり。何が幸運で何か不運かなんて、人生が終わってみないとわからない。

大変な時代です。


arujiwahide.jpg「あるじは秀吉」 PHP研究所 ★★

「あるじは信長」と同じコンセプトの短編集ですが、こっちは多少の知れた武将も登場。藤吉郎の義理の兄である弥助、子飼いの虎之助、川筋の親分だった小六どなど。彼らにとって藤吉郎(秀吉)という男は、どう対処していいのか困る存在だったでしょうね。小馬鹿にしていた貧相な小男が、どんどん果てしなく出世していく。驚嘆はするけど、だから全面的に尊敬できるかというと、はて・・・。

そうそう。蜂須賀小六から見た黒田官兵衛がけっこう面白かった。なんか要領のいいやつで、ビッコひいた瘡頭で、悪巧みのカタマリでどうも信用できない。しかし現実には秀吉に気に入られている。

気に入らないなあ、なんか理不尽で世の中がおかしい・・・と思っていた部下は多かったでしょう。ただし、そうした不満を不器用に爆発させてしまうと、あれれ、たちまち成敗されてしまう。こんなバカな。


arujiwaieya.jpg「あるじは家康」 PHP研究所 ★★★

三部作の最後。当然ながら主人は家康です。冒頭に登場するのは、今川人質時代の可愛くない家康少年。賢いけどけっこう我が儘で、近習の石川数正なんかは苦労しています。たった一羽だけのハイタカがいなくなって、少年はブスッとしている。探してこい!と無理をいう。本筋に関係ないけど石川数正って今川時代から家康のそばに仕えていたんですかね(後に離反)。

で、その家康少年が今川の菩提寺で、やたら飛んでいるスズメを狩らせてみたい、タカを連れてこいとダダこねる挿話がありました。寺の中はもちろん殺生厳禁。でも一羽や二羽くらいいいじゃないか・・と言い張る。結局は和尚さんに厳しくオシオキされるんですが、そんなエピソードがどっかの文献に残っているのかな。

収録短編のいちばん最後が大久保忠隣。小田原城主。幕閣で権勢を誇っていたのに、たぶん本多正信・正純父子の奸計で譴責失墜。その後どうなったかは知りませんでしたが、近江の井伊家お預けになっていたらしい。そこで細々と老後を養っていた。

で、大御所が死に、本多正信も後を追い、ブイブイ言ってた正純もやがて(たぶん冤罪で)逮捕。忠隣という人、かつて将軍跡目として秀忠を推薦した経緯もあり悪くは思われていないはず。ここで江戸に上って秀忠に嘆願すれば復権もありうるかもしれない。どうか江戸へ来てほしい・・と家来たちが説得するわけですが、嫌だ!と依怙地に断る。頑固なんです。

この大久保忠隣爺さん、なかなか味がありました。人間70歳も過ぎると、もうたいした欲はない。帰参すれば喜ぶ連中も多いだろう。しかしプライドの片鱗と意地だけはある。
読後感の爽やかな好編でした。

★★★ 文春文庫
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短編集。マキャモン自身はあまり短編が得意ではないようですが、決して出来は悪くありません。ちょっと奇妙な味の、ま、SFチックなテーストが多いです。

最初のほうに納められている「スズメバチの夏」。深南部のムシムシする夏、飛び回るスズメバチの群れ。寂れた田舎道のガソリンスタンドに寄った家族が災難に遭遇します。どんな災難かは、読んでのお楽しみ。ちなみに原題は「Yellowjacket Summer」。ふーん、黄色い上着ですか。

ミミズ小隊」もよかったですね。原題は「Nightcrawlers」で、南部ではミミズのことらしい。へんなタイトルですが、ベトナム参戦した部隊の名称ということになっています。ミミズみたいにジャングルの中を這い回る兵士かな。

で「ブルー・ワールド」は中編というか、ほとんど長編といっても変ではないボリュームです。サンフランシスコの教会の神父が告解にきた色っぽい女に惹かれてしまう。ところがその女は困ったことにあばずれポルノ女優だった・・・・。

米国では少数派のはずのカトリックですが、それでも国民の2割以上は信徒らしい。そして昔ほどではないにしろ、ある程度の信頼と尊敬を神父たちは得ている。日本の僧侶のようなものかな。いちおうは生涯独身だし、日本の僧より格が上かもしれません。そんな神父が白いカラー姿のまま場末のストリップ劇場に出かけていく。さすがに切符売りのオヤジも腰を抜かす。なかなか笑えます。

で、女に心を奪われてしまった若い神父は結局どうなるのか。いきり立つ股間を鎮めるためにひたすら冷たいシャワーを浴びる。どうも自分で触ることは許されていないらしい。思い出しましたが、大昔に読んだ今東光の「道鏡」かなんかでは、修行僧たちは夢の中の観音様を相手にして放出する。相手が仏様なら女犯破戒にならないという理屈のようです。で、左手の掌に放出したものを溜めて、お経を唱えながら水場まで歩いていって洗う。なるほどねぇと関心した記憶があります。なんせ本物の坊主が書いた小説だから具体的だ。

ま、それはともかく。肉欲に苦しむ神父ですが、負けそうになりながらもかろうじて堪える。自堕落で奔放なはずのポルノ女優が、実はなかなか良いキャラクターで、けっこう好きになります。いい本でした。

マキャモン シリーズはこれでおわり。


★★★ 文藝春秋
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60年代、かな。米国の反体制運動が燃え盛ったのは。当時のいわば連合赤軍的な過激グループの生き残りが地方都市に身をひそめて暮らしている。いかにもありそうなストーリーですが、もしその生き残りが、いまだに狂信的であり続けているとしたら。おまけに単に狂信的であるだけであく、ほんとうに狂っているとしたら

主役は身長6フィート、バーサーカーのような女戦士です。邪魔者に銃を発射することに躊躇はまったくない。さらに困ったことに、過去の銃撃戦で流産してしまった子供への激しい執着がある。本物の代わりに嬰児人形の世話をして暮らしている。泣き止まない赤ん坊(人形)には残酷なオシオキをする。

この「母性」の部分がドロドロしておぞましいです。で、いろいろあったあげく、狂戦士は病院から新生児を盗みだす。盗まれた母親もまた狂ったようにその後を追う。ひたすら血が流れ、人が死に、壊れかかったクルマが州間高速80号線を西へと暴走し、カーチェイスと大雪の中のロッキー越え。そしてついに西海岸、かつての「輝けるリーダー」の元へたどりつく。

なんというか、よくまあという読後感です。けっして傑作ではないですが、最後まで読ませる力はある。ふんとにまあ。ちみみに「マイン」の意味は「この子はワタシのものよ」という感じでしょうか。あるいは「自分らしく生きることのできたあの時代だけはワタシのもの」かな。


某掲示板の不確定・未確認情報として、大河「真田丸」大野治長役に香取慎吾の名前があがっていました。げっ! これはマサカのマサカです。うーん、三谷ってのはけっこう趣味の悪いところがあるからなあ。妙に信憑性があって恐い

sanadamaru.jpgもし本当なら嫌だなあ。大野治長ってのは、けっこう面白い役なんですけどね。淀の方の乳兄妹で、なおかつ秀頼の父とも噂される怪しい立場。けっして無能ではなさそうなのに、肝心なところで決断できない武将。大坂城陥落の実質的責任者。これをどう描くか。

真田丸は助演クラスにいい役者さんがたくさん登場して充実。ずいぶん楽しんでいるんですが。これだけはガセ情報であることのぞみます

追記。
これも未確認だけど、どうも違う役者さんになるという話。今井朋彦? まずはよかった。

一昨年に買ったFujifilmのコンパクトデジカメ「X20」。けっこう気に入って使っていますが、一生ものとして使う上で心配なのはバッテリーです。機械部分の不具合もあるでしょうが、確実にダメになるのはバッテリー。しかし発売から時間がたつと、だんだん供給が減って来る。ま、富士フィルムの純正品なら当分はサポート可能と思うものの、ただ「純正」はどうしても高い。

X20用の純正バッテリーパックは4000円以上します。ただしネットで調べると2500円程度。うーん、転ばぬ前の杖とはいえ、ちょっと迷いますね。互換品でもいいかな。そっちならうんと安くなる。

ということで、わりあい評判のいい「ロワジャパン」発売の「NP-50 NP-50A互換バッテリー」を注文。ただし同じ互換バッテリーでも国産セル(サンヨー)を使用していると1280円で、たぶん中国らしいBAKというメーカーのセルだと650円。迷った末、中国セルのバッテリーを選択。「BAK」なんてもちろん知らんけど、それでもセル供給元を記しているだけ良心的です。どうしても当たり外れがあるだろうけど、ま、650円なら外れても納得できるか。

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で、その商品出荷通知メールの欄外に「ロワ太郎のバッテリー使用習慣」という追加文がありました。バッテリーの使い方をいろいろ書いてあります。これがけっこう面白かった。

いろいろありましたが重要な部分を要約してみると

・届いたバッテリーをそのまま放置するのはXすぐ満充電して使用しろ。使い切ったらまた充電して、この充放電の繰り返しを3回~5回くりかえせ。

・長期保存はX。1カ月以上使わない場合は30~40%程度の充電残量状態で外して、冷暗所に保管しろ。

・純正を使い切ってダメになってから、大切に保管しておいた互換品に交換しようというのは悪いプラン。使えなくなる。かならず交互に使え

なるほど。充電式のリチウムイオン電池の場合、要するに長期間使わない状態でいるのはいかんということらしいです。また満充電、完全放電、どちらもよくない。半分くらい使っておいて保存するのが正解。

けっこうデリケートなものなんですね。


★★ 福武書店
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マキャモンのかなり初期の作品らしい。チョクトーインディアン(中南部の農耕部族)の血をひく少年が「神秘の道」の能力に目覚め、絶対悪と戦う・・・というようなストーリー。

、あまり傑作とはいえない出来です。少年が成長していく姿は好感を持てるんですが、それと戦う「悪」がちょっと矮小すぎる。おまけに少年の能力というのがあまり主体的ではなく、しょせんは「死者との対話」なんで、カタルシスがない。幽霊鎮め。要するに肉体的にケンカをしても超能力を使った戦闘でも、ほとんど役にたたないわけですね。

ストーリーの組み立てもあまり上手ではない気がします。特に後半。無理している感じ。作者がまだ若かったんでしょうか。

そうそう。作者はアラバマ州で育った人らしいです。そうだったのか。たしかに全編を通じて漂う雰囲気が都会的ではありません。土俗的というか、緑と暑さと湿気と貧しさの感覚。スカした東北部とはまったく違う。ディープサウスの匂いといわれれば、確かにそうだ。

マキャモンは他にも借り出しているんで、さっさと次にとりかかる予定。


気が向いて図書館サイトで検索してみたら、ロバート・R・マキャモンが何冊か閉架に入っていることを知りました。ふーん、マキャモンか。

マキャモンといえば、ちょっと前に「魔女は夜ささやく」 を読んだことがある(調べたら10年前だった・・)。更にずーっと前なら「少年時代」とか「遥か南へ」とか。傑作とまでは言えなくても、独特の詩情のある好著だったような気がします。

で、とありえあず「ミステリー・ウォーク」「マイン」「ブルー・ワールド」を予約。上下があるので計5冊。小さな市の小さな図書館なので、開架に出しておける冊数が少ないらしく、ちょっと貸し出しが少なくなるとみんな閉架に追いやられてしまっています。

アンディ・ウィアーの「火星の人」も読みたいと思っているのですが、こちらは映画化の影響かけっこう人気があって、2部在庫なのに、どちらも予約待ち10件。ほとぼりの醒めるまでしばらく待つつもりです。

それとは別にポール・セローの「ダーク・スター・サファリ」。お金を出して買ってもいいなと思っている本ですが、なにしろズッシリ重くて値段もAmazonで3024円。うーん、ちょっと高い。じゃいくらなら即決かというと、たぶん2000円台前半くらいかなあ。はい。変な部分にケチ、吝嗇です。というより、値段の高くなった単行本に気分が慣れていないんですかね。文庫本なら1000円、単行本なら2000円。いったい何十年前の感覚なんだろう。

小さなオフィスを持っている知人がスタッフ用に新しいノートを買ったよし。買ったのはいいけどトラブっているのでなんとかして欲しい・・・というようなことでしたが、行ってみるとDELLのノートでした。で、OSはWindows8.1(たぶん。まさかWin8ではないでしょう)。買い換える前のPCはXPだったそうです。

というわけで初めてWindows8.1に触りました。ふーん、スタート画面の使い方がまったくわからないです。適当にマウスを動かしていると時々切り変わります。元に戻すのも、なんか適当にやっているとタイル画面にパッと戻る。

最初のログイン画面でへんなパスワードを入れてしまったので変更したいとのこと。ま、やってみますか。いろいろ試行錯誤して、変更画面にたどりつきました。しかしMicrosoftアカウントとかなんとか、いったい何のことじゃ。

これはマイクロソフトの営業用のアカウントのような気がします。他にローカルアカウントというのがあるらしくて、たぶんそっちが起動画面で必要な従来のユーザアカウントだと思うのですが、本人はメールアドレス付きのこの「Microsoftアカウント」を変更しただけで十分らしい。不可解。

わからん。

ついでにメールソフトの設定をお手伝いして、無事開通して、とりあえずオシマイ。Win8.1ならいっそWin10に上げたほうがいいと思ったものの、下手にアドバイスすると面倒なので、あえて強くは薦めませんでした。本人は「Win10にするとDVDが使えないという話だし・・」とか。ま、そりゃそうでしょうけど。

わざわざ8.1のタイル画面操作を覚えるより、たとえばClassic Shellでも使えば慣れ親しんだXPの操作性に近くなると思いますが、これも下手に薦めると面倒になる。中途半端にアドバイスするのは厳禁。最後まで責任もつ覚悟がない限り、うかつなことは言えません。口にチャックして帰りました。

★★★★ 新潮文庫
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何年ぶりなんだろうか。文庫の奥付を見ると平成十二年。16年前に買ったことになるけど、はて買ったのは自分なのか家内なのか娘なのかも判然としない。こんなイラスト表紙になっていたんですね。

三四郎を初めて読んだのは中学1年です。たぶん春陽堂の全集(たしか古い土蔵の中にあった)で読んだ。学校から帰りに友達が「なんか話をしろ」というので、歩きながら三四郎の粗筋を語った。乱暴なことをしたもんです。粗筋なんて言えるわけがない。聞かされた友達も困ったでしょう。

どこかのサイトに、三四郎のモデルは小宮豊隆だと書いてありました。ふーん。で、 与次郎は鈴木三重吉だとなあった。なるほど、こっちは納得です。三重吉ってのは童話のイメージとは違って、かなりうるさい男だったらしい。何で読んだんだったかな。それはともかく美禰子は平塚らいてうだという。これは少し意外。らいてうってそんなタイプの女だったんだろうか。

再読か再々読か再々々読は知りませんが、美禰子ってのはどんな女なのか真面目に読んでみようと思いました。若いころにいい加減に読んでいると、どうも美禰子がよくわからない。で、読了して、なんなとく理解した。ま、そういうことだったんですね。ぼんやりした記憶では結局美禰子は野々宮さんと結婚したように勘違いしていましたが、それも違っていた。なるほど。勝手に読みたいように読んで、覚えたいように覚えている。いい加減なものです。

ついでにこの三四郎が「それから」「門」と並んで初期三部作だと知りました。へぇー。「それから」も「門」も未読。もちろん後期三部作も「こころ」しか読んでいない。結局自分の読んだ漱石は「吾輩は猫である」「虞美人草」「草枕」「坊つちやん」それに「倫敦塔」とか「幻影の盾」あたり。かなり偏った読み方です。

それにしても、ま、漱石はやはりいいですね。読み終えると極上のお茶かコーヒーでも味わったような気がする。やはり★は4つつけるしかないです。


hdd_usb2.jpgGROOVY UD-505SAを使ったUSB接続の外付けHDD、問題なくうまくいきました。

ただこのアダプタ、動作に問題はないのですが電源コードがかなり硬いです。とりまわしを雑にやると、SATA側のコネクタを壊しかねない。SATAコネクタってのはご存じの通り、非常に繊細で小さいです。ちょっと無理な力が加わるとすぐ壊れそう。

一回バックアップをとってから念のために確認してみたら、また12本ほど更新アップデートが並んでいました。たぶん前回の取りこぼし分でしょうね。せっかくなのでダウンロードをかけてみると、あらら、いっかな進行しない。またダメになったかと思っていましたが、再起動かけてから再トライしてしばらく放置しておいたらインストールされていました。てこずったWindowsアップデート問題もいまのところ解決しているようです。

これで一安心です。

そうそう。Windows10への無料アップデートは7月29日までらしいです。その後は有償になる。念のためもう一度あちこち調べてみましたが、やはりWindows10にする理由が見つからない

もっとも気の利いたフリーツールを入れるとWindows7ふうにはできるらしく、少し心が動いたものの、しかしそれでもMSが「以後は勝手にアップデートするよ」というシステムは気に入りません。人の懐に手をつっこまれるような不愉快さがある。やはりこのまま古いWindows7で可能な限り頑張ることにしました。どうしようもなくなったら仕方ない、お金を出してOSを買いますか。

これにてVaioノートのSSD換装とWindows10アップデート問題はオシマイ。以後は心静かに暮らしたいものです。

★★ 幻冬舎
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工藤美代子という著者名でつい借出し。なんか読ませる本を書いている人のような気がしていましたが、読み始めてみると、ん、違ったかな。誰と間違ったんだろ。ぼんやり思い浮かべていたのは「エリザベス 華麗なる孤独」の人のような気がしますが、これは石井美樹子。ふつう、間違えないよなあ。

ま、要するに岸信介伝です。いわゆる伝記もの。したがってだいたいは「ヨイショ!」です。ところどころ、ちょっとグレーなエピソードも交えていますが、ま、基本線は「こんな凄い奴だったんですよ」というスタンスです。おおむねそういう雰囲気。

東大時代の岸、もっと先鋭的な国粋主義者というイメージでしたが、この本ではそれほどでもない。ま、非常にクレバーで、その思想に魅力があっても危ないレベルまでは深入りしない。官僚になってからも満州で辣腕ふるったようですが、ここでも危ない証拠は残さない。

だいたいナマの金には手を出さない主義だったんだそうです。かならず濾過させてから手にする。だから戦後もきな臭い噂はたくさんあったけど、ついに尻尾を出さなかった。なんかの折りに田中角栄を評して「あいつは生の金袋に手をつっこむ。あれじゃ総理として失格だ」という趣旨のことを言っていたらしい。なるほど。

ま、あれやこれや、その人生は悪運に恵まれていた。危ない橋を何回も何回も渡ったけど、うまい具合に安全なほうにばかり転がった。必要とあれば平然と裏切る。辞任しろと言われれば黙っていないで相手と刺し違える。戦争中、東条内閣を解散させたのは岸のくそふんばりだったと知りました。死刑にも無期にもならず巣鴨を3年で生きて出所できたのも、その「功績?」のおかげだったのかもしれない。

そこそこ面白い本。読んで損にはなりません。


出かける用があったので、帰路に吉祥寺のヨドバシカメラへ。地下のPC関連売り場へいくと、ありました。廉価な外付けHDD用アダプタでUSB接続。

たしかアマゾンで買うと1645円のはずでしたが、ヨドバシでは1990円。ただしポイントが199つくので、実質は1790円程度ですか。あんまりアマゾンばかり儲けさせるのもよくないので、たまには店舗購入もしたほうがいい。何故?と聞かれると困りますが、なんとなくそんな気がしています。

hdd_usb2.jpg購入したのはGROOVY UD-505SAという製品です。SATA接続で2.5インチHDDと3.5インチHDDの両方が使用可能。PC側はUSB2です。USB3でないのはむしろ安心材料(USB3がらみのエラー例がけっこうネットにあがっている)。

バックアップに使うHDDはたくさん保管してあるような気がしていましたが、調べてみたら実際に使えそうなのは内蔵3.5インチなら古い80G。ノート内蔵の2.5インチなら今回SSDと入れ換えた320G。そうか、現在使用中の3.5インチ500Gの前はいきなり80Gだったのか。容量の進化は激しいです。

箱を開けてみると、コードだらけですね。というよりコードだけというべきか。変圧器付きの電源コード、USB-SATA変換コード、それに何かのソフトを入れたCD。電源コードのPC側は昔ながらの4PINですが、そこにSATAコネクタを繋いで延長した形になっています。ま、なまじ外箱がないだけにかえって自由で、何にでも使えるということなんでしょう。内蔵HDDを机の上に転がして、ただ繋ぐだけ。わざわざHDDを接続しての作業などそう何回もやることではないので、これで必要十分です。

やれやれ。機会をみてノートPCのシステムイメージをバックアップする予定です。たとえ一回でも丸ごとバックアップをしておけば、何かあっても安心々々。時間のかかる再インストールも更新アップデートももう無用ということで嬉しいです。いつでこの時点に戻すことができる、たぶん。

連休なので、またガラにもない行動。新緑を多摩湖まで歩いてきました。バスに乗って花小金井まで行き、そこから降りて西へ延々と歩く。たぶん道路の下に水道が通っているんでしょうかね。まっすぐなサイクリング道が続いています。サイクリング道といっても一応は「歩行者優先。自転車は徐行」という看板です。ま、あまり気にせず歩けます。

途中、線路わきの空き地に延々と柵が張りめぐらされ「立入禁止。国交省」の看板が並んでいます。柵が立派だし看板の数もずいぶん多いなあ・・と横目に見ながら歩いていると、そのうちナスやダイコンの小さな畑が目につきだす。そうか、近所の住民が道路と線路の間の土地を勝手に自家農園化してるんだ。なんせ国有地だからなあ、あんまり罪悪感はない。

目的は多摩湖(村山貯水池)。たいした距離ではないんでしょうが、けっこう疲れました。武蔵大和駅の横からちょっと逸れて公園の中を少し登ると貯水池です。思ったより大きな湖ですね。クラシックな取水塔が突き出している。右手はるか先方に西武園が見えますが、連休中なのに観覧車もジェットコースターも止まってました。強風で止めているのか、それとも営業していないのか、不明。

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水を渡って強い風が吹いている。しばらく休んでから、土手沿いにぷらぷら西武園まで歩き、そこから電車で帰宅。家内の万歩計では2万歩にも届かなかったらしい。人に言ったら笑われそうな距離です。


★★★ 文藝春秋
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著者は違いますが「ウルフ・ウォーズ」と同じ系列です。太平洋の島々で固有生物がどんどん絶滅していく・・というお話。

孤島は周囲と隔絶された環境です。そのため固有種がはびこる。特に鳥類はこうした狭い島々にやたら固有の種類が多いらしい。で、人間がカヌーやら帆船でやってくると、ヒツジやらブタやらイヌやらネコやらイタチやらがいっしょに上陸して、あっというまに繁殖する。で、のんびり暮らしていた固有種はほとんど無抵抗で絶滅する

北の海の岸壁に営巣していた鳥なんかには、そもそも「害敵」という概念がない。じーっと座っているとネズミに噛みつかれるんだけど、だから逃げようという本能が働かない。居ながらにして食われてしまう。

アリューシャンの場合、まず最初はキツネだそうです。毛皮をとるために繁殖させられた。そのうち採算があわなくて放置されると、連中は狭い島の中でどんどん増え続け、片っ端から鳥を襲い、増えすぎてみんな腹を減らしている。リサーチのために人間が上陸しても、まったく怖がらず襲いかかってくるんだそうです。大きな獲物が来た!という感覚なんでしょう。そりゃ恐いけど飢えには勝てない。

しかし最悪なのはネズミです。そもそも最初のラピタ人がカヌーで植民してきた段階で、ブタや犬と同時に意図的に小さなネズミを放したらしい。いざという時の食料という説もあるようですが、本当かどうか。ま、あっというまにはびこった。さらにキャプテンクックの探検やらその後の進出で、もっと大きなクマネズミやドブネズミも上陸。たちまち島中を駆けめぐる。

たしかカカポといいう大きなオームがいるらしいです。ニワトリくらいのサイズで、まったく飛べない。地面でのんびり暮らしていたら、あっというまにネズミに襲われる。近づけない断崖とか孤島とかに避難していたコロニーも、そのうち冒険的なネズミの襲来(海をわたったりする)でほぼ絶滅。

で、どうするか。最終的にはキツネを殺し、野生ブタを皆殺しにし、島中のネズミを毒殺するしかない。毒餌をヘリで蒔いて、一匹残らず殺す。つがいが一組残っても失敗です。

なかなか動かないお役所をせきたて、資金を集め、ネズミを殺しまくる。もちろん「殺される動物が可哀相だ」という声もあがります。固有種の鳥がはびこるのはいいけど、ブタやネズミがはびこるのはいかんのか。考えてみると身勝手かもしれない。おまけに遅効性の毒餌(すぐ死ぬと他のネズミが警戒する)で殺したネズミを他の鳥が食べて死んだりもする。アリューシャンでは国鳥の白頭ワシが数十羽も死んでしまって、かなり慌てたらしい。世論が恐い。

ま、そういう固有種の保護活動のストーリーです。なるほど、とも思いますが、なんか割りきれない感じも残る。そもそもの元凶である人間が「お前は生き残れ。お前は死ね」と神の視点で裁断することに正当性があるのかどうか。

500年前の状態に戻すことが本当に正しいのか。なぜ2000年前ではいけないのか。5000年前では? のんびり暮らしているように見えるカカポだって、何千年か前には他の固有種を追いやって繁栄したのかもしれない。そういうカレンダーを巻き戻すことに意味はあるのか。いちばん正しそうなのは人間がみんな撤退することですが、現実には無理です。

真面目に考えると頭がワヤになりますね。

★★ 白水社
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副題は「オオカミはこうしてイエローストーンに復活した」。

イエローストーン国立公園を作ったのは確かセオドア・ルーズベルトです。作ったというより、ルーズベルトが権力者として初めて自然保護区の構想を打ち出した。ま、単にアウトドアライフや狩猟が好きだったからだろうと思いますが。そのおかげで「開発をストップすることも大切なんだ」という発想が国民の間にも産まれたんでしょうね。

しかし鹿やバッファローをこよなく(たぶん)愛したルーズベルトも、オオカミは好きじゃなかった。邪悪な動物と思ってたんでしょう。大好きな鹿を殺すし。世界中、当時の大部分の人々はそれに賛同したはずです。どんな童話でもオオカミは悪役です。

で、ついに米国からオオカミは絶滅。やがてその弊害がだんだん出てきます。オオカミってのはその地域の捕食者の頂点として君臨する動物です。オオカミが鹿を食べる。鹿は木をかじる。木は木の実を落としてリスを繁殖させ、そのリスはナントカを食べ、ナントカはカントカを苛める。ま、連鎖です。実際はこんな単純なものじゃなく、たとえばオオカミがいないとコヨーテが喜ぶらしい。コヨーテは大型の鹿ではなく、もっと小さなウサギなんかを食べる。そのウサギは・・・。

オオカミがいない自然公園なんておかしい。ゆがんでいる。そう考える連中が米国にも増えてきたわけです。そうだ、象徴としてイエローストーンにオオカミを連れてきて繁殖させよう。うまいことにカナダにはまだオオカミがいたわけで、そこから群れ(パック)をいくつか誘拐して公園内に放せば自然に繁殖してくれるだろう。オオカミ誘致プロジェクト。もちろん当然ながらこの計画は猛烈な反対に会います。

まず牛を飼っている牧場主たち。これは当然ですね。オオカミに大切な牛を食われたらどうするんだ。見つけしだい射殺してもいいんだな。補償はどうする。それどころかもし人間の子供が襲われたらどうするんだ。

当時、すでにオオカミは絶滅危惧種です。つまり、うかつに射殺したら罪に問われかねない。絶滅危惧種の指定はオオカミ派に好都合のようでいて、逆に手足を縛る法律でもあります。反対派からすると、もしカナダから危惧種のオオカミの群が勝手に引越ししてくるような事態になったら非常に困る。どんな悪さをされても手が出せない。最悪です。それよりも最初から法律をつくって「観察実験」として公園内に放すのはどうですか。それなら農地を襲うオオカミを処置することも可能だし、補償金の制度もつくれます。あの手この手。

著者たちは気長に粘り強く運動を続けます。地元の政治家を説得、お役所、地元民との話し合い、ワシントンでのロビー活動。場合によっては仲間のはずの保護活動団体も敵にまわります。手法をめぐっての対立ですね。理想的にいくか、現実的に妥協するか、こうした瑣末なことでも運動は破綻します。

ま、そうやって何十年もかけ、ようやく運動は成功。ヘリで追い回して上空から麻酔銃を撃ち、カナダからオオカミを空輸してついに公園内に放した。この本、オオカミそのものの話は1割もなくて、あとはすべて、誰を説得し、誰が農場主と集会を開き、誰が妨害し、誰が味方になった・・・という経過のお話です。面白いけど、かなり地味なストーリーの連続です。

たとえば日本でもシカが増えすぎて困っています。シカを間引きするとか、無理だとか。本当の解決策は大昔のようにオオカミを回復させればいい。日本オオカミがいないのならモンゴルオオカミでもなんでもいい。そうすればたぶんシカの爆発的繁殖は止まります。ただし、農家の家畜が襲われるかもしれない。キノコ採りにいった婆さんが怪我するかもしれない。

もし復活プロジェクトを推進させようとしたらえらいオオゴトですね。林野庁、厚労省、環境庁、文科省、保健所、県、市町村、地元農家、観光客。すべてに関係する。省庁のテリトリーもからんで大騒ぎになる。

オオカミ復活なんて英断、いまの日本ではまず無理でしょうね。実際、知床半島ではそんなアイディアが出たこともあるらしいけど、もちろん一顧だにされていなようです。

そもそも、人間という大ボスがやたらはびこっているのが最大の問題ですね。人間がいなくなればやがては一定の自然平衡状態になるかもしれないけど、だからといってそれが「そもそもの自然」ではない。だいたい地球上に「そもそもの自然」なんてあったのかしら。


★ 河出書房新社
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タイトル通りの内容ですが、うーん、中身がない。著者はどんな人物かと調べてみましたがワシントン大学環境森林科学部教授だそうです。専門は野生生物らしい。

それにしては脳のスャンだとか、反応部位の話とか、発声器官などなど解剖学的な解説も多い。かなり退屈します。要するにカラスはこんなに高度な脳を持っている。こんなに賢い。ま、それだけです。

出てくる賢さの例証も、あまり珍しくはないですね。日常みかけるカラスの賢さの報告例から適当にピックアップした程度に思える。拾った棒を曲げてフックをつくって、瓶の中の肉を拾うとか、犬の尻尾をつついてからかうとか、貝やクルミをアスファルトにばらまいて自動車に轢かせるとか。苛めた人間の顔をしっかり記憶するとか。

ま、平凡というか、新情報の少ない本でした。半分ほど読んだ時点で撤退。河出にしてはダメな本だったと思います。ん、河出って、ときどき酷い本を出してるような印象もあるなあ。その酷いほうの典型でした。


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